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ナ・ホンジン監督&國村隼が映画『哭声/コクソン』を語る

ナ・ホンジン監督と國村隼 3月11日(土)公開の『哭声/コクソン』が「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017」でクロージング作品として上映され、ナ・ホンジン監督と國村隼が観客とのティーチインを行った。

 この上映に合わせて前日に夕張に到着したばかりだというナ・ホンジン監督は、「コンニチハ、ナ・ホンジンデス」と日本語を交えてあいさつ。國村が韓国で最も権威ある映画祭のひとつ「青龍映画賞」で外国人俳優史上初となる男優助演賞を受賞したことについて、「本当にうれしかったです。その演技はもらって当然だと思ってはいましたが、授賞式のために韓国まで足を運んでくださって受賞されなかったらどうしようかと心配したので、胸をなでおろしました」と振り返った。

 國村は、この映画への出演を決めた理由について聞かれると、「撮影自体は今まで経験したことのないくらいタフなものになるだろと予想はしていましたが、それでもやりたいと思いました」と。國村に出演オファーをしたホンジン監督は、「國村さんのこれまでの映画を見て、編集されていないひとつのカットの中で既に編集されているような多様な姿を見せているのが印象的でした。映画をご覧いただいたように、お客さんが“よそ者”という人物をどう捉えるかが重要で、その点で國村さんとこの映画が目指す目標が一致したのでお願いすることにしました」と語った。

 映画のアイデアの根源を聞かれたホンジン監督は、「実話を素材にした物語ではありません。これまで作られた他の作品を見てみても、加害者からの視点のほうが多かったと思います。でも、自分は被害者の視点でこの物語を進めたかったんです。“なぜ、この人はこんな目に遭わなければならないのか”“なぜこんなことになってしまったのか?”その答えは、実際の出来事や作品をいくら探してもありませんでした。だから、悩み悩んでこのような話を思いついたんです」と。

“よそ者”を日本人にしたことについて、ホンジン監督は、「よそ者のモチーフは新約聖書から得ました。皆さんは主人公ジョングの立場から映画をご覧になったと思いますが、よそ者は聖書ではその反対側にある存在です。遠くエルサレムから噂になっているイエスという存在。イエスが近づいてきて実際に姿を現し、それを見守るユダヤ人の姿。それを日本人にした理由は、韓国人と似たような外見でありながら異質である国の人の存在が必要でした。韓国に中国人はたくさんいて脱北者も意外に多いので、それで日本人にしました」と説明した。

 MCが、何かが起こった時によそ者のあいつのせいだと排除していく物語の進行が、社会の流れとリンクしていることについて触れると、國村は、「僕もそう感じました。この役柄は、その存在すら疑ってもいいような存在です。韓国映画における日本人という捉え方ではとてもつかめないキャラクターで、もっと人間の存在の根源の部分を問いかけます。人の世の中で一番恐ろしい“噂”だったり、確かなものでないものへの不安。そこから沸き起こる疑心暗鬼が生み出す悲劇だと考えれば、納得のいくストーリーだといえます」と語った。

 登場人物のひとり、祈祷師イルグァンが象徴するものについて聞かれたホンジン監督は、「このキャラクターは韓国の民族信仰(シャーマニズム)の象徴です。でも、彼のやってる行為は悪を葬ろうとするのか振り払おうとするのかはあいまいです。“よそ者”が果たす役割によって、イルグァンの役割の解釈も変わってくると思います」と本作をひもとく上でのヒントを語った。

 本作は、谷城(コクソン)という韓国にある実際の町が物語の舞台になっているが、劇中激しい雨になったり晴れ間が見えたりといった印象的な気候の変化が見られる。ホンジン監督は「コクソンを舞台に選んだのは、高いビルも山並みも見える、スカイラインも見えるという場所だったからです。それによって天気や時間の変化、そういうものが常に人物の後ろに現れるように設定しました。理由としては、この映画は神という存在に関する話でもありますが、自然を通して神という存在を表現したかったんです」と。本作の内容ゆえ、当初は地元のリアクションは冷ややかだったというが、韓国で劇場公開されると“聖地巡礼”として観光客が8倍に増えて町長に感謝されたことを明かすと、会場は大きな笑いに包まれた。

<ストーリー>
平和な田舎の村に、得体の知れないよそ者がやってくる。彼がいつ、そしてなぜこの村に来たのかを誰も知らない。この男についての謎めいた噂が広がるにつれて、村人が自身の家族を残虐に殺す事件が多発していく。そして必ず殺人を犯した村人は、濁った眼に湿疹で爛れた肌をして、言葉を発することもできない状態で現場にいるのだ。事件を担当する村の警官ジョングは、ある日自分の娘に、殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付く。ジョングが娘を救うためによそ者を追い詰めていくが、そのことで村は混乱の渦となっていき、誰も想像できない結末へと走り出す――。

「哭声/コクソン」
3月11日、シネマート新宿ほかにて公開
監督:ナ・ホンジン
出演:クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村隼、チョン・ウヒ

公式サイト:http://kokuson.com/

配給:クロックワークス

©2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION

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