成田凌×黒島結菜!周防正行最新作「カツベン!(仮)」クランクイン

映画
2018年09月28日

「カツベン!(仮)」 周防正行監督の4年ぶりとなるオリジナル映画最新作「カツベン!(仮)」がクランクインし、東映京都撮影所で成田凌、黒島結菜、竹中直人、渡辺えり、周防正行監督が囲み取材に応じた。

 本作の舞台は、今からおよそ100年前、「映画(活動写真)」がまだサイレントでモノクロだった時代。楽士の奏でる音楽とともに独自の“しゃべり”で物語をつくりあげ、観客たちを映画の世界に誘った活動弁士、通称“活弁”(カツベン)を夢見る青年が、小さな町の映画館に流れついたことからすべてが始まるノンストップエンターテインメント。

 主人公を演じるのは成田凌。本作が映画初主演となる。ヒロインには黒島結菜。さらに永瀬正敏、高良健吾、井上真央、音尾琢真、竹野内豊と実力派俳優が脇を固める。もちろん竹中直人、渡辺えり、小日向文世をはじめとする周防作品おなじみのキャストも登場する。

 周防監督は、本作を撮ろうと思ったきっかけについて「日本映画の無声映画時代には“活動弁士”という存在がいて、映画を解説しながら上映していた時代があり、これは世界でも日本独自の文化でした。日本映画の始まりの物語をエンターテインメントとして皆さんに知っていただき、日本映画の歴史というものを感じてもらいたかったという気持ちが一番強かった」と。

 さらに、成田、黒島を抜擢した理由について「2人ともオーディション(3か月にわたり男女100名ずつ実施)で選びました。日本映画のはじまりの頃はまだみんなが初々しく、そのような初々しさを2人に感じました。また成田さんは会った時の素直な感じ、そして活動弁士として映画を解説している姿がオーディションを通じて想像できたので、その才能を信じてキャスティングさせてもらいました。黒島さんは役でも駆け出しの女優を演じる、その役柄にふさわしい初々しさとかわいらしさを感じました」と語った。

 本作で映画初主演となる成田は「映画初主演を周防組で行えるということで、この世界にいる人間としては誰もがうらやむようなことだと思っており、もちろんプレッシャーも感じておりますが、何より安心感と信頼があるので、何があっても、はいつくばってでも真ん中に立っていようと思っています」と意気込みを語った。

 役どころについては「活動弁士に憧れる青年で、真っすぐに、素直に、でもやんちゃな部分も持ちつつ、愛するものに突き進んでいく役です」と。実際に活躍している活動弁士の指導を受けたそうで「練習をしてから2か月半程度経つのですが、堂々と自信を持ってやればいい!というアドバイスをしていただきました」と明かした。

 周防監督が「撮影が始まる前に、他の語り芸を絶対に見た方がいいと思い、講談や浪曲を(成田と)一緒に観に行きました。あとは、活動弁士としての基本的なことを磨いて、この映画のあとはアルバイトとして活動弁士ができるようになってほしいなと思います(笑)」と話すと、成田は「活動弁士という仕事の楽しさを分かってきた。今後機会があれば本当にやってみたいなと思っています」と答え、笑いを誘った。

 ヒロインに抜擢された黒島は、自身の役どころについて「女優に憧れる女性で、非常に素直で純粋で、小さい頃に活動写真というものを見て、女優になりたいと思う一途な女の子です」と明かし、「今回オーディションで選んでいただいて、なんで私なんだろうという不思議な気持ちがあったのですが、素直にうれしいです。あまりオーディションで受かることが今までなかったので(笑)皆さんと良い作品を作っていけるというのは、今後の私の女優人生の中でも非常に貴重な経験になると思うので、撮影を頑張りたいなと思っています」と語った。

 竹中は「まぁ、私の役どころは全て渡辺えりが知ってますので!ここに来るまでの間に全部説明してくれたので!説明されて新たな発見がたくさんありました」とコメント。それに対し渡辺が「いや、台本に書いてあるところを自分がちゃんと読んでないだけじゃない!」とツッコんだ。竹中は「渡辺から『あんたは婿養子よ?あんた婿養子だからね?』と、いろいろ言ってくれて、なので私は婿養子らしいです」と、役どころについて語り、『Shall we ダンス?』からの息の合った掛け合いに笑いが起こった。

 渡辺は「私は芝居小屋の娘で、演劇好きで映画好き。そして長女なので婿養子をもらったのですが、子供が出来なくてずっとイライラしてる?そんな役どころです」と語った。

 永瀬、高良、井上、音尾、小日向、竹野内と共演するにあたっての気持ちを聞かれた成田は「そうそうたる方々がいる中で、主演という形で携わらせていただきますが、主演だからと変に気構えることなく、監督を信じ、共演者の方々を信じて一生懸命やっていきたいです」と心の内を語った。

 周防監督は「私の作品に欠かせない方もいれば、初めての方もたくさんいるので、どんな風に私の映画の中で輝いてもらえるかを考えるのは非常に楽しみですし、いつにもましてハジけた映画になると思います。大正時代の空気を感じさせつつ、映画自体の味わいとしては無声映画時代のアクションを意識して作るので、お芝居も普段やっている雰囲気とは違う形を皆さんに要求していこうと思っています」と語った。

 京都の太秦をはじめ、ロケセット等の手応えを聞かれた周防監督は「劇中のサイレント映画も全て、かつてあったものを使うのではなく、新たに撮影し、それを劇中のサイレント映画として公開します。それに先立って時代劇部分をこの太秦で撮影させていただきました。役者をはじめスタッフも時代劇を長年やってこられた、分かっている方々なので、非常に助かりました。今回は大正時代のお話ですが、太秦にある時代劇に対する蓄積というものを上手にこの映画の中で生かして、なおかつ東映が今まで持ち続けてきた技術や情感というものにも助けていただけるのではないかと思っておりますので、そういう楽しみもあります。私自身も現代劇を離れるという初めての体験であり、日本映画についての映画でもあるので、その培ってきた技術というものを私自身もここで体験し、勉強したいと思っています」と語った。

 活弁の具体的な練習内容について聞かれた成田は「活動弁士の方に男、女、説明部分の声色をいろいろと作っていただいたり、独特な話し方を教えていただいて練習しています」と。竹中、渡辺との共演については「昔から見ていた方々で、絶対に共演したいと思っていたお2人でしたが、一緒にやってみるとやっぱりさすがだなと感じることばかりです。『Shall we ダンス?』が23年前の作品なので、私が1歳のときから既に活躍をされていると思うと本当にすごいと」と語った。

 最後にどんな作品にしていきたいかを聞かれた黒島は「日本映画界の中でもオリジナルで、珍しい作品になると思っており、キャストの方々も素晴らし方々ばかりなので、皆さまの足を引っ張らないようにしがみついていきたいなと思っています。日本映画の始まりの話でもあるので、たくさんの方々に絶対見ていただきたいなと思っておりますので、精いっぱい頑張っていきます」と意気込みを熱く語った。

『カツベン!(仮)』
2019年12月全国ロードショー

公式HP:www.katsuben.jp

©「2019カツベン!(仮)」製作委員会