渡辺謙、カズオ・イシグロ作品映像化に「難しい企画をよくやった」『浮世の画家』

ドラマ
2019年03月24日

『浮世の画家』
 渡辺謙主演の8Kスペシャルドラマ『浮世の画家』試写会が行われ、渡辺、広末涼子、寺田心君が出席した。

 本作は、2017年度のノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの出世作「浮世の画家」をスーパーハイビジョン(8K)で映像化。終戦から数年経った日本を舞台に、高名な初老の画家・小野益次(渡辺)が過去の自分と向き合う姿を描く。

 主人公の小野益次を演じる渡辺は「『よくやったなNHK』と思うぐらい難しい企画。原作を読んだ時『これはドラマにはならんだろう』と正直思いましたが、藤本有紀さんに奥の深い台本を作っていただきました。8Kなので、小手先でやらずに、とにかく今、自分の中にあるものをありのまま、感じるままに小野益次という男の人生に乗っけるしかないと思い、悩みながら楽しみながら撮影しました」と撮影を振り返った。

 続けて「人生に答えはない、自分が思っている事や他人が考えている事が全く同じではないんだなということを感じました。摩訶不思議なドラマになったと思います。僕にとってはいずれくるであろう人生の終焉をどういうふうに受け止めて感じるべきなのか、この役を通して考えさせられました」と語った。

 8Kでの撮影については「あえてノーメイクで撮影しました。8Kは薄皮一枚乗っけてしまったら人間そのものに見えなくなると思ったので、人間の生の部分を撮ってもらいました」とノーメイクで撮影に臨んだことを明かした。

 小野の娘・村上節子を演じる広末は「私も淡々としていてクラシカルな本なので、映像になったときにどういうふうに受けとめられるのかな、っていうがありました」と台本の感想を語り、「そのクラシックな世界の中に、8Kの映像や、音もすてき。それは技術的なことだけじゃなく、見ていてすごく充実感があって見応えのある作品です」とPRした。

 節子の息子・一郎を演じる心君は「一郎君は喜怒哀楽のはっきりした男の子なので、一郎君の気持ちに素直になろうって思いました。常におじいちゃんのことが好きな気持ちを大切に、撮影をさせていただきました」と。また、撮影中のエピソードを聞かれると「自分が描いた怪獣の絵が採用されたのがうれしかったです。何枚も描きました」と笑顔で語った。

8Kスペシャルドラマ「浮世の画家」
BS8K
3月24日(日)後9・00~10・29

NHK総合
3月30日(土)後9・00~10・29

原作:カズオ・イシグロ『浮世の画家』
脚本:藤本有紀
演出:渡辺一貴
出演:渡辺謙、広末涼子、前田亜季、寺田心、中村 蒼、大東駿介、和田正人、渡辺大知、長谷川初範、萩原聖人、秋山菜津子、前野朋哉、佐藤隆太、佐野史郎、余貴美子、小日向文世、奥田瑛二ほか