梶裕貴「すてきな映画と役に出会えて幸せ」島﨑信長、内田雄馬と名作『モーリス』を新録吹替

映画
2019年06月17日

『モーリス』新録吹替完成披露イベント ムービープラス 吹替王国 presents『モーリス』新録吹替完成披露イベントが行われ、梶裕貴、島﨑信長、内田雄馬が登壇した。

「モーリス」は、1988年日本公開当時センセーションを巻き起こし、英国美男子ブームの火付け役となった文芸ロマン名作。

 20世紀初頭の英国ケンブリッジ。全寮制のキングス・カレッジで、モーリスは上流階級のクライヴと出会う。ギリシャの古典的理想主義と同性愛を信奉する彼に告白され、プラトニックな恋愛関係を育んでいくモーリス。卒業後もその関係は続くと思われたが、同級生が同性愛者として逮捕され、全てを失うのを目の当たりにしてクライヴは激しく動揺し…。

 今回、ムービープラス開局30周年のスペシャル企画として、梶裕貴、島﨑信長、内田雄馬による新録吹替版が製作され、7月21日(日)に放送される。

 モーリス役を演じた梶は、映画について「本当に美しい映画だなと思いました。美しいというのは視覚的にもそうなんですが、人間の光の部分、それに反して闇の部分、影の部分も含めてとても美しく感じる描かれ方をしています。今回ムービープラスさんが30周年ということで、我々は声を当てさせていただきまして、そうでなければ当然演じることもなかったわけですし、僕らとしても、もしかしたら会場の皆さんも映画との出会いがなかったかもしれない。こういった名作が皆さんにご覧いただく機会が生まれたことが本当にうれしいです」と語った。

 クライヴ役の島﨑は「全然色あせないというか、すごく面白いなと思って。何が一番面白いかというと、とても人間的で、人間ってきれいなところだけじゃなくて、ともすれば汚いところもあって。そこも込みで逆に美しかったりとか、すごくすてきだなと思いました。本当に計算しつくされていて、想像の余地も残してくれて、すごくいろんな意味で心も頭も楽しめるすてきな映画だなと思いました」と。

 アレック役の内田は「勝手に難しい話なのかな?と構えてしまったんですが、実際に映画を見たときに、時代もけっこう前の話なので、世界観はなじみがないんですけど、その中で行われている人間のやりとり、心のやりとりは今の時代の人にも通じるものがある。人間っていうものに注目が当たっている作品だったので、すごく共感もありました。見る人によってどう解釈するかはすごく変わってくるだろうし、そういういろいろな想像をさせてくれる作品だなと楽しく見させていただきました」と。

 梶は、自身の役柄について「1900年代初頭のイギリスということで、階級や身分が生きていく上でけっこう大きな割合を占める部分があるような社会で、大きな要素である同性愛、モーリスはクライヴの影響を受けてその気持ちに気づいていったところはあるかなと思うんです。想像以上にそういった愛が虐げられる時代の物語なので、そういう部分を中心に、苦しんだりとか、幸せな描写があったりとか、モーリスに関しては人間の感情、喜怒哀楽、そういうものがストレートに出る人物だなと思いました。モーリスは自分の思いに忠実で、思ったことは伝えたい人。たとえそれが法に触れることであっても、貫きたいと思うなかで物語が進んでいって、クライヴはクライヴで自分の感情があるなかで…(島﨑に)クライヴの話してごめんね(笑)。クライヴの気持ちも分かるというか、家柄というものがとても大事で、それを守るためにとか、自分の友達がそういった罪で捕まってしまったりとか、いろんな罪悪感にさいなまれていく中で、自分として何を守っていくかというところで、その葛藤が人間っぽいなって感じたりしたので、モーリスに関してはピュアに自分の思いをぶつけていって、そこで悩んで、迷ってでも幸せをつかんでいく人間だなと感じました」と。

 島﨑は「クライヴは身分だったり、地位だったり、階級だったりというところに一番しばられている存在で。家柄がいいということなんですけど、それもずっと順風満帆ではなくて、ちょっと傾きかけみたいなところもあって、ちょっと引いてしまうというか、自信を持っていけなくて、どこかで自分の思いを貫き通せなかった人だなと思っています。モーリスとアレックの2人を見ていると、愛を貫いていてすごくすてきだな、キラキラしてるなって思いつつ、だからアレックはこの中で一番身軽というか…(内田に)ごめんね、アレックの話をして(笑)。ある意味、アレックは一番背負うものがないからこそ貫けたということもあると思うんですけど、社会的に見たらクライヴが順風満帆というか、奥さんもいるし、ちゃんと家もあってって見えるかもしれないんですけど、本当の幸せってなんなんだろうって」と。

 内田は「アレックはこの2人と比べて生まれも違いますし、そういう立場が違うというのはけっこう大きくて。その中で、彼の世界で縛られているものというか、制限のあるものがあったと思うんですけど、それを越えても自分の思い、感じた衝動を出していく人。作品的にはこういう結末になりましたけど、クライヴに寄り添うのか、アレックに寄り添うのかっていう選択は、どちらの可能性もある中でこういう選択をしてそれが輝かしい未来なのかどうかは分からないっていう。そこに希望、可能性というか、その選択をしたことによってどうなっていくんだろうというのを考えさせてくれる、そういう大事なキャラクターだったんじゃないかなと思っています」と。

 ここで、3人が「モーリス」にちなんだ質問に答える「○×モーリス」のコーナーを実施。3人は「親友と呼べる人がいる」「好きな人に自分から告白できる」など14問に回答。矢継ぎ早に質問を繰り出すMCに、梶が「興味あります?」とツッコむと一同大爆笑。作品のシーンにちなんだ「じゅうたんでぐるぐる巻きにされてみたい」という質問では、3人が「○」と回答し、会場を沸かせた。

 さらに、それぞれのキャラクターの“決めぜりふ”を生披露するコーナーも。「すべてを投げ打ってもいい。僕が何より怖いのは君を失うことなんだ」(モーリス)、「もうごちゃごちゃ言うのはやめる。今夜俺と一緒にいてほしい」(アレック)などの甘いせりふに、梶は「ここだけ切り取られたら乙女ゲームのイベントですよ!」とツッコみ、会場は大爆笑に包まれた。

 最後に梶は「こういった名作に触れることができて、役者として携わらせていただくことができて幸せだなと感じています。モーリスの心の動きは自分の中で演じていてシンクロというか、分かるものがたくさんありましたし、お芝居していて楽しい時間でした。今回の吹き替え版は放送されますが、パッケージ等に収録される予定はないとうかがったので、ぜひぜひたくさんの方にご覧いただけるように勧めていただけるとうれしいです。すてきな映画と役に出会えて幸せでした!」とイベントを締めくくった。

『モーリス 4K【ムービープラス新録吹替版】』
ムービープラス
7月21日(日)後9・00~11・45 他
※4Kをマスターとした2Kダウンコンバート放送

監督:ジェームズ・アイヴォリー
出演:ジェームズ・ウィルビー(モーリス)/ヒュー・グラント(クライヴ) 他
声の出演:梶裕貴(モーリス)/島﨑信長(クライヴ)/内田雄馬(アレック)

ムービープラス『吹替王国スペシャル2019』:https://www.movieplus.jp/special/30/fukikae/