全編iPhone撮影の利点とは?映画『タンジェリン』脚本家&出演者が語る撮影秘話

映画
2017年01月30日

『タンジェリン』 全編iPhoneで撮影された映画『タンジェリン』の初日舞台挨拶が行われ、本作に出演したミッキー・オヘイガンと共同脚本家で共同プロデューサーのクリス・バーゴッチが登壇した。

 本作は、ロサンゼルスのバックストリートを舞台に、二人のトランスジェンダーの怒涛の1日をリアルかつユーモラスに描いたガールズムービー。超低予算を逆手にとった創意工夫と綿密なリサーチ、確かな技術力を駆使して、全編iPhoneで撮影されていることで話題を呼び、世界中の映画祭で数多くの賞を受賞している。

 舞台挨拶には、主人公シンディに彼氏の浮気相手として問い詰められるダイナを演じたミッキー・オヘイガンと、共同脚本家で共同プロデューサーのクリス・バーゴッチが登壇。

 観客の大きな拍手で迎えられたクリスは、「『タンジェリン』が劇場公開され、日本の皆さんに見ていただけることがとてもうれしいです。製作中は、日本はおろか、この映画を見てくれる人はいるのだろうかと思いながら作っていたので、夢がかなったようです」と満面の笑みで挨拶した。

『タンジェリン』の舞台はロサンゼルスの“レッドライト地区”として悪名高く、危険なエリア。そんな地区での撮影を振り返り、クリスは、「実は撮影初日に財布を盗まれてしまったんです。免許証も入れていました。現場のいろいろな仕事もしていたので、車が運転できなくなりすごく大変なことになりました。でも、iPhoneで撮影していたので学生が映画を撮っていると思われ、大したことないだろうと誰も僕たちの存在をあまり気にせず通り過ぎていきました。このような地域を6か月間歩きまわって、いろんな人から話を聞きながらリサーチしているときに、主演の二人に出会いました。最初は彼女たちの話のことを聞くだけのつもりでしたが、ルームメイトだった彼女たちのコンビぶりがあまりに素晴らしかったので、ぜひ出演してもらいたいと思ったのです。こうして映画にも出てくるドーナツショップで落ち合っては彼女たちからさらにいろいろと聞き出しました」と語った。

 今回初めてiPhoneによる撮影の現場を経験したミッキーは、「iPhoneの撮影はすごくやりやすくて本当に良かったです。カメラや照明といった機材のセッティングなど準備の時間が必要なく、すぐに撮影を開始できるので待ち時間が少ないのも演技する上で助かりました。また通常の撮影では、クローズアップを撮るのに大きなカメラが顔の近くまで寄りますが、今回はカメラの存在を忘れ、演技をすることができました。みなぎるエネルギーが映像から感じられると思いますが、それもiPhoneならではだと思います。通常は演技で動ける範囲が決まってしまいますが、スマホだと役者を追いかけてくれ、動きの制限がなく思いっきり演技できるのでiPhoneでの撮影は大好きです!ただ、今は他の普通の現場に行くと、自由に動けない気がして『タンジェリン』の現場が恋しくなってしまうぐらいです」と役者ならではの観点で、iPhone撮影の利点を明かした。

『タンジェリン』
渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開中

監督/共同脚本/共同撮影/編集:ショーン・ベイカー
共同脚本:クリス・バーゴッチ
共同撮影:ラディウム・チャン
製作総指揮:マーク・デュプラス、ジェイ・デュプラス
出演:キタナ・キキ・ロドリゲス、マイヤ・テイラー、カレン・カラグリアン、ミッキー・オヘイガン、アラ・トゥマニアン、ジェームズ・ランソン

配給・宣伝:ミッドシップ

公式サイト:www.TangerineFilm.jp

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