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内野聖陽インタビュー「エネルギーをくれる作品」特集ドラマ『どこにもない国』

内野聖陽インタビュー「エネルギーをくれる作品」特集ドラマ『どこにもない国』

ポール・邦昭・丸山氏の著書「満州 奇跡の脱出」で描かれる戦後秘話を基にした特集ドラマ『どこにもない国』(NHK総合)が、3月24日(土)、31日(土)前・後編で放送。終戦後、旧満州に取り残された150万を超える日本人の帰国を実現に導くため、我が身を捨てて奔走した男たちの物語。主人公の丸山邦雄を演じた内野聖陽さんにお話を聞いた。

特集ドラマ『どこにもない国』◆撮影に入る前にかなり準備をされたと聞きました。具体的にどのような準備を行ったのですか?

あまりにも満州の知識がなかったのでそこからですね。いろいろな本を読んで、台本を読む以前の問題として満州について知ろうと思いました。満州から引き揚げされた方は150万人以上いらっしゃるので、それぞれの方にとっての満州、150万を超える満州があったんだと思います。

◆内野さん演じる丸山邦雄という人物について教えてください。

最初は全く知りませんでしたし、歴史の教科書に載っていない方がこんなにすごいことをしていたという事実に驚きました。調べていくと、丸山さんは政治学を勉強されていた方で、「理想信念だけが人間の諦めと闘う武器なんです」っていうせりふも出てくるのですが、それは政治を学ぶことだとおっしゃっていて。理想の在り方や国の在り方を求め続けた純粋さが原動力だったのではないでしょうか。

◆大学卒業後、渡米し留学して政治経済を学んでいた丸山はその英語力も武器です。劇中では英語で話すシーンもたくさん出てきますね。

僕は海外留学をした経験がないので、この企画を頂いた時点でプロデューサーに僕で良いのかと聞きました。大学時代に英語劇みたいなことはしていましたが、ネイティブな感覚がないもので、毎日の特訓で何とか演じました。投獄された理由が「(丸山の)英語がうますぎたからというシーンもあるのでプレッシャーでしたね(笑)。

特集ドラマ『どこにもない国』◆同志として丸山を資金力で支える新甫八朗(原田泰造)や、人脈を持つ武蔵正道(満島真之介)という人物も重要になってきます。

そうですね。そのチームワークが(引き揚げを)成功させたというのを感じました。丸山さんという人物は「ドン・キホーテのように、正義のためなら風車でも突撃してしまうような危なっかしいところがある」と作家の方と最初に話していて、その危なっかしさが作品に出せたら面白いんじゃないかと思いました。

◆原田さんが内野さんとの撮影では常に緊張感があったとおっしゃっていましたが、原田さんや満島さんの印象はいかがでしたか?

原田さんは非常に落ち着いた大人な方で、僕自身が役柄も相まって情熱だけで突っ走ってしまうところもあるので、そういう意味で原田さんの存在は非常に妬ましくもあり(笑)、尊敬もあるという複雑な気持ちでいつもご一緒していました。満島君はいつもギャグばかり言っている、場を和ませるキャラクター。若いのにしっかりした考えを持っていて、撮影外での無駄話でもどこかキャラクターを引きずっていたので、だんだんとパーツが合ってくるような感覚になれました。

◆劇中の3人の関係に近づくことができたのですね。

そうですね。それぞれのキャラクターとして存在しながら無駄話をしていた感じなので、いつの間にか息が合ってきたんじゃないかなと。三銃士のように息が合っていないといけない作品だったので、そういう意味では凸凹トリオでしたけど、凸凹なりにうまく合っていたと思います。

特集ドラマ『どこにもない国』◆丸山の妻・万里子は木村佳乃さんが演じます。

木村さんは白黒はっきりしている方で、女性としての強さをとても感じられる、万里子にぴったりな方だと思いました。ご結婚されてお子様がいるから子供への接し方にもうそがなくて。英語も堪能で、しっかり支えていただきました(笑)。今回は弱い男が仕出かす話で、その弱い男を支えてくれたのが家族であり、奥さんだったという部分もあるので、劇中で彼女から託されるロザリオを彼女の化身だと思ってずっと演じていました。

◆撮影は日本各地のほかに、中国でも大掛かりなロケが行われたそうですが、苦労も多かったようですね。

中国ロケでは馬車を引く馬が調教されていなくて、馬車がなかなか定位置に停まってくれない(笑)。あとは言葉の問題ですね。ほとんど日中合作に近い状態で、現地のスタッフさんと助監督さんが入ってくれていたのですが、演出の指示一つをとっても文化の違いなのか、例えば「頷く」という動作でも、「軽く頷く」と伝えているのに、とても大きく頷く動作に変換されていたり(笑)。言葉の繊細な伝達にすごく時間がかかりました。

◆撮影中に大切にしていたことは何でしょうか。

当時の満州の悲惨さです。飢えと寒さと病気と暴力という、とにかく悲惨さを描かないと始まらなかった。見ていただければ惨状が伝わるかもしれませんが、いろんな本を読むと、実際はもっともっと悲惨だった。その悲惨さをいかに表現するかに腐心していました。

特集ドラマ『どこにもない国』◆引き揚げを実現するために奔走した丸山を演じられて、そのモチベーションはどこにあったと思いますか。

「現実を変えていかないといけない」という彼の生き方が一番大きいと思います。僕が丸山さんの研究の中で一番感動したのは、日本に帰ってきてから日比谷で行った「至誠天に通ず」という演説があるのですが、読むだけで涙がでちゃうくらい人の心を掴むスピーチなんです。「誠の思いを持って事に当たれば天に通ずるんだよ」というメッセージが書かれているんですが、それこそが彼の原動力なんだなって。常にそのスピーチを現場に持ち込み、読み返しながら演技しました。

◆作品の見どころを教えてください。

まだGHQが日本を支配している時代で、総理大臣になる前の吉田茂(萩原健一)さんも出てきます。吉田さんは外交官時代に丸山さんとは旧知の間柄でしたが、政治劇というような堅苦しい話にはなっていません。(脚本の)大森さんが目指しているのは、見る人にエネルギーをくれる大人のエンターテインメント作品。史実の材料を使いながら、視聴者の皆さんに楽しんでもらう構成になっています。

◆後編(3月31日(土)放送)には萩原健一さんも登場します。

萩原さんは吉田茂さんを演じることを楽しんでいらした。初めてご一緒させていただいたんですが、とても細やかに役柄を作り上げていく方で、眼鏡やステッキ、椅子1つにもすごくこだわられて、その細やかさがさすがだなと。初めて現場で萩原さんがフル装備の吉田茂の格好で杖をついて出てきた時には、「写真で見たことのある吉田茂がいる!」って(笑)。

 

■PROFILE

●うちの・せいよう…1968年9月16日生まれ。神奈川県出身。AB型。近年の出演作には、映画『罪の余白』、『海灘1890』(2015年)、大河ドラマ『真田丸』(2016年)、『LEADERS2』(2017年)などがある。2018年は4月スタートのドラマ『ブラックペアン』(TBS系)に出演。

 

■ドラマ情報

特集ドラマ『どこにもない国』
NHK総合
前編 3月24日(土)後9・00~10・13
後編 3月31日(土)後9・00~10・13

<STAFF&CAST>
作:大森寿美男
原案:ポール・邦昭・丸山
音楽:川井憲次
語り:柴田恭兵

出演:内野聖陽、木村佳乃、原田泰造、蓮佛美沙子、満島真之介、片岡鶴太郎、萩原健一ほか

<STORY(前編)>
昭和20(1945)年8月、満州。丸山邦雄(内野)は進駐してきたソ連軍に身ぐるみをはがされ、敗戦の現実の前に妻・万里子(木村)と子供たちをどう守るのか途方に暮れる。略奪や財産の没収は日常的となり、日本の民間人は脱出行の過程で多くが襲われ、さらに栄養不良、伝染病の流行で次々に命を落としていく。このままでは、150万を超える在満日本人は死に絶えてしまう。丸山は日本への引き揚げを祖国に訴えようと決意し、新甫(原田)、武蔵(満島)を加え、満州を脱出する計画を立てる。建設会社社長の新甫は資金豊富で肝がすわり、武蔵は中国語が堪能で現地の内情に通じる。そして、抜群の英語力で強い信念を持つ丸山、理想のチームが誕生した。万里子は夫の決意に同意するが、新甫の妻・マツ(蓮佛)は無謀な計画に不安を募らせる。家族を残したままで、ついに3人の脱出行が始まる。襲い掛かる数々の絶体絶命の危機を乗り越え、日本にたどり着くことができるのか。

©NHK

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