石川界人「物語も人物描写も海外ドラマを見ているような面白さ」Netflixオリジナルアニメ『B: The Beginning』

特集・インタビュー
2018年03月30日

現在Netflixで独占配信中のオリジナルアニメ『B: The Beginning』。物語が進むにつれて複雑に絡み合っていく人間模様や、個性豊かなキャラクターたちの言動は、瞬く間にアニメファンをとりこにした。そこで物語のキーマン・皆月を演じる石川界人さんに自身が演じる役や作品の魅力についてお話を伺った。


物語も人物描写も、まるで海外ドラマを見ているような面白さがあります

石川界人◆『B: The Beginning』が現在、全世界で絶賛配信中ですが、最初にこのアニメに触れた時はどのような印象をお持ちになりましたか?

Netflixというと海外ドラマが多いイメージがあったので、そのオリジナルアニメとなると、どんな作品になるのだろうかというワクワク感がありました。その後、資料を拝見したり、アフレコ現場で映像を実際に見たりしてみたら、まさに海外を意識した内容になっていて。舞台となっている街の雰囲気や会話のテンポ、それにアングルなどが、どれもすごく海外作品っぽいんです。実際にアフレコをした時も外画の作品の吹き替えをしているような感覚がありましたから。もちろん、そうした中にもアニメらしさがしっかりあって、今までにない世界観だなという印象を受けました。

◆この作品で石川さんは、梶裕貴さん演じる黒羽を執拗に追い続ける皆月役を演じています。皆月はどのような人物だと感じましたか?

まだご覧になっていない方のために役の全容をお話しできないのが心苦しいところなのですが、僕的にはかなりおいしい役を頂けたなと思いました(笑)。常にローテンションなたたずまいで、でもすごく存在感がある。しかも後半になるにつれてキーマンになっていくので、いかに最初から視聴者をひきつけていくかが大事になってくるんですね。また、悪役である以上、非道な部分もあるのですが、彼なりに目的があっての行動であり、そのためにいろんな手段をとっているにすぎない。演じる上では、そうした目的意識もしっかり考えていきました。

◆その他に役を演じるに当たって特に気をつけた部分は?

感情を出しすぎないこと。音響監督さんからの指示にもあったのですが、少しでも感情的になると「もう少し抑えてください」と言われていました。皆月はあくまで淡々と自分のなすべきことをこなしていく人物なんです。そうした性格的なものはブレないように気をつけました。

◆先ほどのお話にもありましたように、皆月の存在感は後半になるにつれてどんどん強くなっていきます。こうした物語の展開は事前に知らされていたのでしょうか?

いえ、通常のテレビアニメと同様に、一週間ごとに一話ずつアフレコをしていったので、頂いた台本以上のことはほとんど知らなかったんです。中には、事前に知っておいたほうがいいキャラクターもいますので、そうした役者さんはラストまで知っていたそうですが、僕は何とな~く聞かされつつ、あとは自分で予想を立ててましたね(笑)。ですから、その意味では、僕らもキャラクターや視聴者と同じように、新たに展開していく物語を楽しんでいる感じでした。ただ、今こうしてあらためて作品を見直してみると、皆月はかわいそうな男だなと思いますね。…あ、これ以上は詳しく言えませんので、ぜひ配信をご覧になってください(笑)。

石川界人◆また、この作品では石川さんが声優を目指すきっかけとなった憧れの平田広明さんとも共演しています。現場ではいかがでしたか?

それほど演技で絡む役ではなかったのですが、近くで生の演技を見ることができてとても勉強になりました。収録前、台本を読んで「平田さんならこんなふうにお芝居をされるかな」と想像しながらスタジオに行ったんですけど、それをはるかに超える演技をされていて。何気ない息遣い1つにもいろんな感情が込められていたんです。どうすればあんな表現ができるのかと、いつも感心させられっぱなしでした。それに、普段の平田さんはとてもダンディな方なんですが、少し大変そうな表現を求められると、「えぇ~…」っておちゃめにおどけるんですね(笑)。でも、その要求以上のことをさらっとやってのけて、「これでいいかな」と言って自分の席に戻っていく。その姿を見て、“これぞ、プロだな”と思いましたね。

◆平田さんが演じるキース役とリンクするところがありますね。

そうなんです。キースも普段は飄々としていて、だらしなく見えるところもあるのに、誰よりも仕事ができて、やるときはやる。ほんとにかっこよくって、男なら誰もが憧れるおじさんですし、性別を問わず好かれるキャラクターだと思います。

◆最後に、これから作品をご覧になる方に、石川さんがお薦めする見どころをお願いします!

物語の面白さやキャラクターの魅力はもちろんですが、この作品のもう1つの見どころはアクションだと思います。監督の中澤一登さんとは以前、『残響のテロル』でも一緒にお仕事をさせていただいたのですが、絵の動きにとてもこだわる方なんですね。今回も映像を見る限り、きっとスタッフさんが死力を尽くしたんだろうなって感じました。特に個人的に大好きだったのが、第一話で電車の上から黒羽が飛び立つシーン。その他にも、キャラクターたちのちょっとした目の動きや服装のなびき方など、細かい描写に注目していただきたいですね。また物語も、殺人鬼「Killer B」を追うストーリーかと思いきや、3つの組織が複雑に絡まっていく。どの視点で見るかによって物語の見え方が変わってきますので、ぜひ繰り返しご覧いただければと思います!

 

■PROFILE

●いしかわ・かいと…1993年10月13日生まれ。東京都出身。AB型。代表作に『ハイキュー!!』影山飛雄役など。今夏に映画「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」(飯田天哉役)が公開。

 

■作品情報

「B:The Beginning」「B:The Beginning」
Netflixにて全世界独占配信中

<STAFF&CAST>
原作:中澤一登×Production I.G
監督:中澤一登、山川吉樹
声の出演:平田広明、梶裕貴、瀬戸麻沙美、東地宏樹、稲葉実、小清水亜美、石川界人ほか

<STORY>
群島国家クレモナで繰り返し発生する凶悪犯罪。その犯罪者ばかりを狙う殺人鬼“KillerB”を追うため、ある事件を境に一線を退いていた特殊犯罪捜査官・キースが現場復帰を果たした。やがて彼は、異形の怪人・黒羽にたどり着く。

©Kazuto Nakazawa / Production I.G
 
●photo/干川 修 text/倉田モトキ