遊助インタビュー「距離感のある夢を常に持ち続けたい」

特集・インタビュー
2019年03月06日

デビュー10周年を記念して、すべてのシングル表題曲を収録したベストアルバム『遊助BEST 2009-2019~あの‥あっとゆー間だったんですケド。~』を発売した遊助さん。自分でも「不思議」という音楽活動10年と、「唯一戻ってもいいと思える10年間かも」という自分自身の10年、そしてファンへの思いなどを話してくれました!


10年は楽しかったし、楽しもうと必死に頑張ってきた時間でもある

遊助

◆あらためて10周年と聞いて、どんなことを感じますか?

周りのスタッフや友達から驚かれたり「何か不思議だね」って言われるけど、一番驚いてて不思議だなと思っているのは僕ですから(笑)。もともと音楽が得意だったわけでもないし、楽器をやってたわけでもない。ましてや音楽界を目指していたわけでもない僕が、ただただみんなへの感謝の気持ちを伝えたい一心で「ひまわり」を作った。それをきっかけに、こんなふうに10年も続くほど育っていくとは…。10年はゴールでも目標でもないけど、とりあえず10年前の自分に「ここまで来たぞ!」と教えてやりたいですね。

◆アルバムタイトルに“あっとゆー間”とありますが?

今、振り返ってみればあっという間に感じるけど、決して短い時間ではなかったですよ。間違いなく楽しかったけど大変なことも本当に多くて。大変なことがあるからこそ、やりがいがあるから、「楽しもうと必死に頑張ってきた時間」でもあった気がします。そもそも遊助ってファンの皆さんが作って育ててくれたもの。だから常に聴いてくれる人、応援してくれる人と1対1で向き合う感覚で曲を作っているんです。楽しいというよりも“その人”が喜んでくれたり元気になってくれることが一番。手紙やライブで見せてくれる表情でそれが伝わってくると、すごくうれしいというか、ホッとするという感覚に近いかもしれないですね。

◆デビュー曲「ひまわり」から最新シングル「砂時計」まで、すべての曲にその思いが一貫して込められているのを感じます。

時代や環境がものすごいスピードでどんどん変わっていく中で、10年ずっとやり続けられたことに感謝しているし、感謝を言い続けることができたと思ってます。そこはずっと変わりません。実は“変わらないこと”ってすごく大変なことでもあって、変えたくないものを守るために変わらなくちゃいけないものはたくさんありました。でも変えたからこそ変わらない景色があったし、変わってないからこそ変わりゆく景色も見てこられた。表現がややこしいけど(笑)、その絶妙なバランスで成り立ってる気がします。

◆デビュー曲からのシングルが並ぶアルバムを自分で聴くのはどんな気分ですか?

写真のアルバムを見ている気分に近いかもしれないです。デビュー当時は声も若くて、大人になっても声変わりするんだという驚きと発見がありました。よく「思い出の曲は?」と聞かれるけど、その時その時に精いっぱいの思いを込めて作って届けてきたから選べないんですよ。思い出はどの曲にもあるし、曲名を言われれば当時のことをすぐ思い出せますもん。どうしても1曲を選んでほしいと言われたら、やっぱり最新曲ですかね。なぜなら、今一番いい曲だと思っているものを出してるから。今の気持ちに一番近いし、そのタイミングでの集大成的な作品になっているはずなので。それに、街で声をかけられる時に「ひまわり、聴きました!」って10年前の作品を言われるよりも「砂時計、聴きました!」って言われる方がやっぱりうれしいじゃないですか(笑)。


距離感のある夢を常に持ち続けたい

遊助
◆この10年でアーティストだから見られたであろう景色や気持ちで印象に残っているものはありますか?

『ミツバチ』を横浜スタジアムで歌った時かな。僕は小さいころから野球をやっていたから横浜スタジアムっていわゆる聖地なんですよ。そして小・中・高校の最後の試合に負けた場所でもある。当時の自分は将来野球で食べていくんだって信じてたけど、まさかその数年後に同じ場所に立って、自分が作った歌で何万人というお客さんがタオルを振り回してくれて。遊助コールをしてジャンプしてくれるなんてまったく想像できなかった。その時は母親も客席にいたけど、息子が野球するのを応援していた数年後に、同じ座席に座って今度は息子のライブを見ることになろうとはかなりの衝撃だったと思いますよ(笑)。僕自身「変な人生!」って思ってますもん(笑)。

◆その“変な人生”の、今後の展望は?

これまでがそうだったように、何となくいい形で転がっていくのかなと漠然と思ってます。ただ、夢との距離は変わらないでいたいと思っていて。小さいころ「オレはプロ野球選手になる!」って言ってた時や、芸能人になって「いつかドラマで主役をやりたい!」って言った時に、聞き流されて笑われたりしたこともあったんです。でもそれを1つひとつ実現に近づけてきた。もちろん、すべての夢が叶っているわけじゃないけど、そういう距離感のある夢を常に持ち続けたいなと思ってます。

◆アーティスト活動も含めたご自身の10年間はどんな時間でしたか?

…この10年だけは戻ってもいいかもしれないなって。これまでの人生、失敗もたくさんしてきたけど後悔はしてないんです。だから10年前に「10年前に戻りたいですか?」って質問をされた時には「絶対にイヤだ!」って答えてたし、そう思ってたんです。それは過去がイヤだったわけではなくて、単純に「(過去は)もういいよ」って。だって野球部の練習、めちゃくちゃ厳しかったし(笑)。今考えるとすてきな思い出だけど、それとこれは話が違うぞと。ただ戻りたいわけではないんですよ。戻ってもいいなと思える10年間を過ごしてきたなって。多分、戻ったところでまた同じ道を歩む気がしますけどね。

 

■PROFILE

●ゆうすけ…1979年4月18日生まれ。神奈川県出身。O型。俳優・上地雄輔として数多くのテレビや映画に出演する一方、ソロアーティストとしても活躍中。「10th Anniversary Live‐必然!!‐」が3月11日(月)に大阪城ホールで開催。

 

■CD情報

Best Album
遊助BEST 2009-2019
~あの‥あっとゆー間だったんですケド。~
Now on Sale!

初回生産限定盤A(CD2枚組+Blu-ray)
1万1800円+税

初回生産限定盤B(CD2枚組)
4500円+税

通常盤(CD2枚組)
3000円+税
 
●photo/花井 透 text/伏見香織