【インタビュー】主演舞台「グランディーバ」が再演!上遠野太洸インタビュー

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2015年11月05日

『仮面ライダードライブ』でチェイスを好演した上遠野太洸さんが、昨年ニューヨークの女装バレエ団に混じって初の主演舞台に挑んだ「グランディーバ」の再演が決定。女装ダンサーたちのシュールさと男性ならではの力強さが独特の世界観を生み出す本作に懸ける思いを語ってくれました。

自分の持てる力すべてを注ぎ込むつもり

――『仮面ライダードライブ』の放送が終わって約1か月。Vシネマの『仮面ライダーチェイサー』を撮影中だとお聞きしましたが、“ドライブロス”に陥る暇もなく…という感じですか?

 いや、むしろ今のほうが“ドライブロス”かもしれないですね(笑)。『仮面ライダードライブ』の本編の撮影が終わったときは、もちろん寂しさでいっぱいだったんですけど、『仮面ライダーチェイサー』をやることが既に決まっていたので、心の片隅ではまだ本当の終わりではないなという気持ちがあったんです。で、『チェイサー』を撮影している中で、毎日のようにキャストの誰かがオールアップしていくんです。主演の僕はそれを“見送る側”じゃないですか。本編のときは(竹内)涼真が主演だったから、僕は見送られる側だったんですけど、今回は全く逆。ちょうど昨日、涼真、だーりお(内田理央)、稲葉(友)の3人が一気にオールアップして、寂しかったですね。

――主演ならではの心情ですね。

 正直、この『チェイサー』に関しては、撮影をしていても“自分が主演だ”っていう感覚がそこまで強くないんです。やっぱり一年間チェイスを演じてきてるから、その延長線上というか。とはいえ、プレッシャーはとてつもなく大きくて。内容的に演じる難しさがあるのと、今まで見たことがない、だけどこういう一面も見てみたかったと思ってもらえるようなチェイス像を目指してるので、それが皆さんに受け入れてもらえるかどうかっていう不安もあって。あと、『チェイサー』の発売は来年の4月なので、それまでに皆さんの“ドライブ熱”も冷めてしまわないかと…。もうそれら全部がプレッシャーです。昨日、涼真たちにも心配されちゃいましたよ。「やせた?」「大丈夫?」って(笑)。きっと涼真も毎日こんな気持ちだったのかなって、今になって身に染みて分かります。ただ『ドライブ』を、そしてチェイスを愛してくれた人たちに向けての作品である以上、決して無様なものにはしたくないし、4月まで待ってもらうだけの魅力がある作品にしたいと思っています。

――期待しています。そして11月からは昨年に引き続いて主演舞台「グランディーバ」が幕を開けますね。

 昨年やらせていただいたときも思ったんですけど、自分が主演でいいのかなって(笑)。周りは世界で通用する実力を持ったバレエダンサーさんばかりで、それに比べたら僕のバレエの技術なんて赤ちゃんレベルですから。それに今回は、特に時間がなくて。再演のお話自体は結構前からいただいてたんですけど、振付師の先生と稽古の日程について打ち合わせできたのが9月の終わりで、僕は『チェイサー』の撮影があるし、先生もお忙しくて、結局最初の稽古ができることになったのが10月半ばだったんです。『チェイサー』の撮影の合間を縫って2日間、姫路まで稽古に行ってきました。で、戻ってきてまた『チェイサー』の撮影があって、オールアップしたらすぐ、10月28日からリハーサルをやって、11月4日からが本番。こんな経験、初めてです(笑)。

――かなりハードですね…。

 再演ですけど、全く余裕がないです。状況としては昨年よりもずっとハードですね。ただもちろん、前回よりクオリティーが落ちるようなことにするわけにはいきません。前回のほうがよかったよね、なんて言われるようなら再演でやる意味がなくなってしまう。時間はないですけど、その中で自分の持てる力すべてを注ぎ込むつもりです。

筋骨隆々の見た目に裏打ちされた技術に注目してほしい

――昨年は一からのバレエ挑戦で、ニューヨークに稽古に行かれたそうですね。

 1か月間ニューヨークに行って、みっちり稽古してきました。初心者の僕にはバレエの動きって何をやってもしっくりこないし、うまくいかない。毎日どこかしら体が痛くなってました。つま先を伸ばすだけでも足つっちゃったりなんかして。最初の1週間くらいは、毎日帰っては倒れるように寝て、気づいたら朝で、もう稽古に行かないと…みたいな状態でした。一番ひどいときは、時差ぼけもあって高熱が出ちゃって、それでも稽古してましたから。大変でしたね。当たり前ですけど、やっぱりバレエって一朝一夕でできるものじゃないですから。頭の先からつま先まで、常に神経を行き渡らせてないといけないですし。でも、昨年「グランディーバ」をやり遂げたとき、この先どんな無茶な仕事があっても何とかなるだろうなって思ったんです。僕の俳優人生、と言ってもまだ5年くらいですけど、その中で一番変わっていて、一番大変な思いをした仕事で、だからこそ思い入れも強いんです。何より、大きな舞台で主演を務めさせていただくのが初めての経験だったので、そういった意味でもまさに“晴れ舞台”という感じでした。

――その“晴れ舞台”に再び立つわけですが、今は体の調子はどうですか?

 前回は準備期間がそれなりにあった分、自然とバレエに合った体になっていったと思うんです。体もいい感じに引き締まって、お尻もきゅっと上がって(笑)。今回はそこまで仕上げるかどうかはこれからにかかっていますが、自分としては前回の貯金がまだあるかなって思っているので、後は本番までにどれだけ集中して詰めていけるかだと思います。

――『ドライブ』で初めて上遠野さんのファンになったという人もたくさん観に来られると思います。

 そうだとうれしいですね。チェイス以外に上遠野にはこういう面もありますよっていうことを知ってもらえる入り口になったらなと。『ドライブ』が終わって最初のお仕事でもありますし、ぜひ観てもらいたいです。でもどうなんだろう…チェイスの上遠野を好きになってくれた人たちに、そうじゃない上遠野は受け入れてもらえるのかな? 女装もしてますからね(笑)。それを受け入れてもらえるようにするのが僕の課題なのかなとは思っています。

――女装姿は、ご自身ではどう思われていますか?

 僕はもともと色白だし、わりと線が細いほうなので女性に見えなくもないかもしれないけど、やけに首が太いなって(笑)。でも、その“女装してる感”が出ていているからいいんです。アンバランスさが作品としての面白さにもつながっているので。完璧に女性に見えてしまったら、それは面白くも何ともない。女性らしさを男がやっているというのが、この「グランディーバ」の魅力の1つでもありますから。

――では、「グランディーバ」を楽しみにしているファンに向けてメッセージをお願いします。

 この作品の一番の見どころは、何と言っても筋骨隆々の男たちがチュチュを着て踊っている姿。見た目のシュールさって意味じゃなく、もちろんそれもあるんですけど(笑)、その見た目に裏打ちされた技術にぜひ注目してほしいです。バレエをご存知の方はもちろん、知らない方にも“新たな扉を開けてしまった!”みたいな感じで驚いてもらえると思います(笑)。僕自身、バレエの技術は拙いですが、主演として舞台に立たせていただく以上、絶対に皆さんに満足していただける内容のショーにしますので、ぜひ足を運んでみてください。

PROFILE

上遠野太洸(かとおの・たいこう)
1992年10月27日生まれ。宮城県出身。第23回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」グランプリ。主な出演作はドラマ『黒の女教師』『35歳の高校生』『チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮』、主演映画「ガキロック」など。出演映画「忘れ雪」が公開中。


作品情報

■グランディーババレエ団ジャパンツアー2015
<出演>
グランディーバ バレエ団/上遠野太洸
<演目>
白鳥の湖、瀕死の白鳥、海賊のパ・ド・ドゥ、パキータ・ガラほか
<料金>
S席 8,000円 A席 7,000円
<公演日程>
◆プレ公演◆
2015年11月7日(土)取手市民会館
開場14:30 開演15:00
全席指定6,000円
◆本公演◆
2015年11月 8日 (日)新宿文化センター
開場15:30 開演16:00
2015年11月10日(火)横浜・関内ホール
開場14:30 開演15:00/開場18:30 開演19:00
2015年11月11日 (水)Bunkamuraオーチャードホール
開場18:30 開演19:00
2015年11月13日 (金)グランキューブ大阪
開場18:00 開演19:00
2015年11月15日 (日)北九州ソレイユホール
開場16:30 開演17:00
2015年11月16日 (月)熊本県立劇場 演劇ホール
開場18:30 開演19:00
2015年11月18日 (水)名古屋市公会堂
開場18:30 開演19:00

 
  

●text/甲斐武