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「違和感を投げ続けたい」加瀬亮&篠原篤インタビューWOWOW『ドラマW この街の命に』に出演

「違和感を投げ続けたい」加瀬亮&篠原篤インタビューWOWOW『ドラマW この街の命に』に出演

ある街の行政組織「動物愛護センター」を舞台に、“犬猫の殺処分”に直面する行政獣医たちの葛藤と再生を描いた物語『ドラマW この街の命に』が4月2日(土)にWOWOWで放送される。本ドラマで行政獣医・牧田洋を演じる加瀬亮さんと、作業班・木崎良太を演じる篠原篤さんに、難しいテーマの作品に出演するにあたり、どんな思いを持って役に挑まれたのか、またお互いの印象についてお話を伺いました。

牧田は自分と近い違和感を持っている人(加瀬)

『ドラマW この街の命に』

――撮影に入る前に、台本を読んだときの率直な感想を聞かせてください

加瀬 初めに題材を聞いたときは、あまりいい予感はしませんでした。勝手な先入観ですけど「動物愛護」と聞くと、なんとなく感情的に何かを叫んでいるイメージがあったので題材そのものを「ちょっと避けたいな」というのが、最初の印象でした。でも読んでみると、動物愛護センターや、そこで働く人をとても丁寧に取材されていて、感情的ではなく静かに描かれていたので、自分も「動物愛護」についてきちんと向き合ったことがなかったし、この機会を借りて一度ゆっくりこの問題を考えてみようかな、というふうに思いました。

篠原 殺処分とか動物愛護についてのドラマではあるけれど、それと同時に“人間ってなんぞや”って言ったら大げさですけど、人間の責任とか、そもそもある傲慢さとか、コミュニティーの中の役割とか、そういうものが視点になる作品かな、と思いました。

――「動物愛護センター」で働く加瀬さんは行政獣医、篠原さんは作業班という役柄ですが、それぞれどんなキャラクターですか?

加瀬 僕が演じる牧田は、動物が好きで獣医になったとは思うんですけど、たまたまこういう施設に配属されて。その中で、殺処分の現実に困惑している、僕から見たらまっとうな弱さを持った人だと思いました。犬や猫を飼って最後まで面倒をみないというのは、事情があるにしても疑問に思うので、自分と近い違和感を持っている人だな、とも思います。

篠原 木崎という役は、ほかの方たちに比べて殺処分とか愛護っていう観点より、もう少し手前というか、疎いというか、遅れぎみにそのことに気づいていくのかな、と。最初に役が決まっていたので、そういうアプローチになるんじゃないかと思いました。頭が悪いというわけじゃなくて、体を使って働くというそのものが好きというか、そういう日常を手に入れたことが彼の中では大事なことだったんじゃないかと思っていました。

違和感を持ち続けて変えようとするのは楽しみ続けたいから(加瀬)

『ドラマW この街の命に』

――ドラマでは殺処分という現実を疑問に思い続けたことで、動物愛護センターの方向性が変化していきますが、日常生活の中で感じた違和感を変えていくために必要なものは何だと思いますか?

加瀬 僕は最初に違和感を投げ込む役ですが、すぐに呼び止められて「穏便にいきたいんです」というようなことを言われて。「穏便にいきたい」って一見良さそうな言葉ですけど、ドラマに限らず、物事が停滞する要因だと思うんです。

篠原 加瀬さんがおっしゃった「違和感を投げる」って、僕も同感です。その違和感ってネガティブなことだけじゃなくて、憧れを持ち続けるっていうことですよね。

加瀬 違和感とか憧れというものに向き合い続けるのはものすごく面倒で、体力もいる。1人でやるんだったら相当な覚悟がいるんでしょうし、最終的には1人ではできないことなのかもしれません。それでも違和感を持ち続けたり、投げ続けようとするのは、物事が淀まず、そしてよりよく進むためにとても大切なことだと思います。

篠原 憧れって決して大げさなことじゃなくて、自分が幸せに生きていたいとか、自分が幸せであるならそばにいる人を幸せにしたいとか、人間として当たり前のことだと思うんですよね。僕なんか、目をつぶって浮き上がってくることが今一番自分が気になっていることだと思うようにしています。それを加瀬さんみたいに投げ続ける。それは本当に体力も消耗しますし、すごく大変なことですけど、やり続けることが大事だということ。何かに1回チャレンジして、成功体験を1回経験すれば、やり続けていける人になる可能性がある。だからそういう経験が大事だと思います。

――シリアスな問題を扱うドラマの中で、置き去りにされた犬を捕獲しようと現場に向かった際、そのうちの1匹が脱走してみんなで追いかけるというシーンは、とてもほほえましく写りました。

加瀬 あれは、僕たちも笑いました。ここにきていきなり青春映画のような感じで(笑)。監督も、結構重たい空気の真剣なドラマなので、どこか抜けがほしかったのかもしれないですね。それまでのシーンは淡々としていて動きがなかったですし、単独のシーンはあるんですけど、みんなでっていうシーンは意外と少なくて。だからみんなで何かをやるときはどのシーンも楽しかったです。

――このドラマを通して視聴者の方に伝えたいことは何だと思いますか?

加瀬 今回、牧田という役を演じて思ったのは、動物愛護センターにたまたま新しい所長が来て、たまたまほかの仲間たちも違和感を持っていた、というのがセンターを変えていけた、進めていけた理由です。そこで誰もが“何言ってんだこいつ”とか“優等生ぶりやがって”とか、そうやって牧田が孤立した場合には簡単につぶれちゃうことだと思うんです。1つの映画を撮るときにも同じですけど、自分が持った違和感を投げたときに取り合ってくれなかったりすると、そこで違和感はないことになってしまう。自分の中の違和感はなくならないのに。ある程度意思を共有しないと、1人だけがめんどくさいやつっていうことにもなりかねないので、共有できる人たちがいないとな、というのはすごく思いました。

篠原 僕はドラマの中で、ポジティブな意味じゃないんですけど好きなせりふがあって。牧田が疑問を投げかけたときに「先輩たちから教わってきたし」と前川(黒田大輔)から言われるんですけど、先輩からそう言われただけで蓋はできないですよね。その蓋は明らかに開いているか、欠けているから漏れてきているんですよね。蓋をしていても漏れている…それが違和感だと思うんです。自分が感じた違和感を投げて、その環境を変えるのは1人じゃできないから、誰かに助けてもらったり、背中をパーンと押してもらったり、自分でやったような気がしていても本当は家族とか友達とか、何かの縁だったりするんでしょうけど。この作品を通して思ったのは、誰かと一緒にいることにはそういう力があるんだな、と。やり続けることは大変だけど、それを続けて幸せな経験をしたことが1回でもあれば、もっと幸せになれるのかな、と思いました。

加瀬さんはとっても兄貴肌(篠原)

『ドラマW この街の命に』

――お2人は本作が初共演になりますが、お互いの印象を聞かせてください

加瀬 現場でお会いしたとき“ワルそうでいいな”と思いました(笑)。こういう空気を出している人はなかなかいないですよ。今回最初に、施設の見学も含めて共演者の人たちと会ったんですけど、篠原さんを含めみんな内側に熱を持っている人ばかりでした。

篠原 今加瀬さんが僕のことを「ワルそうだ」とおっしゃいましたけど、僕も加瀬さんのことを“ワルそうだな”と…(笑)。冗談ですけど。加瀬さんはとっても兄貴肌というか、僕は勝手にいとこのお兄ちゃんぐらいに思わせてもらっています。加瀬さんがおっしゃっていたように、ほかの皆さんはキャリアがあって、自分のペースをしっかり持っている方たちだけど、グルーヴ感みたいなものを持たせてもらったな、というのがあります。その輪の中に入れてもらったというような、どの方も優しい方でした。

加瀬 久々に会えてうれしいですね。いや、なんていうんですかね。仕事だからといって、スマートに賢く、そつなくこなしちゃっている人が多い中で、篠原さんはすごくストレートなんです。例えば、僕がちょっとしたシーンの台詞に悩んでいたことがあって、篠原さんと一緒に控え室にいるときに相談したんです。そうしたら「あのシーンのことですよね」って、すらすらっと台詞を言ってくれたんです、僕の台詞まで。台本もなく。つまり丸暗記しているわけです。本来なら当たり前なんですけど、最近はそういう人に会わないなと思ったし、ちゃんとやろうとしているというか。だから現場でも信頼できたっていうのが大きいのと、何度かご飯にも行って、面白かったので(笑)。

篠原 僕はスマートじゃなかったんですね…(笑)。あんまり器用なほうじゃないので、そういうふうなやり方しかできないんですけど、そうおっしゃっていただいてうれしいです。加瀬さんは主語なくお話される人で(笑)、急に「どうなのよ」って話しかけてこられることもあったんですが、数日目には何のことについて、どのくらいのことを僕に質問しているのかが分かるようになって、2人でずっとしゃべっていました。言語領域が一緒というか(笑)。加瀬さんはすごく賢い方なので、僕に合わせてくれているんだと思いますけど。そうやって話を合わせてもらいながら僕の話を聞いてくださるので、恥ずかしいな、ということも平気で加瀬さんに言っているなぁと思います。仕事でもプライベートでも、僕もこういう方に会うことがなかなかなかったのでうれしいです。

 

PROFILE

加瀬亮●かせ・りょう…1974年11月9日生まれ。神奈川県出身。B型。
2000年、石井聰互監督の映画「五条霊戦記」でスクリーンデビュー。2007年には周防正行監督の映画「それでもボクはやってない」で主演し、第31回日本アカデミー賞優秀主演男優賞、第50回ブルーリボン賞、第32回報知映画賞など、数多くの賞を受賞。

篠原篤●しのはら・あつし…1983年2月1日生まれ。福岡県出身。
役者の道を目指し、24歳のときに福岡から上京。2013年、映画「始まりの風景」で初監督を務め、同年、橋口亮輔監督作品「ゼンタイ」に出演。2015年、同監督作品の「恋人たち」で主演に抜擢され、日本アカデミー賞、キネマ旬報ベスト・テン、高崎映画祭で新人賞を受賞した注目の俳優。

 

作品情報

『ドラマW この街の命に』

WOWOW ドラマW この街の命に
2016年4月2日(土)後9・00~11・00 WOWOWプライム

●ストーリー
動物愛護センターに行政獣医として配属された牧田洋(加瀬)は国の法律に従い業務を遂行する。飼えなくなった、鳴き声がうるさい、かまれたなど、さまざまな理由で捨てられた犬や猫を殺処分する業務だ。動物たちの命を絶つことに彼は“誰かがやらなければならない仕事”と自分に言い聞かせながらもがき苦しんでいる。同じく同僚の行政獣医・幡枝亜紀(戸田)は病院に通い、精神安定剤が手放せず、作業班の志賀悟(渋川)は「犬がしゃべる」と言い出し悪夢にうなされていたが、職員の誰もが心に蓋をして業務を続けていた。そんなある日、獣医・高野綾子(田中)がセンターの新所長として配属される。高野は着任早々「犬と猫には全部名前を付けて」と言い、トリマーを呼び寄せ動物に手入れをして清潔にする。現状を変えるという高野の思いに背中を押された牧田たちは、殺処分を減らそうと動き始める。しかし、無責任な飼い主はいなくならず、牧田たちは大きな選択を迫られる。

●キャスト
加瀬亮 戸田恵梨香 田中裕子
渋川清彦 黒田大輔 岡山天音 諏訪太朗 篠原篤 柳英里紗 高橋長英 島かおり きたろう 熊谷真実

●スタッフ
監督:緒方明
脚本:青木研次
音楽:coba

●関連番組
「ドラマW この街の命に」放送記念!俳優 加瀬亮
・4月2日(土)後1・00~後3・30 映画「それでもボクはやってない」
・4月2日(土)後3・30~後5・35 映画「劇場版 SPEC~天~」
・4月2日(土)後5・35~後7・15 映画「劇場版 SPEC~結~漸ノ篇」
・4月2日(土)後7・15~後8・55 映画「劇場版 SPEC~結~爻ノ篇」

「ドラマW この街の命に」公式サイト…(http://www.wowow.co.jp/dramaw/konomachi/


ヘアメイク:細川昌子(ベレッツア スタジオ)
スタイリスト:梶雄太
取材・文:田代良恵

 

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