林遣都インタビュー「気づいたら心を打ち抜かれる瞬間がある」『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

特集・インタビュー
2017年09月22日

作家・東野圭吾の同名ベストセラー小説の実写映画化となる『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が9月23日(土・祝)に公開。本作で、過去と現代がつながる最初の悩み相談の手紙を投かんする“魚屋ミュージシャン”こと松岡克郎を演じた林遣都さんにインタビュー。

林遣都インタビュー

◆最初に本作の台本を読んだ時の印象を教えてください。

原作を読んで、伏線がどんどん回収されていく所がすごいな、見事だなと思いました。それが最後に全部がつながったときに、ファンタジーのつもりで読んでいるんですけど、気づいたら自分の生きている人生の何かに置き換えていたり、純粋に感動して、すごい作品だなと感じました。

◆演じた“魚屋ミュージシャン”についてはどんなふうにとらえていましたか?

物語の中で最初のエピソードというか、手紙のやりとりが始まるきっかけとなる役どころで、映画全体の中でとても重要なポジションだなと思いました。しっかりと説得力のある生き様、証しみたいなものを次につなげていかないといけないなと感じていました。

◆ギターやハーモニカを演奏するシーンがありますが、このために練習を?

はい。音楽は好きなんですけど、自分で演奏したり歌ったりというのは素人なので練習しました。自分で歌って、ハーモニカも演奏してというのを廣木監督に求められていたと思うので。

◆廣木監督とは「火花」でもご一緒されていますね。

「火花」を終えたとき、またいつか廣木さんの作品に出たいって強く強く思ったので、割と早く呼んでいただけてそれがとにかくうれしくて。その上で台本を読んで重要な役柄と感じたので、廣木さんをがっかりさせないように、しっかり作っていこうと思いました。

◆すぐにお声がかかったのは、廣木監督がそれだけ林さんを高く評価しているということですよね。

そうだとうれしいですけど(照)

林遣都インタビュー

◆廣木監督は現場で台本を一切見ないと伺ったことがあるんですが…

基本的に廣木さんが現場で台本を読んでいたりということはないです。もちろん作品のことは全部頭に入っているということです。
廣木さんの現場ですごく学んだというか、この先も迷ったときにそこだけは大事に忘れないようにと思っていることがあるんです。
それは、とにかく与えられた役がしっかり映像の中で生きているように見てもらえることが大事だということ。
廣木さんには必ずそれを求められるんです。
そういう意味で、台本のセリフどうこうではなく、そこで生まれた感情を大事にしなきゃいけないと思っています。

◆「火花」でも共演された小林薫さんと、今回は親子役を演じられました。

今回のほうが物語の上での関係性が強かったので、自分にとって大事な時間だったなと感じています。
すごい方と共演するって、そこで何を得たか、何がすごかったかって、今は分からない部分がほとんどだと思っているんです。でも、共演すること、一緒のシーンの現場に立つことに意味があって。そういうものは、ずっとこの先も自分の中に残っていくんだろうなと思っています。

◆完成した映画はご覧になりましたか?

観ました。やっぱり廣木さんの作品なので、「火花」もそうでしたけど、出ている登場人物が本当に生きていて。苦しんでいる姿も、喜んでいる姿もすべてが人間味にあふれている。
お芝居、演出、スタッフの人たちの撮り方だったり、そういうもののすべてが集約されているんですよね、廣木さんの作品って。
これだけ登場人物が多い作品なので、出演者に引き込まれるなって、より感じました。

◆それでは、これから映画を見る方へのメッセージをお願いします。

手紙がタイムスリップして過去の人と未来の人がやりとりをするって、実際はありえないファンタジーなんですが、そのありえない話にのめりこんで見ていると、気づいたらとっても心を打ち抜かれる瞬間があります。感動するところや、感情移入の仕方は人それぞれだとは思うんですが、何も考えずに楽しんで見てもらえたらと思います。

 

■PROFILE

はやし・けんと…1990年12月6日生まれ。滋賀県出身。
映画「バッテリー」(07)の主演を務め俳優デビュー。
主な出演作に映画「パレード」(10)、「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」(12)、「しゃぼん玉」(17)、TVドラマ「火花」(17)、「べっぴんさん」(17)など。公開待機作に「野球部員、演劇の舞台に立つ!~甲子園まで642キロ~」(来春)がある。10月から舞台「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」に出演する。

 

■作品情報

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
9月23日(土)全国公開

<ストーリー>
2012年。少年時代を養護施設で過ごした敦也(山田涼介)は、幼なじみの翔太、幸平と悪事を働いて1軒の廃屋に逃げ込む。そこはかつて人々が悩み相談をすることで知られていた「ナミヤ雑貨店」だった。今はもう廃業しているはずだったが、シャッターの郵便受けに何かが投げ込まれる音を聞く。それは、悩みを持つ人からの相談の手紙だった。何と、その手紙は1980年に書かれたものだった。敦也たちは戸惑いながらも当時の店主・浪矢雄治(西田敏行)に代わって返事を書く。次第に明らかになる雑貨店の秘密と、その背景にある敦也たちがいた養護施設と浪矢の知られざる関係。
そして、これまで誰かのために何かを真剣に考えたことなど一度もなかった3人が気付いていく他者とのつながり。
敦也たちが雑貨店の秘密をすべて知った時、1980年にいる浪矢との手紙のやりとりでもう一度再生する希望をもつ。
悩みを相談した人々をつなぐ奇妙な運命。その日、敦也たちに起きたのは、時空を超えたたった一夜だけの奇蹟だった。

原作:東野圭吾(『ナミヤ雑貨店の奇蹟』角川文庫 刊)
出演:山田涼介、村上虹郎、寛一郎、成海璃子、門脇麦、林遣都、鈴木梨央、山下リオ、手塚とおる、PANTA、萩原聖人/小林薫/吉行和子、尾野真千子/西田敏行
監督:廣木隆一
脚本:斉藤ひろし
主題歌:山下達郎「REBORN」(株)ワーナーミュージック・ジャパン

配給:KADOKAWA/松竹 (共同配給)

公式サイト:namiya-movie.jp
公式twitter:https://twitter.com/namiya_movie

©2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会