杉山未央インタビュー「異世界にいた感じ。ファンタジー、不思議な感じでした」映画「私の奴隷になりなさい」

特集・インタビュー
2018年10月19日

伝説的映画「私の奴隷になりなさい」の続編が2作連続で公開。9月末より全国順次公開中の「私の奴隷になりなさい第2章 ご主人様と呼ばせてください」に続き、10月13日より「私の奴隷になりなさい第3章 おまえ次第」が公開された。スクリーンデビューとなった「~おまえ次第」でヒロイン・繭子をまさに体当たりで演じきった杉山未央さん。公開初日を迎えた感想や本作への思いを語ってもらった。


異世界にいた感じ。ファンタジー、不思議な感じでした

杉山未央インタビュー◆いよいよ第3章が公開されましたが、今の心境をお聞かせください。

まだ実感が湧いていなくて…状況は分かっているんですけど、気持ちが追い付いていないんですよね(笑)。うれしくもあり、寂しくもありという感じです。今朝から公開に向けて動いていたこととか撮影中のこととか思い出していると、それが終わってしまうことにちょっと寂しくなっていますね。

◆舞台あいさつでお客さんを前にしたらまた違う気持ちになるかもしれませんね。

今までも完成披露イベントなどこの作品を知っている方の前でイベントをしているんですけど、その時とは比べられないほど“なんか今日は違うぞ”という雰囲気を感じていて。普段あまり物事を深く考えずに、感じるままに生きているんですけど、今日は本能的に何か違うなっていうのをひしひしと周りから感じて、私の緊張を上げています(笑)。

◆オーディション時から公開までを振り返ると早かったですか?

早かったですね、あっと言う間でした。役が決まって2か月後から撮りますとなってからは、全部が私にとって初めての経験だったので、目まぐるしかったです。今回作品に出ている方たちの中で過ぎる時間は私が一番早く感じたと思います。

杉山未央インタビュー◆スクリーンデビューとなった本作のオーディションで受かった時はいかがでしたか?

最初のオーディションで、すごく私の話を聞いてくれたんです。オーディションでそんな経験をしたのは初めてで、こんなに私に興味を持って話を聞いてくれるってことは、これを手応えと言うのかなと思いました。そうしたら次の面接にも呼んでいただいて、まだ決定じゃないけど、もしかしたら受かるかも、みたいなことを言われたんです。“うわ、期待させる~”と思ったんですけど、その時点では面接でこんなことを言われたとかは誰にも言ってなくて。事務所の方にも。今回のオーディションもあまり期待していなかっただろうから、受かるかもなんて調子に乗ったことを言ったら、“何なんだこの子は?”って思われるだろうなと。そうしたら年末に電話がかかってきて、“ぜひお願いしたい”、さらに“脱げますか?”とも聞かれて。私はオーディションを受けた時から覚悟はできていたし、脱ぐとか脱がないとかで考えていたわけではなかったので、大丈夫ですとは言ったんですけど、一応マネージャーに聞いてみますと伝えて、マネージャーさんにメールしました。すぐにマネージャーさんから電話がかかってきて、“その役を本当にできるのか”と言われて、そこでちょっとこれはやばいことになるのなかって思いました(笑)。初めて事の重大さに気づいたというか。でも周りからあまり期待されてなかったから、期待させたくて“できます”と返事しました。

◆すごい年末でしたね。

はい。家族で箱根をドライブしていたら、電話がかかってきて、おまえ脱げるかって言われて。親に聞こえないように返事したりしていました(笑)。

◆繭子を演じることが決まって、撮影開始までの2か月はどんな役作りをされていたのですか?

役作りも初めての経験で、この作品に事務所の先輩でもあるボブ鈴木さんも出演していて台本を読んでいらしたので、人物像などを相談させてもらいました。それからマネージャーさんを含め、事務所の方が「繭子っておまえっぽいよな」と言ってもらったのが自分の中のヒントになりました。私のこういう部分とこういう部分を繭子は持っていて、繭子は私の持っていないこういう部分とかこういう部分を持っているなとか、そうやって役へのアプローチをしていきました。

杉山未央インタビュー◆繭子と共感できたところ、「おまえっぽい」と言われたところはどんなところだったんですか?

第一は変身願望ですね。彼女は日常に何か新しいものを取り入れて、自分自身が変わりたいというところがあって。私もこの作品に出るってことが転機になると感じていて、役者として何か変わりたい、人としても何か変わりたいという思いを持っていたので、その気持ちは繭子と一緒かなと思いましたね。

◆地味で内向的な女の子が目黒によって開花され、華やかで開放的な女性になっていく繭子の変化が本作での見どころの1つだと思いますが、その変化する繭子を演じる上で気をつけたところはありましたか?

撮影中は頻繁に地味な繭子に戻ったり、開花した繭子になったりと交互に撮影していたんですね。開花して一度気持ちが上がった繭子からまた自信がなくなった地味な繭子に戻る時が難しくて、そこは一番集中しました。気持ちってすぐに表情に出てしまうと思ったので、そこは絶対に見えないようにしたいと頑張りました。

◆実際に完成した作品を見ていかがでしたか?

まず映像に映った自分を見るのが人生で3回目ぐらいだったので。私こうやって映るんだって思いました(笑)。撮影中はOKがかかってもモニターを見る余裕なんてなかったので。あとは、私はずっと繭子という人物しか考えていなかったから、やっと作品全体を完結して見られて、エンタメ性の高い面白い作品だと気づきました。劇中、目黒さんが女王様にたたかれるシーンがあるんですけど、その撮影の近くに私もいたんですね。私はご主人様の目黒さんについていくってことしか繭子になれる方法がなかったんです。だから目黒さんが逆にやられているシーンを見たら幻滅してしまうかもしれないと思って。すぐそばで撮影していて、近くのモニターでは監督が見ていたんですけど、私は見ないし聞かないしと関係のない音楽を聴いて過ごしていました。とにかく目黒さんへの気持ちを大事にしていたから繭子でいられたことを思い出しましたね。

杉山未央インタビュー◆杉山さんにとって、この作品に出演したことで変わったことや知ったことなどがありましたら教えてください。

人に対しての壁が一枚なくなりました。この作品で体を張って、自分のすべてをかけるつもりでやったので誰にどう思われてもよくなりました。そういった意味では生きるのが楽になりましたね。あと、セックスが最大のコミュニケーションツールだなとも思いました。実際はしていないんですけど、最初の撮影シーンが毎熊さんとの絡みのシーンで不安だったんですね。でも後々考えるとそれがよかったというか。毎熊さんと役について事前に話したりしていないんですけど、一度肌と肌を合わせたことで、会話をする以上のコミュニケーションが取れたように思いました。繭子と目黒の関係が分かったというか。最初は素っ裸で現場に入って、周りにはスタッフの方が大勢いて、どういう立ち位置でいればいいんだろうとかいろいろ考えていたんですけど、撮影になるとそういうことが視界に入らなくて、目の前の人に夢中なんですよね。ある意味では理性が飛んでいたのかもしれません。それぐらい異世界にいた感じですね。ファンタジー、不思議な感じでした。

◆では最後にこれからご覧になる方へのメッセージをお願いします。

日常とかけ離れた世界を描いているように見える作品で、この世界に入り込めるかのかなって思っている人にも見に来てほしいです。なぜなら私自身がSMとかこういう作品に対して、自分が興味を持てるか分からなかったし、不安だった部分はあったんですけど、実際演じてみると深くて考えさせられることがすごく多かったので。ちょっと興味ないなという人にも見に来てもらって、何かを考えるきっかけになってもらえたらうれしいです。

 

■PROFILE

杉山未央

●すぎやま・みお…1995年4月1日生まれ。東京都出身。B型。「私の奴隷になりなさい第3章 おまえ次第」で映画初出演にして主演を務める。写真集「depend on…」が発売中。

 

■映画情報

「私の奴隷になりなさい第3章 おまえ次第」「私の奴隷になりなさい第3章 おまえ次第」
池袋シネマ・ロサほか全国順次公開中

<STAFF&CAST>
監督:城定秀夫
原作:サタミシュウ
脚本:石川均、城定秀夫

出演:毎熊克哉、杉山未央
百合沙、行平あい佳/池田良、石田佳央、原田裕章/川合瑞恵、範田紗々、山根千芽、福山理子、榊英雄

<STORY>
目黒(毎熊)には数年前、明乃(行平)という人妻の奴隷調教をその夫に命令されながら行い、明乃との関係にのめり込んだ矢先に関係を剥奪されて心に大きな傷を負ったという過去があった。そんな目黒は現在、自分自身が奴隷をコントロールする“ご主人様”となって何人もの奴隷を飼い、過去の自分が受けた“隷属”を他人との関係に築こうと懸命になっていた。そしてある日、繭子(杉山)という見た目からわかるほど奥手な、だが強烈に調教願望を刺激される女性と出会う。出会ったその日に、その場で繭子を奴隷として開花させ、調教を始める目黒だったが、その視線の先にはどうしても人妻・明乃の影がちらついていた。いっぽう、繭子は目黒の調教を受け、女としての見た目も内面も研ぎ澄まされていく。目黒はもはや繭子の成長に追いつけない自分を感じ始めていた。そんな折、複数飼っていた奴隷たちとの関係にも破綻がきたし始める…。

「私の奴隷になりなさい第2章 ご主人様と呼ばせてください」
全国順次公開中&各社配信業者にて配信中

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●photo/中村圭吾 hair&make/板谷博美