お笑いトリオ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、真空ジェシカ川北さんの結婚式で司会をした話。(TVLIFE 2025年6月25日発売号より転載)
短さの中にある
真空ジェシカ川北の結婚式に司会として参列させていただいた。参列者がSNSに上げた写真の数々をご覧になった方もいらっしゃるだろうが、川北らしさがこれでもかというくらい詰め込まれた、オンリーワンにもほどがある式だった。
まずはなんといってもそのコンセプト。とにかく無駄を省いて短い時間で終わらせることを目標にした結婚式RTA(リアルタイムアタック)と題していて、川北がこの日のために自腹で購入したタイマーがみんなの見える位置に置かれ、自身の晴れ舞台とは思えないスピードでサクサクと進んでいく。
挙式は参列者が席につく前から新郎が板付きで立っていたり、新婦は式場の立派な大階段から降りてこずに階段横から登場したり、バージンロードも早歩きだったりしており、それに対して参列者たちが
「ゆっくりやれよ!」
「もったいないな!」
「なんで両家ともノリノリなんだよ!」
などのガヤを入れるという、クレイジー極まりない光景が終始広がっていた。結果的に挙式は14分8秒という好タイムで終えることができた。
挙式もRTAなら披露宴ももちろんRTA。新郎が小型化した新婦を手に乗せて入場したり、ふたりのプロフィールムービーは生誕と現在のみを紹介したり、お色直し後の入場をご両親への感謝の手紙を読みながらしたりと、これまたショートカットに次ぐショートカットで会場を沸かせていた。
その中でも、川北のお父様が「手短に」とお願いされたスピーチが愛情に溢れながらも、その日一番の爆笑を掻っ攫っていたのが印象的だった。なんせ冒頭から
「ただいまご紹介に預かりました、茂澄の父、川北です」
「そりゃそうでしょ!!」と、参列していた芸人が思わず本気でツッコミを入れる様は、さながらみんなが普段川北にしているトーンと全く一緒で、この父にしてこの子ありを鮮やかに証明していた。
このように盛りだくさんな内容でありながら、結果的に披露宴は30分58秒という、金字塔を打ち立てるような記録を出すことができた。司会の立場からひとつだけ苦言を呈するとすれば、オズワルド伊藤さんが余興で披露した『チョビヒゲキャッツアイ』だけ、もう少し短くできたはず。それを除けば見事なRTAだった。
結婚式は短かったけど、結婚生活は末永くお幸せに。
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。初の書籍「ツッコミのお作法」(KADOKAWA刊)も好評販売中!