

9月29日(月)・30日(火)、THE PRIMALSが日本武道館にて『THE PRIMALS Dark Decades Tour BUDOKAN』を開催した。以下、レポートを掲載。
ゲーム『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)のオフィシャルバンドとして、サウンドディレクターの祖堅正慶を中心に、GUNN(G)、イワイエイキチ(G/チリヌルヲワカ)、たちばなテツヤ(Dr/SPARKS GO GO)、マイケル・クリストファー・コージ・フォックス(Vo/SQUARE ENIX 所属)の5人で結成されたTHE PRIMALS。


今回開催された日本武道館2デイズ公演は、国内6都市と台北のZeppをまわった約7年ぶりの単独ツアーの追加公演として行なわれたもので、THE PRIMALSにとっては初の日本武道館単独公演。ロックの聖地に立った5人は、会場に駆けつけた“光の戦士”(=『FFXIV』プレイヤーの愛称)と共に、120分超えの壮絶すぎるパフォーマンスを繰り広げた。このレポートでは、2日目の9月30日公演の模様をお届けする。
開演前、DJがエレクトロサウンドにリミックスされた『FFXIV』の楽曲をプレイし、会場の熱気が高まったところで、いよいよ暗転。今回のZeppツアーの模様をつないだオープニング映像が流れる中、メンバー5人が姿を現すと、日本武道館が割れんばかりの歓声に包まれる。スクリーンに各メンバーが映し出されるごとに声が上がる中、映像のラストで「and starring the warrior of light」の文字と客席の光景が映し出されると大歓声が上がった。


高まった興奮を一気に弾けさせるように、ライヴは「此処に獅子あり ~万魔殿パンデモニウム:辺獄編~」からスタート。開幕早々、強烈なバンドサウンドを力強く高鳴らすと、祖堅が「ようこそ、THE PRIMALSのステージへ!」とあいさつする。今日のために衣装のスーツを新調したと話す祖堅は、「THE PRIMALSのライヴは、ロックのライヴなので楽しみ方は自由です! 疲れたら座っても全然いいからね。とはいえ、今日は千秋楽だから高火力で頼むぜ!」と叫ぶと、光の戦士も力強く声を上げる。


そこから「Scream ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~」「White Stone Black ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~」を続けて披露。ツアーを通して練り上げられたアンサンブルと、凄まじい量のレーザービームが飛び交う大迫力のライティングが生々しく同期し、日本武道館を席巻していく光景はとにかく圧巻だった。イワイとたちばなが織りなす磐石のリズムセクションが土台を固め、GUNNはエモーショナルなギターを轟かせ、コージも祖堅も客席を煽りながら熱のこもったメロディを響かせていく。


そんな心を激しく震わせる演奏を繰り広げつつ、今回のZeppツアーで行なってきた企画「ご当地 Bee My Honey」がこの日も行なわれた。これは「Bee My Honey ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~」の中で、光の戦士が“All right!”と叫ぶところを、4つのご当地名物の中から選んでもらうというもの。今日はその決勝戦ということで、各会場で選ばれたワードがそろい踏み!
エントリーしたのは「横浜:崎陽軒」「札幌:倶知安町」「羽田:競艇」「大阪:ミャクミャク」「名古屋:特上」「福岡:北九」の6つだったのだが、光の戦士の声の大きさがどれも僅差だったため、最終的に客席でライヴを観覧していた吉田直樹プロデューサーに決めてもらおうということに。
最初は「倶知安町」を推していた吉田氏だったが、「“祖堅”で行きます!」と絶叫。客席から同意の歓声が上がり、この日のワードは「祖堅」に決定(笑)。祖堅とGUNNがキュートなメロディを歌い叫ぶ中、ダンサブルなロックサウンドに合わせて、光の戦士が叫ぶ大音量の「祖堅!」が、武道館に響き渡っていた。ちなみに、この日の候補は6択だったが、前日公演では「吉田」「吉田」「吉田」「祖堅」の4択(実質2択)だったそう。
GUNNがMCで客席を盛り上げていると、紫のラメジャケットに奇抜なサングラスをかけ、タンバリンを掲げてポーズを決めた祖堅が、ステージ下からポップアップで登場! 「武道館をダンスフロアにしちまおうぜ!」と叫び、「Ride the Rhythm ~至天の座アルカディア:クルーザー級~」へ。きらびやかなディスコサウンドで光の戦士の身も心も踊らせていた。曲を終えてから、祖堅が「ポップアップを上げてくれるスタッフ全員が、俺と同じサングラスをかけていた」と明かすと、客席からは驚きの声と笑いが上がり、THE PRIMALSを支える裏方チームに大きな拍手が送られていた。


そんなエンタメ色の強い場面を経て、ステージは再び熾烈を極めていく。ダークなサウンドを轟かせる「Back to the Drawing Board ~至天の座アルカディア:クルーザー級~」では天高くCO2が吹き上がり、続く「Not Afraid ~至天の座アルカディア:クルーザー級~」では、疾走するビートに合わせて特大の炎が連続で立ち上がる。そして、「ここまでがZeppのセトリ。千秋楽だからここで終わるわけにはいかないんだよ」と興奮を煽ると、ゲストボーカリストとしてJason Charles Millerを呼び込み、「Unleashed ~至天の座アルカディア:クルーザー級~」へ。


THE PRIMALSが轟かせる重量感のあるサウンドの上で、Jasonはパワフルな歌声を伸びやかに響かせると、続けてミディアムナンバーの「Close in the Distance」を披露。手を左右に振るJasonに合わせ、光の戦士が手にしたサイリウムが揺れる美しい空間を作り上げていく。また、この曲はスクリーンに映し出された『FFXIV』の名場面を背負いながらの演奏となったのだが、演者よりも映像を目立たせるライティングになっていて、臨場感あふれる演奏に合わせて『FFXIV』の物語を追体験できる形になっていた。


それは次に届けられた「Shadowbringers」も同様で、登場キャラクターのアルバートが、光の戦士に名ぜりふを投げかける導入から興奮と感動を高めていくと、曲中でゲストバイオリニストの伊藤友馬がポップアップで登場。激情的に奏でられるバンドサウンドを流麗に彩り、ドラマティックな演奏を繰り広げた。また、伊藤とは「月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~」も披露。骨太なサウンドの上でバイオリンの音色が瑞々しく躍動し、まばゆい光を放っていた。


そこから恒例のメンバー紹介へ。イワイとたちばなの熱のこもったソロまわしを経て、GUNNによる「どこから来たの!?」「家ー!!」というお馴染みのコール&レスポンスも、この日はノーマイクで叫ぶ気合いの入りっぷり。ポップアップで登場したコージがロングトーンをパワフルに響かせると、祖堅が『FFXIV』のバトル勝利後に流れるファンファーレをギターで高鳴らして締めくくったところから、怒とうの後半戦へ。


大音量のオイコールが上がった「ロングフォール ~異界遺構 シルクス・ツイニング~」で客席を激しく揺らし、祖堅がトランペットを吹き鳴らす「メタル:ブルートジャスティスモード ~機工城アレキサンダー:律動編~」では、ラストで特大ボリュームの音玉が炸裂。「全員最後まで火力あげていけよ!」と祖堅が煽った「エスケープ ~次元の狭間オメガ:アルファ編~」で、場内を真っ白な光で包み込むと、ダメ押しと言わんばかりに「過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~」になだれ込んだ。
ステージから放たれる重音と、終始上がり続ける特大の火柱から迸る熱波が客席に押し寄せる。比喩ではなくリアルに武道館全体が灼熱に包まれる中、ステージ客席も延々と絶叫し続け、本編は壮絶な熱狂のうちに幕を閉じたのだった。


アンコールに応えて、GUNNがボーカルを務める「忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~」で再びギアを上げていくと、「ライズ ~機工城アレキサンダー:天動編~」では大量のCO2が勢いよく吹き上がる中、恒例の時間停止ギミックが発動。日本武道館にいる全員が動きを止めるという壮観な光景が広がり、クライマックスでは大量の金色と銀色のテープが空を舞う。その多幸感をさらに引き上げるように「ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~」へ。祖堅が光の戦士へ感謝の言葉を叫ぶと、5人は一際エモーショナルに音を奏で上げていた。


曲を終えると、客席に拍手を送り、手を振るメンバーたち。そんな中、名残惜しそうにしている祖堅が、もう1曲やろうというジェスチャーをすると、光の戦士からアンコールの声が再び上がる。すると、メンバーが改めて楽器を手に取り、この日のラストナンバーとして「Open Sky – The Theme from Dawntrail」が届けられた。新たな冒険の始まりを告げるような爽快感のあるサウンドで初の武道館公演は大団円を迎えたが、それは同時に、これからもTHE PRIMALSの、『FFXIV』の物語は続いていくことを示唆するエンディングでもあった。


現在『THE PRIMALS Dark Decades Tour BUDOKAN』は、有料動画配信プラットフォーム・StreamPass/FanStreamにて、初日の9月29日公演をアーカイヴ配信中。チケット販売期間は2025年10月14日(火)20:00までとなっているのでお見逃しなく。
●photo/西槇太一
SET LIST
【9月30日(火)セットリスト】
1. 此処に獅子あり ~万魔殿パンデモニウム:辺獄編~
2. Scream ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~
3. White Stone Black ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~
4. Bee My Honey 〜至天の座アルカディア:ライトヘビー級〜 (Masayoshi Soken & GUNN Vocals)
5. Ride the Rhythm ~至天の座アルカディア:クルーザー級~
6. Back to the Drawing Board ~至天の座アルカディア:クルーザー級~
7. Not Afraid ~至天の座アルカディア:クルーザー級~
8. Unleashed 〜至天の座アルカディア:クルーザー級〜
9. Close in the Distance
10. Shadowbringers
11. 月満ちる夜 〜喜びの神域 エウプロシュネ〜
12. ロングフォール ~異界遺構 シルクス・ツイニング~
13. メタル:ブルートジャスティスモード 〜機工城アレキサンダー:律動編〜
14. エスケープ ~次元の狭間オメガ:アルファ編~
15. 過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~
– アンコール –
16. 忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~ (GUNN Vocals)
17. ライズ 〜機工城アレキサンダー:天動編〜
18. ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~
19. Open Sky – The Theme from Dawntrail
配信情報
9月29日(月)公演を有料ライブストリーミングでアーカイブ配信中!
有料動画配信プラットフォーム「StreamPass/FanStream」で、期間中アーカイブ配信を何度でも視聴可能!
チケット価格:4,400円(税込)
※別途、システム利用料330円(税込)がかかります。
販売期間:2025年10月14日(火)20:00まで
アーカイブ視聴可能期限:2025年9月30日(火)18:00~10月14日(火)23:59
詳細・購入:https://tixplus.jp/feature/theprimals_stpass_202509/
WEB
THE PRIMALSオフィシャルサイト
https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/ff14/primals/
THE PRIMALS Dark Decades Tour BUDOKAN特設サイト
https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/ff14/primals/ddt/budokan/
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