斎藤工・板谷由夏・中井圭が日本初上陸・フランス映画の邦題付けに挑戦!『映画工房』

映画
2021年05月27日

『斎藤工×板谷由夏 映画工房』(WOWOW)が、5月28日(金)夜9時35分より放送・配信される。その収録現場に密着したリポートと、収録直後の3人へのインタビューが公開された。

この10月で10周年を迎えるWOWOWの映画情報番組『映画工房』。斎藤工と板谷由夏がMCを務め、映画解説者の中井圭と共に、WOWOWシネマで放送される話題の映画や映画特集の魅力を語り尽くす、新たな映画との出会いを提供する番組だ。

5月28日(金)から放送・配信の491回では、出演者の3人が新しい企画にチャレンジ。WOWOWで日本未公開映画をお届けする「ジャパンプレミア」という枠で6月10日(木)に放送・配信される、日本初上陸のフランス映画「A Friendly Tale(英題)』(原題『Le bonheur des uns…』)に邦題を付けるという企画を実施する。

この映画に登場するのは、ベレニス・ベジョやヴァンサン・カッセルらが扮する2組の大人のカップル。長年の友人でもある4人だったが、その中の1人が小説家となり、書いた小説がベストセラーになったことで、4人の関係がバランスを失っていくというストーリーだ。この映画に斎藤、板谷、中井はどんな邦題を付けたのか。

まずは、この映画を配給するセテラ・インターナショナル代表の山中陽子からのアドバイスをもとに、物語に登場したカスタードソースにゆでたメレンゲを浮かせたスイーツ「イル・フロッタント」や、それにちなんだ「メレンゲ」など、映画のキーワードがホワイトボードに貼り出されていく。

斎藤、板谷が事前に考えてきた邦題案も出され、本格的な会議モード。斎藤は「プレッシャーが……」と、複雑そうな表情だ。タイトル案を見ているだけで、一体どんな映画なのか興味が湧くことだろう。

キーワードを複数組み合わせてはまた頭を悩ませたり…と3人は番組史上最大の混沌に突入していく。ターゲット層を考慮したり、頭文字を取ってみたり。全員が納得できるタイトルが降りてくるまで待ち続け、なんと番組スタッフも巻き込んでの大会議となった。

時間が経つにつれ、どんどん真剣になっていく3人の姿は必見だ。果たして、どんな邦題を付けることになったのか。その結果は、5月28日(金)の放送で明らかになる。収録を終えた直後の3人へのインタビューは、次ページに掲載。

斎藤工・板谷由夏・中井圭インタビュー

◆お疲れさまでした。初めての邦題付けはいかがでしたか。

板谷:難しかったね。

斎藤:一応決定しましたが、僕はちょっと後悔が残りますね。本当は誰も聞いたことがないようなタイトルを付けたかった……。

板谷:私は、このまま決まらなかったらどうしようと思っていました(笑)。私たちって普段は自分の意見をバシッと言うタイプではあるけれど、それでも案外決まらないものですね。

中井:3人とも基本的に根が真面目ですからね(笑)。真剣に考えすぎちゃうのかもしれないですね。

板谷:工くんはポスタービジュアルまで考え出したからね。自分でも映画を作っているから、トータルで考えちゃうんだよね。

中井:映画ファンの間で邦題問題ってありますよね。「なんだ、この変な邦題は」と言われてしまうことがある。邦題は配給会社の方が、どうすれば多くの人に届くのかを考え抜いた結果なのですが、一方で映画の作り手の思いも大切にしないといけない。そのバランスを考えると、映画ファンにとっては原題に近い邦題の方がいいのかもしれないですね。

斎藤:映画が面白かったので、愛着が湧いてしまったんですよね。映画が数日預かった子猫みたいな気持ちになっていた(笑)。

板谷:うん、本当に面白い映画だったからね。

斎藤:タイトルを付けるプロセスを見ていただいた上で、答え合わせのように作品を見てもらえればいいのかも。

◆つくづく映画のタイトルって面白いなと考えさせられました。皆さんは好きな邦題ってありますか?

板谷:「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」は結構好きだったな。

中井:僕が好きなのは、「マッハ!!!!!!!!」。英題は“Ong Bak”で、タイの仏像という意味なんですが、誰もわかりませんよね。なんとなく凄さが伝わるから「マッハ!!!!!!!!」と付けたという。配給会社のチャレンジが伝わってきて好きですね。

斎藤:番組で紹介した作品だと、「なんちゃって家族」が好きですね。

板谷:うん、私もそれ好き。

斎藤:「ある朝突然、スーパースター」とか「恋のベビーカー大作戦」とか、ライトな感じがいいですよね。ターゲットにちゃんとアプローチしている感じがする。逆に、邦題を作らなくて正解の映画も多いじゃないですか。「トレインスポッティング」とか、原題そのままで良いという映画。

中井:そういう意味で印象的なのは、やっぱりジム・ジャームッシュ監督の作品群。たとえば「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」は、普通なら邦題を付けますが、あえてそのままにしている。作品の芸術性を損ねたくないという、配給側の強い意志を感じます。

斎藤:副題を付けるかどうかという問題もありますが、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」は成功していますよね。ビジュアルで「IT」のリメイクだと判断できるかもしれないけど、「IT」だけだと内容が伝わりにくい。日本人ってキャッチコピーを大事にするところもありますし。

板谷:私は、原題とは全然違う感じのタイトルから妄想するのが好きですね。でもこうしてやってみて、全然違うタイトルを付けることが大変だということがよく分かりました(笑)。

◆今後、『映画工房』でやってみたい企画はありますか?

斎藤:本当に余計なお世話ですけど、このタイトルはもうちょっとこうしたほうがよかったんじゃないか? という赤字を入れる。誰も得しない企画ですが(笑)。

中井:分かります。僕がやりたいのは、フライヤー選手権。最近フライヤーなど販促物のデザインが再注目されているので、これはどうなんだろう? というデザインをあえてピシャっと指摘する。正直に言い合えたら面白そうですよね。

板谷:さっき工くんが、邦題を付けた後にポスタービジュアルまでやりたいって言ったときに、私もそれやってみたいなと思いました。みんなでワイワイ言いながら作れたら楽しそう!

◆最後に、これまでもこれからも番組を応援してくださる視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

中井:映画の番組が少なくなってしまった中で、『映画工房』を10年続けることができたのは、間違いなく見てくださっている皆さまのおかげです。僕らはこの10年間でいろんなことを学ばせてもらいましたので、それを活かしながら、皆さんと一緒に楽しめるような番組作りをこの先もしていきたいです。

板谷:この10年、3人の関係が変わらないんですよ。近すぎず遠すぎず、いつもお互いを気にかけている。スタッフさんたちもそうなんです。物事が続くって本当に大変なことですが、できるだけこの番組を続けていければと思っています。その上で、見てくださる方がいてくださって初めて成り立っているので、皆さま、これからも番組をお楽しみください。

斎藤:映画はつい評判のものを選びがちですが、この番組は未知の映画に飛び込んでいくんですよ。今回の映画を放送する「ジャパンプレミア」もそのひとつ。作品に偶発的に出会うことこそが映画の喜びだなと、僕はこの10年で感じています。そういう僕らの偶発的な感動を、視聴者の皆さんと共有できた10年でもある。板谷さん、中井さんと「これ面白そうじゃない?」と話して、視聴者の皆さんが「じゃあ見てみようかな」と思うきっかけになることが、「映画工房」の存在意義なのかもしれませんね。

●取材・文/大曲智子

番組情報

『斎藤工×板谷由夏 映画工房』#491
WOWOWプライム/WOWOWオンデマンド ほか(無料放送)
2021年5月28日(金)後9・35〜放送・配信

番組サイト:https://www.wowow.co.jp/detail/066625