東出昌大&柄本時生「この作品は荒川や多摩川、淀川といった都市部に流れている大型河川のような印象がある」

特集・インタビュー
2021年04月09日

◆完成した作品を見ての率直な感想は?

柄本:ボクシング映画なので、ボクシングの世界はしっかり描かれているんですが、そこから見えてくる人間模様など、奥行きの深さというか何か大きなものを見せられたような気がしました。

東出:人間の一生を大河に例えたりしますが、この作品は荒川や多摩川、淀川といった都市部に流れている大型河川のような印象を持ちました。のどかさと透き通ったきれいさと、濁りや残酷さ。それらが、たゆたうように流れているような感じでした。

◆個人的にお好きなシーンを教えてください。

柄本:松山さんと東出さんがいる部屋に、おばちゃんが「ドタドタしてんじゃないわよ!」と殴り込んでくるシーンが好きですね。普通に笑えるだけでなく、お2人の大きさや監督の大きさも分かるんです。東出さんは一瞬笑っちゃってるし、それを監督が善しとして本編に使っているし、なんかすごくいいシーンでした。

東出:?田監督の演出があまりなかったのは「その人物に成り切ってろ」という意味だと思ったんです。だから、僕が小川に成り切っていて、「ドタドタ」言ってくるおばちゃんがいたら、やっぱりあんな感じになると思うんですよね(笑)。僕は時生君とおばあちゃんのシーンに泣かされました。台本で読んだ時以上のものが、胸に込み上げて、涙を流すほどでした。

◆リアルで迫力ある試合シーンは見どころですが、女性にはどのような目線で楽しんでほしいと思いますか?

柄本:木村(文乃)さん演じる千佳をめぐる松山さんと東出さんとの三角関係は、やはり見どころだと思います。僕はそことは違うところで、笑えるパートを担当させてもらったので、そこも心の中でツッコミながら楽しんでもらいたいと思いますね。

東出:男たちの話ですが、千佳がわき出でる泉のような存在で見守ってくれている感じは共感できると思います。木村さんがネックレス外すしぐさとかとてもリアルですし。僕、誰かに映画を勧める時、小津安二郎監督なら「上品さ」とか、成瀬巳喜男監督なら「凛とした美しさ」とか言うんですが、?田監督の映画は「すごいよ!」としか言えないんです。今回の「BLUE/ブルー」もそんなすごい映画になりました。

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