ボイメン・水野勝「気迫と覚悟を持って臨んだ」主演映画「お終活~」が公開

特集・インタビュー
2021年05月20日

結婚50年を迎える熟年夫婦の騒動をコミカルに描いた「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」で、葬儀社に勤務する主人公・菅野を演じた水野勝さん。人気グループ・BOYS AND MENのリーダーでもある彼に、本作の見どころのほか、俳優としての貴重な経験などを伺いました。

◆橋爪功さんや高畑淳子さん、松下由樹さんら、ベテラン陣に囲まれて主演作になりました。

先にキャストさんの話を伺った時、そのオールスターな“アべンジャーズ”感に「うそだろ?」と思ってしまったほどでした。自分が小さいころから見てきた方たちなので、かなりのプレッシャーもありました。ただ、僕は11年前、事務所の社長に「役者になりたい」と話したところから芸歴が始まっているので、「ようやく、その時が来た」という思いもありました。僕が持っている力と、今までの現場の経験を生かせるよう、気迫と覚悟を持って臨みました。

◆そんな中で主演として、現場で心掛けたことはありましたか?

皆さん、第一線で引っ張られてきた方々なので、主演とはいえ、「あんなことしよう」「こんなことしよう」という思いのようなものはありませんでした。この映画のテーマは「人生整理」ですが、僕自身にも人生やドラマがあって、どういった過程を経てこの機会を得ることができたのか、高畑さんには、そういうことをお話しさせていただきました。橋爪さんにはカメラが回っていないところで役者としての質問をさせていただきました。そうやって、早い段階で、お二人には「この作品を自分の出世作にしたい」という気迫や本気が伝えられたことがうれしかったです。

◆香月秀之監督、共演は剛力彩芽さんというのは、水野さんがヤンキー役で出演され、2021年2月に公開された「新デコトラの鷲」と同じメンバーが再集結ですね。

そうですね! でも、全然役柄が違いますね(笑)。公開順は逆ですが、この作品は昨年3月にクランクアップして、緊急事態宣言に入り、夏になって「新デコトラの鷲」がクランクインしているんです。そのため、役の切り替えが大変だったということはありませんでした。

◆葬儀社に転職した菅野を演じるにあたっての役作りを教えてください。

実際に葬儀社の方が受ける講習に行きましたが、僕は松下由樹さんが演じられた指導者役と違って新人社員という設定だったので、あえてフォーマットだけ教えてもらい、あまり知りすぎないようにしました。また、いろいろ勉強したこともあり、遺族の方に伝える「ご愁傷様です」というせりふが気になるほどでした。正しくは「このたびは大変でございました」であることを学ばせてもらいましたし、葬儀場でテンパってしまうような“新人社員あるある”も演じさせてもらいました。

◆菅野と水野さんとの共通点はありますか?

ずっと同じ芸能という仕事をしている自分としては、転職して、新たな仕事に就いた菅野に共感性というものはありませんでした。そういう意味では難しい役柄だと思いましたが、仕事だけでなく、いろいろなものに対する一生懸命さに関しては共通しているので、それが大きな突破口になりました。そして、てんぷらを食べてこぼしてしまうところなど、ちょっと慌て者で、どんくさい部分も大切にしながら演じています。それがかなり強調されたシーンはカットされてしまったので、いつか「完全版」も上映してほしいですね(笑)。

◆共演したベテラン陣との撮影エピソード、彼らから学んだことを教えてください。

松下さんが出演された『ナースのお仕事』『振り返れば奴がいる』など、僕が好きだったドラマの裏話をいろいろ聞くことができたんです。あのころは視聴者だった僕が、共演者として、そんな話ができるなんて! 何事にも代え難い時間を過ごさせていただきました。そして、今回スキルの高い皆さんとお芝居させていただいて、お芝居の根底にあるものは、鏡と同じ反射だということ。自分が投げたものを相手が返す。そんなお芝居の原点について、あらためて再確認した作品でした。そして、菅野として、そこに存在していれば、役として成立することを感じました。

◆お好きなシーン、また見てほしいシーンがあれば、教えてください。

僕が個人的に大好きなのは、橋爪さんと高畑さんが銀婚式でメモリアル映像を見ているシーンです。お二人の表情がすてきで、何回見ても涙を流してしまいます。あと、菅野のトラウマな存在である父親役の西村まさ彦さんと出会うシーンも印象的でした。ちょっとマニアックなところだと、作品の冒頭で僕が朝起きるシーン。香月監督によると「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でのマイケル・J・フォックス演じるマーティの寝方なんです。このささやかなオマージュが、どれだけ伝わるか分かりませんが(笑)。

◆本作のテーマである「終活」からイメージされることは?

この作品に参加したことで、寡黙だった僕の祖父が亡くなった時に、いろんなことを書き留めていたエンディングノートが残っていたことを思い出すなど、本作といろんなことが一致していました。「終活」という言葉にどこかネガティヴなイメージがあったんですが、ポジティブなものへと変わりました。正直「終活」がテーマの映画と言うと、悲しさや儚さみたいなイメージを持たれるかと思いますが、出来上がった映画は、それとは真逆の仕上がりになったと思っています。

◆本作に出演されたことで、水野さんの死生観のようなものは変わりましたか?

今や「人生百年時代」なので、僕はまだ死に対してのイメージはありません。ただ、両親は、終活に差し掛かってくる年齢なので、もっと大切にしていかなきゃいけないなと思いました。こういう仕事をしている僕はさすがに難しいので、妹に「早く結婚して、孫の顔を見せてあげてよ」と言っています(笑)。ただ、結婚や夫婦に対してのイメージはわきましたし、劇中に登場する“魔法の言葉”は、とても勉強になりました。

◆本作を楽しみにされている方へメッセージをお願いします。

僕の世代の男性なら菅野という人物に共感できると思いますし、女性なら剛力彩芽さんが演じられた亜矢に共感できると思います。そのため、幅広い世代が楽しめる作品になったんじゃないか、と思っています。僕は映画館で見ることが好きなので、できるだけ映画館に行くようにしていて。コロナ禍の今、劇場関係者の方が換気に気を付け、細部まで感染症対策をやられている熱意のようなものを強く感じています。このような状況ではありますが、「もっと安心して映画館に足を運んでほしい」と、声を上げて言いたいです。

◆2020年11月に30歳を迎えましたが、気持ちの変化はありましたか? また、30代になったことで始めてみたいことは?

30歳になったからといって、大きく変わったことはありません。ただ「どんな役でも、一生懸命やってきたからこそ、今がある」と思っています。将来、自分の役者としての人生を振り返った時に、きっと全部の作品がつながっていると言えるように、これからも目の前のお仕事を一生懸命やることを大切にしたいです。プライベートだと、僕、趣味と言えるものがないんですが、「デコトラの鷲」でご一緒させていただいた哀川翔さんが多趣味な方なので、これからいろいろ教えてもらえたらいいなと思っています。釣りやキャンプ、(自動車)レース。どれかハマったらいいですね(笑)。

 

PROFILE

水野 勝
●みずの・まさる…19901122日生まれ。愛知県出身。O型。BOYS AND MENのリーダー。主な出演作にドラマ『マジで航海してます。〜Second Season〜』、映画「白鳥麗子でございます!THE MOVIE」「HiGHLOW」シリーズ、「癒しのこころみ~自分を好きになる方法~」など。

作品紹介

映画「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」
2021521日(金)より全国公開

STAFFCAST
監督・脚本:香月秀之
主題歌:財津和夫
出演:水野勝
剛力彩芽 松下由樹 / 藤吉久美子 大島さと子 増子倭文江
袴田吉彦 佐々木みゆ 小林綾子 螢雪次朗 大和田伸也 石丸謙二郎 金田明夫
西村まさ彦 石橋蓮司 / 高畑淳子 橋爪功

 STORY
結婚50年になる大原夫妻。夫の真一(橋爪)が定年退職後、家にずっといることで妻の千賀子(高畑) は主人在宅ストレス症候群に陥っていた。相手への気遣いも全くなくなり、真一は健康麻雀、千賀子は健康コーラスに通って趣味仲間にお互いの愚痴を言い合う、熟年離婚寸前の夫婦であった。そんな折、娘の亜矢(剛力)は自分が営むキッチンカーの客で、葬儀社に転職したばかりの菅野(水野)と出会う。菅野から終活フェアに誘われた亜矢は母親の千賀子に行くことを勧める。フェアで最新の終活情報を得た千賀子は前向きに今後のことを考えようとするが、真一は縁起でもないと嫌がり、新たな危機が生まれる。

©2021「お終活」製作委員会

photo/中村圭吾 text/くれい響 hairmake/相澤千明 styling/網野正和

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