北村有起哉×板尾創路『ムショぼけ』インタビュー「僕にとってはかなりの修羅場だったキャリアの1つになるんじゃないかな」

特集・インタビュー
2021年10月03日

北村有起哉×板尾創路『ムショぼけ』インタビュー

北村有起哉さんが連続ドラマ初主演を務める任侠コメディ『ムショぼけ』(ABCテレビほか 毎週(日)後11・55~深0・25ほか)が、10月3日にスタート。本作で、互いに「出ずっぱり」だったという北村さんと、共演の板尾創路さんにインタビュー。2人だからこそ通じ合った、撮影裏話をたっぷり伺いました。

◆北村さんが出演されていた映画「ヤクザと家族 The Family」チームが手掛ける本作。それぞれオファーを受けた時のお気持ちを教えてください。

北村:「主演」ということで驚きはありましたけど、なじみがある方々からのお誘いだったので、これならいけるぞって正直ホッとしました(笑)。そういう意味では、見たことない景色が見れるかなとも思っていて。ただ現場に入ってからは主役というものが本当に大変だということも分かりましたし、僕にとってはかなりの修羅場だったキャリアの1つになるんじゃないかなと感じました。

板尾:まず北村有起哉さんの連続ドラマ初主演作というのに興味がありましたし、そこに参加できることはとても楽しみでした。僕の役柄は、主人公・陣内(北村)の妄想の中に出てくるキャラクター。そういう役どころを演じたこともなかったので、未知数なところもありましたが、視聴者としてもすごく楽しみなドラマだなと思っています。

北村有起哉×板尾創路『ムショぼけ』インタビュー

◆本作では、北村さんが長年の刑務所暮らしによって、出所後、世の中の環境の変化やスピードの速さについていけない“ムショぼけ”状態にある元ヤクザ・陣内を、板尾さんがそんな陣内にシャバの厳しさを突きつける刑務官・夜勤部長を演じていますが、お2人の役柄、そしてお互いの印象はいかがでしたか?

北村:板尾さん、ずっと出ずっぱりでしたね。文字数で言ったら僕よりもセリフがあったんじゃないですか?(笑)

板尾:ちょっとすごいなって思いました(笑)。でもありそうでなかったドラマなので、新鮮に見てもらえるんじゃないかな。キャストの皆さんも、役にはまっていましたね。特に木下ほうか! おっさん、これぴったりやなって(笑)。出てくるキャラクターに、悪い人がいないです。

北村:とにかく板尾さんはスポンジのような存在なので、絶対に不協和音にならない方。まさに役柄、夜勤部長そのままでした。

板尾:もちろんクスっとしてもらえる部分もありますが、油断させといてグッとくるシーンもありますからね。“感動させよう、泣かそう”とすると、人って拒絶しますけど、油断させといてハッと落とすみたいな。僕ら2人、そして全体を見てくださっている監督、演出陣が、その都度客観的に方向性を決めてくださったので、僕は信頼して思いっきりやらせてもらいました。

北村:夜勤部長は大体のシーンでちょっと首出してくるので…。板尾さんは、その“ちょっと”のためにずっと出番を待ってらっしゃいました(笑)。

板尾:確かに待ち時間は多かったね(笑)。だからテストや自分が出てない時もずっと現場の様子を見てた記憶があるけど、北村さんは出てないシーンがほぼない上に、方言の指導もあって。気の休まる場所がなくて、大変だったと思います。でもそうやっていいものを作るために集中力を途切れさせられない日々を過ごしていた北村さんが、何とかして時代の変化についていこうとする主人公を演じるっていうのが、いい感じに重なってたんかなって気がしました。

北村:陣内の立場で考えてみると、彼が刑務所にいた14年の間には電子レンジの性能が上がったとかテクノロジーの進化だけでなく、目に見えないところの変化もすごくあると思うんです。劇中でも描かれていますが、特にネットの普及には相当面食らっちゃうんじゃないかなと。繁華街でけんかをしてるのに誰も止めないで動画に撮って配信するような“傍観者”が増えている一方で、個人としてはネットに人とのつながりを求めている。言い過ぎかもしれませんが、そんな現代社会が僕には“いびつ”に思えて。この作品には、現代特有のいびつさにも主人公が「何だこれ? 」と素直に、そして敏感に感じている様子も描かれているので、そういう部分は攻めてるなと思います。

北村有起哉×板尾創路『ムショぼけ』インタビュー

◆板尾さんからもお話が出ましたが、本編は兵庫県尼崎市を中心としたオール関西ロケで、北村さんは全編関西弁に挑戦しているんですよね。

北村:そうなんです。ただ僕の理想では撮影前に全部セリフが入っていて、現場ではカメラ、照明スタンバイの時は雰囲気を和やかにして、雑談しながらもっと親睦を深めるイメージだったんですが…、全く余裕がなかったです(笑)。

板尾:ずっと方言指導の先生と打ち合わせしてたもんね。

北村:それだけは本当に申し訳なかったです。やっぱり好きな共演者の方とは、いろんな話がしたいですからね。関西弁に関しては、性格上、ある程度までは固めなきゃいけないっていう思いがあって。1つの通過点としてやれるだけのことはやりましたが、あらためて客観的に見て吉と出るか凶と出るかを自分の中で見定めたいと思います。

板尾:僕も方言指導の経験がありますが、アドリブがなかなか言えなくて大変でした。お芝居は生身の人間がすることだから、芝居を受ける時にそれに合わせてとっさにセリフで返したい時もあるけど、方言だとちょっと躊躇しちゃうんですよ。そこにもどかしさがありましたね。

北村:鎖につながれたみたいな感じでした。

板尾:そうそう。それに『ムショぼけ』はスタッフも関西人で、しかも関西で撮影して、放送も関西中心。思いっきり地元の方々に見られるわけでしょ(笑)。

北村:よほど自信があるやつだと思われちゃいますね(笑)。

北村有起哉×板尾創路『ムショぼけ』インタビュー

◆印象に残っている撮影エピソードはありますか?

北村:スケジュール的にはそんなに余裕はなかったんですけど、スタッフ・キャストの皆さんが温かい人たちばかりというアットホームな座組で助かりました。僕が覚えているのは、陣内がたんかを切るシーン。日が暮れ始めて時間もないし、予備日もないのに、何度も同じ場面を撮っていて。最後に「よっしゃ! これで終わった!」って思ったら、監督から「ありがとうございます! もう1本お願いします」って言われて(笑)。

板尾:「カット~!」ってすごいやり切った感じで言ってた!

北村:まさにその時、そばで見ていた板尾さんが「ふっ」って吹き出したんですよ(笑)。僕も思わず「え!?」って声が漏れちゃったんですけど。あれは本当に板尾さんの笑いに救われたんですよ。

板尾:監督は、すごい腰が低いんです。でも厳しいところは厳しいというか、いつも申し訳なさそうに「すみません」から始まり、「もう1回」って言われる方なんですよね(笑)。

北村有起哉×板尾創路『ムショぼけ』インタビュー

◆本作で主人公が刑務所で過ごしていた14年。お2人にとっては14年前から現在、どのような期間でしたか?

板尾:僕の14年前は、ちょうどお芝居とか役者の仕事が多くなってきたくらい。それまではずっとバラエティしかやってなかったから。でも俳優しかやらないとか選んでるわけではなく、流れに身を任せていたらこうなっているだけなんですよね。だから今こんな感じっていうのも、当時はあまり想像してなかったかな。

北村:僕は、漠然と“食いっぱぐれないように”とは思っていました。14年前は結婚もしてなかったので、独身貴族の晩年期でしょうか(笑)。

板尾:いい時代だったよね。

北村:ようやくテレビの仕事も増えてきたころだと思います。もちろん自分の主演のポスターが見られるとは14年前は想像してませんでした。友達にも「天狗になるなよ」って言われてるんですけど、そこらへんはブレないはず。でも1回くらいちょっとふわふわしてもいいのかなとも思います(笑)。

北村有起哉×板尾創路『ムショぼけ』インタビュー

PROFILE

●きたむら・ゆきや…1974年4月29日生まれ。東京都出身。O型。主な出演作は、連続テレビ小説「エール」(NHK総合ほか)、『セミオトコ』(テレビ朝日系)ほか。11月20日(土)スタートの『前科者-新米保護司・阿川佳代-』(WOWOWプライム)への出演を控える。

●いたお・いつじ…1963年生まれ。大阪府出身。A型。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』(日本テレビ系)などの人気バラエティに出演するほか、俳優、監督しても活躍。主な出演作は、映画「ファーストラヴ」、『監察医 朝顔』(フジテレビ系)、連続テレビ小説『おちょやん』(NHK総合ほか)など。

番組情報

『ムショぼけ』
ABCテレビ(関西)
10月3日スタート
毎週(日)後11・55~深0・25

テレビ神奈川(関東)
10月5日スタート
毎週(火)後11・00~11・30

<STAFF&CAST>
原作・監修:沖田臥竜
脚本・監督:アベラヒデノブ、澤口明宏、逢坂元
企画プロデュース:藤井道人
チーフプロデューサー:山崎宏太
プロデューサー:南雄大、山田久人、角田道明

出演:北村有起哉、九条ジョー(コウテイ)、武田玲奈、松尾諭、木下ほうか、末成映薫、板尾創路ほか

<STORY>
5000万円の報奨金と自らの組をもたせてもらうことを条件に、敵対する組織の組長襲撃という一世一代の大勝負を実行したヤクザ・陣内宗介(北村)。しかし、刑務所暮らしが始まると、全ての報酬は反故にされ、組からは破門されてしまう始末。揚げ句の果てに、妻からは離婚届を突きつけられ、獄中離婚。それから14年の歳月が流れ、晴れて出所した陣内は、カタギとして生きていくことを決意するが、刑務所暮らしの間に世の中は一変していた。

●photo/田中和子(CAPS) text/山下紗貴 衣装協力/OPTICIEN Loyd

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2021年10月14日(木)23:59