青木玄徳インタビュー「今年は“やらかしてやろう”かなと」『闇金ドッグス5』主演

特集・インタビュー
2017年01月18日

闇金業者で働く男たちの生々しい物語を描く『闇金ドッグス』シリーズ最新作『闇金ドッグス5』が公開中。今作の主人公は、闇金業者社長・安藤忠臣(山田裕貴)とバディを組んでいる元ホスト・須藤司。須藤を演じる青木玄徳さんに、撮影秘話を交えながら、本作についてたっぷり語っていただきました。

前作よりもチャラさを薄くしています

青木玄徳インタビュー

◆シリーズも5作目ですね。

ありがたいなと思いますね。新しい人たちがラストファイナンスに来て物語が展開するというパターンをつなげていけたらいいなと思っていたので、こうしてシリーズが続いてうれしいです。メインとなる菅原大吉さんのお話にラストファイナンスがどう絡んでくるのか。それから荒木宏文さん演じる五条の会社も絡んで、さらに役所で働く安本役の蒲生純一さんが入ってきて、その流れもすごくよかったですね。今回は、今までのシリーズの中で一番映画らしいと思いました。後半、物語がぐっと盛り上がっていくんですが、作りも映像もすごくきれいで。それを主演という形でやらせていただいて、なんか申し訳ないな、と思うぐらいです。映画でしかできない内容だと思います。

◆薄給のためラストファイナンスを利用しながら認知症の母を介護する沼岸(菅原)の物語が軸となって描かれます。脚本を読まれたときの感想はいかがでしたか?

「重いなあ」と思いました。菅原さんが演じた沼岸の家庭の話は、実際にあった話にインスパイアされているんですよね。

映画『闇金ドッグス5』

◆大先輩・菅原さんとのお芝居はいかがでしたか?

菅原さんのお芝居は本当にすごくて、生で見て完全にスイッチが入りました。菅原さんのお芝居に僕が乗っかっていく感じというか。それまでは手探りで演じていたんですが、「これはもう手探りとか言ってる場合じゃねえな」と。

◆本作で須藤はどのように変化してきていますか?

分かるか分からないかの調整ですが、前作よりもチャラい部分を薄くしました。子供っぽいところというんですかね。忠臣と須藤はほかにも一緒に仕事をしているはずなので、元ホスト感というよりは、より闇金業者らしく映るようにできたらなと。今回のエピソードがあることで、須藤は今後さらに闇金業者っぽくなっていくと思います。今回は、人生の分岐点を迎えた須藤の姿が観られるんじゃないかと思います。

◆須藤といえば、元ホストというだけあって女性への接し方が素晴らしいですよね。

女性にとって癒やしになりますよね、全編通して須藤の存在が(笑)。須藤の戸籍上の妻を牧野ステテコさんが演じてらっしゃるんですが、ご本人はキレイな方ですけど…設定が……あれなので(笑)、そういう人に恋をするというフェチを『5』で初めて演じています。

◆ちなみに青木さんは、女性みんなに優しいタイプですか?

そうでもないですよ。嫌いな人には嫌いな態度を取るし、好きな人にはべたべたするし。女性を何でも受け入れるタイプではないです。

映画『闇金ドッグス5』

◆今回は、過去に舞台で共演された荒木宏文さんが、NPO法人で貧困ビジネスを営む五条礼役で出演されています。かなり裏表のある役どころですね。

映画で一緒に仕事ができたことが本当にうれしくて、「荒木さんが『闇金ドッグス』の世界に入ってきてくれた!」とテンションが上がりました。ただ、最初はすごく違和感があったんです。舞台のキャラクターのイメージが強くて、それがあまりにも好きだったので、それ以外が見たくないぐらいで。でも、荒木さんが五条のキャラクターをしっかり作ってきてくれたので、僕も腹をくくってやりました。

◆五条と激しくぶつかり合うシーンもありました。

実は、あのクライマックスのシーンを最初に撮ったんです。驚きましたが、元木隆史監督は最後から最初という流れで撮っていくスタイルが多い方らしくて。「台本を読んで、思いのたけを先にぶつけろ」ということかなと解釈して、ゴールが分かった状態から間を組み立てていくようにお芝居を撮っていきました。長回しで大変でしたが、すごくよかったと思います。

今年は20代最後の年なので“やらかしてやろう”かなと

◆山田さんが、2人で今後のシリーズについて話をしたとお話ししていました。

どんな話だったっけな(笑)。『4』、『5』でシリーズの雰囲気も変わりましたし、行くところまで行こうぜ、という話はしましたね。誰かがブレーキをかけるまで、僕たちは乗り気で行こうぜと。そんな話をしたかな。

映画『闇金ドッグス5』

◆山田さんとバディを組めてよかったと思うところはどこですか?

彼は引かないところはまったく引かないので男らしいし、こういう作品をやっているときに彼がそばにいてくれているのはありがたいですね。『闇金ドッグス』は彼の作品だと思っているし、そこをもう少し盛り上げられるように須藤として頑張れたらと思っています。ちゃんと須藤バージョン、忠臣バージョンの面白さで盛り上げていけたらなと。

◆これまで5作に渡って須藤を演じてきたわけですが、あらためて思うご自身との共通点、逆に違う点などはありますか?

昔の自分にはちょっと似てますね。後先考えないで何でもやっちゃうところとか。その結果、僕は芸能界に入ったので(笑)。そういう部分では似ていますが、須藤よりは落ち着いているかな。

◆これから映画を楽しみにしている方に向けてメッセージをお願いします。

登場人物それぞれのキャラが全くかぶってないですし、いろいろ細かく観ても楽しめると思います。今後のシリーズを楽しんでいただくためにも、ぜひ『5』を観ていただきたいですね。今回の作品で男性ファンが増えそうな予感がします。

◆最後に、青木さんご自身として今年はどんな年にしたいですか?

20代最後の年なので、やらかしてやろうと思ってます。

◆それは役者として、それとも私生活で?

青木玄徳という人間としてです。やらかしてやろうと思ってます(笑)。その一発目として、ぜひこの作品をご覧ください。それから放送中のドラマ『猫忍』(tvk、BSフジほか)にも出演しているので、1月は犬(ドッグス)と猫を行き来しています。映画館では犬、家では猫で楽しんでください。

 

■PROFILE

青木玄徳
●あおき・つねのり…1987年10月19日生まれ。埼玉県出身。
2011年にミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで氷帝学園の部長・跡部景吾役で俳優デビュー。その後、ドラマ『仮面ライダー鎧武/ガイム』、舞台「海峡の光」、「瞑るおおかみ黒き鴨」(主演)、「パタリロ」、映画『闇金ドッグス3』(主演)、『コープスパーティー Book of Shadows』、『インターン!』、『Bros.マックスマン』などに出演。現在ドラマ『猫忍』にレギュラー出演中。今後の待機作に、映画『探偵は、今夜も憂鬱な夢を見る。』(2017年初春公開)、『くらわんか!』(2017年夏公開/主演)、舞台「里見八犬伝」など多数。

公式Twitter:@tsunenori_aoki

 

■作品情報

映画『闇金ドッグス5』映画『闇金ドッグス5』
2017年1月14日(土)よりシネマート新宿ほか公開中

監督:元木隆史
脚本:池谷雅夫
出演:青木玄徳
菅原大吉 美谷和枝 牧野ステテコ 蒲生純一 副島淳 / 荒木宏文
山田裕貴

企画・配給:AMGエンタテインメント
公式サイト:http://yamikin-dogs.com/
公式Twitter:@yamikin_dogs

<ストーリー>
女性債務者から絶大な信頼を得ているラストファイナンスの須藤司(青木玄徳)は、かつて街金から金を騙し取るために結婚と離婚を繰り返し、戸籍上の名字を忘れてしまっている。ある日、銀行系のローン会社から「奥様が借金をして飛んだ。夫であるあなたには支払いの義務がある」と連絡が入る。困り果てた須藤だったが、社長の安藤忠臣(山田裕貴)はにべもなく新規の客をあてがう。その客は、大手電機メーカーの下請け会社契約社員・沼岸光夫(菅原大吉)。認知症を患う母のため、ブラック企業ながら必死に働く沼岸だが、薄給で生活費もままならず、致し方なくラストファイナンスを利用している。理不尽な理由で会社に解雇されてしまった沼岸は、生活保護申請も断られ、須藤から追加融資も受けられずにいた。そんな沼岸の前に、NPO法人で貧困ビジネスを営む五条礼(荒木宏文)が現れ、申請が通った生活保護費を不正に搾取されてしまう。母の病も進行が速くなり、生活は困窮。藁にもすがる思いで、沼岸はラストファイナンスを再訪する。

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