野村萬斎「見どころ“まんさい”」映画『花戦さ』初日舞台あいさつで満面の笑み

映画
2017年06月05日

122897_01_R 狂言×歌舞伎×日本映画界のトップが競演した映画『花戦さ』の初日舞台あいさつが行われ、野村萬斎、市川猿之助、中井貴一、佐々木蔵之介、佐藤浩市、森川葵、篠原哲雄監督らが登壇した。

 本作は、暴君と化した豊臣秀吉の圧政から町衆を守るため、友・利休の真っ向から秀吉に戦いを挑んだ花僧、初代・池坊専好の姿を描いた痛快エンターテインメント作品だ。

 萬斎の「見どころ“まんさい”だと思います」とシャレを交えたコメントから始まった舞台あいさつ。会場が笑いに包まれる中、中井が「これからも時代劇をつくってまいります。観る側の人もいないと成り立ちません。今後とも時代劇を観ていただけたら幸せに思います」と切実な思いを明かすと、森川も「2回観たんですが、たくさん笑い、泣きました。私は21歳なんですけど、若い方、高校生の方でも楽しめる作品なのでぜひ観ていただきたいと思います」と若い世代に作品をアピールした。

 萬斎、猿之助、中井、佐々木、佐藤が勢ぞろいした、冒頭の岐阜城のシーンについて萬斎は「ロイヤルストレートフラッシュでした。緊迫感がありながらも和気あいあいと、ネイティブの方もエセの方もいますが、みんなが京都弁で話していて僕も無理やり参戦しようか迷いました」と。猿之助は「花が素晴らしく、インパクトはすごかったですね。花は生き物ですからそれを枯れさせないようにするスタッフさんの努力がすごいと思いました」とスタッフを労うと、中井は「このメンバーだから1日で撮影が終わったんだと思います。それぞれがいろんなところから来た異種格闘技戦のようでした」と共演者を称賛した。

 また、専好が秀吉に「ある秘策」を持って立ち向かうところにかけ、壁にぶつかったとき、難題を乗り越えるために行っている秘策を聞かれると、萬斎は「昔はエレキギターを爆音で弾いていましたが、今はモノマネしたりして遊んでますね」と会場を沸かせた。一方、中井は「滝に打たれます。ウソです(笑)。壁のことばかり考えてしまうので、引いて壁を見るとどこかに抜け穴があるものです」と真面目に回答。それを聞いた佐々木は「目標を決めるから壁ができるので、壁をつくらないようにしています。セリフが覚えられない、役者に向いていないのかとか日々まめにヘコむから、壁ができないんです」とコツを伝授した。

 狂言、歌舞伎、映画という異なる世界の俳優たちの共演でも話題になっている本作だが、文化と芸能を担う萬斎と佐藤に、互いに分かり合えることはあるかとの質問が。萬斎は「正反対なところがいいのだと思います。受け止めてくださる方がいるのは幸せでした」と役柄にかけて答え、佐藤は「また野村萬斎を間近で見られるという面白さ、楽しさがありました。お客さんになっていました」とほほ笑みながら、撮影当時を振り返っていた。

『花戦さ』
公開中

出演:野村萬斎、市川猿之助、中井貴一、佐々木蔵之介、佐藤浩市、高橋克実、山内圭哉、和田正人、森川葵、吉田栄作、竹下景子
監督:篠原哲雄
原作:鬼塚忠「花戦さ」(角川文庫刊)
脚本:森下佳子
音楽:久石譲
配給:東映

<あらすじ> 16世紀後半、織田信長が本能寺で倒れたのち、天下人の座は豊臣秀吉へ引き継がれ、戦乱の時代が終わりを告げようとしていた。だが秀吉の圧政は次第に人々を苦しめていく。そんな中、町衆の先頭に立ち、秀吉に真っ向から戦いを挑んだ僧がいた。その名を池坊専好。華道池坊の歴史に名を連ねる花僧たちの中、ひときわ名手の誉れ高い専好が、天下人に対して武器としたのは、刃ではなく、命ある花の美しさだった―。

©2017「花戦さ」製作委員会