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高橋一生インタビュー「最後は政次らしい一手だし、あの生き様は美しい」『おんな城主 直虎』

高橋一生インタビュー「最後は政次らしい一手だし、あの生き様は美しい」『おんな城主 直虎』

放送も後半戦に入った大河ドラマ『おんな城主 直虎』(NHK総合(日)後8・00ほか)。今川の元を離れ、徳川と結ぶことにした井伊家だったが、直虎(柴咲コウ)を陰ながら支え続けた小野政次が運命の選択を迫られる。出演シーンすべての撮影を終えた高橋一生さんが政次の思いと約10か月演じた感想を語ってくれた。


政次のことを考えながら湯船に浸かっていました(笑)

高橋一生インタビュー

◆第33回(8月20日放送)の台本を読んだときの感想はいかがでしたか?

「嫌われ政次の一生」というサブタイトルを見て、最後まで自分の道を貫いたんだと思いました。政次は囲碁を嗜んでいる人ですから、自分だけ井伊谷に残った段階で何手も違う打ち筋を考えていたはずなんです。その中には自分の身を考えると選びたくない手もあるけれど、大局的に井伊谷のことを考えると選ばなくちゃいけない、という手もあって。ひとり静かに覚悟を固めていったんでしょう。結果的に選んだのはいかにも政次らしい、最高の一手だと思います。

◆誤解され、嫌われる一生というと少し悲しい気もしますが、政次はどんなことに幸せを見いだしていたんでしょう?

政次自身は能力のある人ですけれど、自分の手で政治を行うとか国を運営するのではなく、生まれ育った場所を守りたかっただけだと思うんです。もっと言えば、ほのぼの暮らすのが理想だったかもしれません。今でも井伊谷は水と風がすごくキレイなところですし。そのために出したのが小国が生き残る道は断固として戦わないという結論で、自分の命も含めたすべてを懸けたと。最後は一見、不幸に見えるかもしれませんけれど、その過程において井伊谷に同化していく感覚は得られただろうし、日々の中に幸せを感じていた気がします。

◆高橋さん自身、すべての登場シーンを撮り終えたときはどんな思いが?

感慨深さと同時に寂しさがありました。現場から離れがたく、どんどん最後のご挨拶が長くなってしまって(笑)。それくらい楽しい撮影でしたし、いくら自分に言い聞かせても終わったって感覚のないまま日々を過ごしてしまいそうです。撮影が終わった日の夜もずっと政次のことを考えながら湯船に浸かっていました(笑)。

◆約10か月に渡る撮影の中で一番の思い出は?

第11回で井戸端で次郎法師(直虎=柴咲コウ)や直親(三浦春馬)と話していたときは、ずっとこのままいたいと思いました。すれ違いを経てようやく幼少期の頃に戻れた3人にとって大事なシーンであり、だからこそ撮影前はいろいろ考えていたこともあったんですけれど、いざ撮影が始まったら政次としてただ幸せでしかなかったんです。この現場ではそういう、俳優をやっていてよかったと思える瞬間にたくさん巡り合えて、とても幸せでした。


登場人物たちの大きな心の動きを感じてもらえたら

高橋一生インタビュー

◆政次のように何を考えているか分からない役柄は、役者としてどうなんですか?

どれだけ思いを抑え込んで隠すかという芝居はずっとやってみたいところでした。もっとも、まだ政次の思考から抜け切れていないからで、もし心の内をベラベラ話す人物を演じたら「雄弁っていいですね」って言うかもしれませんけれど(笑)。約1年間、政次と寄り添って歩いてきたから、まだ客観視できないところがあるんです。そこを無理やり引きはがして答えるならば、やっぱりあの生き様は美しいと思います。

◆感情を表に出さない例として、以前出演した番組では「能面を意識している」とおっしゃっていました。

もともと演出の(渡辺)一貴さんが「鶴(政次の幼名)に能面を背負わせたい」と言っていて、それで意識したところがあるんです。能面って同じように見えても作られた年代や作り手、見る角度によって微妙に表情が違うんです。「この能面ってどんな感情ですか?」って聞いたら、答えがバラバラだったりする。そう考えると、人が表に出している感情なんて相対している人の主観的な思いに過ぎないのではと思ったりして。あとはおとわ(直虎の幼名)は歌、亀(直親の幼名)は笛だから、鶴が能面を被れば能の世界観になるのかな、なんてことも思ったんですけれど、要は政次としてはあまり表情で心の中をガイドすることはせず、皆さんに持っていただく印象に委ねることにしたんです。

◆歴史的には井伊家にとって“悪役”ともみなされている政次ですが、その点は意識されなかったんですか?

実は小野家代々のお墓って、直虎と同じ龍潭寺(直虎が尼として生活を送った寺)の敷地内にあるんです。ということは、そこまで嫌われていなかったとも考えられるし、森下(佳子)さんも脚本をそう書いてくださったと思うんです。伝わっている歴史はあくまでも一部に過ぎず、偉業を成し遂げた徳川も敵に回した側の人にとってみればイヤな奴ですし、今川はただ必死に自分の国のことを考えていただけかもしれない。その辺りを汲み取って、すべての人に人生があることを描いている森下さんは素晴らしいと思います。演じる側は史実ではなく台本に沿ってやるだけなので、あとは見てくださった方の想像力を刺激できていればうれしいです。

◆人物描写以外に『おんな城主 直虎』ならではの魅力を感じるところはありますか?

戦国時代を描いた作品というと“合戦”や“軍議”みたいなイメージがありますけど、この作品は算木でちまちまお金の計算をしていたりするんです。派手に領土を奪い合うのではなく、材木をどう売るかみたいなところで頑張っているのが、地に足が着いていて逆に素敵だと思いました。こういうところにフォーカスした作品ってあまりないし、今までの戦国ものを補完する内容にもなっていると思います。裏ではこういう苦労もあるんだと。小さい会社が大企業とどう渡り合うかに似ていて、共感できる人も多いでしょうし。政次がいなくなった後も、小さな井伊谷の中での大きな心の動きを感じてもらえればと思っています。

 

■PROFILE

●たかはし・いっせい…1980年12月9日生まれ。東京都出身。O型。
出演作に連ドラ『カルテット』など。10月1日スタートの海外ドラマ『THIS IS US 36歳、これから』(NHK総合 (日)後11・00)で主人公の声を務める。また10/2(月)スタートの連続テレビ小説「わろてんか」(NHK)、10月スタートの連ドラ『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ系 (月)後9・00)に出演。映画「THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY‐リミット・オブ・スリーピング ビューティ‐」が10/21(土)公開。

 

■作品情報

高橋一生インタビュー大河ドラマ『おんな城主 直虎』
NHK総合 毎週(日)後8・00~8・45ほか

政次に「無実の罪」!?

直虎と政次が徳川への寝帰りを画策する中、いよいよ井伊谷城に徳川勢が迫る。そこで城を明け渡すはずが、突然、徳川の隊列に矢が降り注ぎ、門内にいた政次は罪を着せられてしまう。(8/20放送)
 
●photo/干川 修 text/小山智久 hair&make/田中真維(MARVEE) styling/部坂尚吾(江東衣裳) 衣装協力/comm. arch. / Joe Mc、lidial / 株式会社カイタックインターナショナル、42ND ROYAL HIGHLAND / 42ND ROYAL HIGHLAND代官山店

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