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梅原裕一郎インタビュー「イーサンとベイリーの絆の深さを感じた」映画「僕のワンダフル・ライフ」

梅原裕一郎インタビュー「イーサンとベイリーの絆の深さを感じた」映画「僕のワンダフル・ライフ」

イケメン声優として人気を集める声優の梅原裕一郎さん。『美男高校地球防衛部』シリーズや『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』など、話題のアニメに次々と登場し、9月29日(金)公開の映画「僕のワンダフル・ライフ」では主人公イーサンの青年時代を演じ、吹き替えに挑戦。明るく元気な青年を演じるのが難しかったという梅原さん。役柄や作品についてはもちろん運動嫌いだったという少年時代についても語ってくれました。

梅原裕一郎インタビュー

◆イーサンという役を演じる上で難しかったことを教えてください。

映画が始まったころのイーサンは前途洋々。人生がうまくいっていて、明るく元気な青年だとディレクションを頂いて、僕にとってはそれが一番難しかったです。最近、好青年役を頂くことが減って(笑)、ひねくれた役や悪役が増えていたので、根っから明るい人間を演じるは難しいなと感じました。でも作中でも途中でイーサンは挫折を経験するんですね。それ以降の暗い部分を出すのは最初の好青年役よりはやりやすかったかなって思います。

◆役柄として明るくないほうがやりやすいのはどうしてでしょうか?

前提として僕自身が明るくないというのがあります(笑)。僕はイーサンのように汗を流す爽やかな青春時代を送ってこなかった人間なので、明るく元気なころのイーサンを演じる上では想像で補完するしかない部分もありましたね。映像を頂いて見た瞬間に、「すごく爽やかな青春を送ってるじゃん!」ってうらやましさもありましたから(笑)。

◆では挫折を味わった後のイーサンのほうが共感できる部分が大きそうですね(笑)。

そうですね。ちょっと影があるイーサンになってからのほうが「そういうこともあるよね」って感じる部分がありました。

◆洋画の吹き替えとアニメの声優では、役へのアプローチの仕方や取り組み方に違いはありますか?

洋画の映像は完全に完成した状態で見ることができるので、そこが大きく違います。アニメはすべてが完成された状態で声を当てることはなかなかないので、そういう意味では洋画のほうがヒントは多いんです。役者さんが既に演じているものに声を当てることになるので、受け取る情報は多くなります。ただこれは僕が感じたことですが、アニメのほうが若干自由さはある気がしました。絵が完成されていない分、現場で自由にやらせていただくこともあるので。そういう部分で洋画とアニメでは、こんなに違うんだなと感じることができました。

◆そうなると映画でイーサンを演じたK・J・アパさんの演技も情報として入ってくることになると思うんですが、映像を見る時に注目したのはどんなところですか?

表情やせりふ以外からヒントを得ることも多かった気がします。例えばイーサンならお父さんと会話するシーンでは表情が強ばっていたり、目が泳いでいたりするんですよね。それはせりふ以外で感情が伝わる部分で、役者さんのそういう部分からヒントを頂いて、お父さんの前に出ると緊張するわけだから、いつもとは違うトーンの声が出るんだろうなって想像するようにしました。

◆映像や台本から、ここを演じるのが楽しみと思っていた場面は?

イーサンと恋人であるハンナとの会話が楽しみでした。すごく爽やかな青春だったので、いいなと思いましたし、2人がいる場所には、絶対にベイリーの姿もあるので、2人と1匹の関係性がすごく面白いと思いました。台本を読んでも、「ハンナが群れの一員になった」と表現されていたり、ベイリー視点で語られていたりするので、2人と1匹の関係もとても爽やかで心が癒やされるもので、僕もそんなふうに演じたいなと思いました。

「僕のワンダフル・ライフ」

◆ベイリーが死ぬ場面はかなりウルッとくる方も多いと思うんですが、そういう悲しいシーンを演じるときにうっかり涙腺を刺激されることはありませんか?

本当に泣いてしまうと汚い音になってしまうので、極力そういう音を出さないように、と思っていたんですが…。やはりあのシーンは演じていても、自分の目の前でベイリーが息絶えたんじゃないかと思うくらいの没入感みたいなものがありましたね。だから印象に残っていますし、演じられてよかったなと思いました。

◆今回の経験を通して、吹き替えの楽しさみたいなものは感じられましたか?

制限がある中でどれだけやれるかみたいな楽しさがあるんじゃないかと思いました。既に役者さんが演じているものに声を当てるので、表情と動きは決まっている。だからそこから大きく外れてはいけないんだけど、その中でどれだけ遊び心を入れられるかという楽しさがあるんだろうなと思いました。僕はまだまだ分からないですけど、先輩たちのお芝居を聞いているとそう感じます。海外作品の吹き替えをされる方は本当にすごい。自分と同じ情報を見ているはずなのに、どうしてそんなことができるんだろうと思うことがありますから。

◆イーサンとハンナが車の中で歌うシーンはとても楽しそうだなと思いました。

あの場面はドライブ中でかなりテンションも上がっていますよね(笑)。裏声で歌う感じだったので、何度も聞いて本番に臨んだんですが、最初は真面目に歌いすぎてしまって、「もうちょっとテンション上げて、ふざける感じでいいよ」と言われたことを覚えています。

◆挫折をしてからのイーサンは、恋人のハンナも遠ざけて自分の殻に閉じこもってしまいました。梅原さんご自身は、落ち込んだら、どうやってその状況から脱しますか?

僕は普段から殻に入っているんですが(笑)、根は楽天家なのかなと思うことも多いんです。だから落ち込んだときは寝れば忘れる。リセットしてしまうんですよね。すべてを忘れるわけではないんですけど、反省しなきゃなと思うこともあれば、無駄にくよくよしないというか、寝たら忘れる。寝なくても、仕事が終わって「さあ帰るぞ!」ってなった瞬間にオフになって、落ち込んだことは忘れようと思うことが多いですね。

◆ということは仕事で落ち込むことが多い?

そうですね。日常生活で落ち込むこと……あまりないなぁ(笑)。人付き合いもどうしても仕事の関係でつながっている方が多くなってしまうので。そうなると、仕事を切り離した何かが、僕の生活の中にはそれほどない気がします。

◆では友達とパーッと遊んで憂さを晴らすという感じでもなさそうですね。

1人でいる時間にすべてリセットする感じですね。誰かと話したり、食事をしたりして元気になるというよりは、自分で回復することが多いです。

◆となるとやはり最初のイーサンはタイプが真逆ですね(笑)。

そうです(笑)。

◆作品では人間がつらいとき、悲しいときに寄り添う犬の姿が描かれていましたが、映画を見てどんなことを感じられましたか?

イーサンが飼っているゴールデン・レトリバーのベイリーはいつでもイーサンの味方ですよね。そんなベイリーの明るさや健気さにイーサンはいつも救われているんだろうなって感じました。人と人なら相談したりするんでしょうけど、言葉じゃない何かでベイリーからの愛みたいなもの感じて、イーサンは癒やされているんだろうなと思ったので、イーサンとベイリーの絆の深さを感じました。

◆犬と触れ合ったことはないとのことですが、犬以外で動物との思い出はあります?

飼ったことがないんですが、動物が好きなんですよね。昔から家の近くの野良猫を探しに行ったりしましたし、今でいえば動画サイトで動物の動画を見たりします。それだけで癒やされるんですよね(笑)。直接触れ合わなくても自由にしている動物の動画を見るだけで、「いいな」って思います。問答無用に癒やされますし、見ているだけで幸せな気持ちになれる気がします。

◆動物のここが好きというのは?

しがらみとかがないところでしょうかね。犬なら底抜けに明るかったり、やんちゃなイメージがあるし、猫は本当に自由で我関せずな感じがしますよね。どんな動物でも自由に生きているところがいいなって思います。

◆もし犬を飼うならどんな犬がいいですか?

僕を外に連れ出してくれる犬がいいですかね。僕と似たような犬だと、一緒にダラダラするだけになってしまいそうなので(笑)。散歩をせがむとか外で遊ぶのが好きな犬のほうが、僕も引っぱってもらって外に出るんじゃないかって思います。僕も「犬のためなら」って行動する気がしますね(笑)。そうなると元気が良い犬がいいですね。

◆ではご自身が犬になるなら、性格や犬種も含めてどんな犬だと思いますか?

自分が犬だとしたら…。大型犬ではないと思います。わりとキャンキャン吠える小型犬じゃないかと思います。僕、よくどっしり構えてるように見られることが多いんですが、実際はそんなことはないんです(笑)。おびえているので、チワワのように震えている感じじゃないかな、と。

◆先ほど、爽やかな青春時代を送ってこなかったとおっしゃっていましたが、梅原さんご自身の青春時代はどんな感じでした?

僕は幼稚園のときに、自分は運動ができないと気がついて自覚があったので、運動に関しては努力することをやめてしまったんです(笑)。その分、他のことをやろうと決めていましたが、運動ができないと小学生時代は市民権がないと言っても過言ではないので、そうなるとまあ卑屈な性格にはなりますよね(笑)。その後も運動ができないことは、大きく影響を与えていると思うんです。運動が関係ない年齢になったとしても、その精神が抜け切らず…(笑)。今もそうなんですが、外に出ることをあきらめて、家でできることを楽しもうと思う人間になりましたね。

「僕のワンダフル・ライフ」

◆ベイリーは3回生まれ変わって、4回目の犬生でイーサンと運命的な再会をしますが、梅原さんがこれは運命だと感じた出来事があったら教えてください。

声優の養成所に入ると学年末に事務所に入るためのオーディションがあるんです。僕は当時、名古屋の養成所に通っていて、そのオーディションが唯一、東京から事務所のマネージャーさんが養成所を見に来る機会だったんです。僕が受けたオーディションで芝居を見てくれたのが、たまたま今所属しているマネージャーさんだったんですね。1次があって、2次、3次と進んでいって、いくつかの事務所から声がかかるものなんですが、僕が声をかけていただいたのは、今の事務所だけで。もし僕が受けたオーディションを見に来たのが、他の事務所のマネージャーさんだったら、僕は採用されていなかったかもしれないし、そこは運命というか、めぐり合わせなんだろうなと感じています。そこで声をかけていただいて今があるので、本当に人生は何があるか分からないですよね。

◆ベイリーは4回の犬生をさまざまな人を幸せにするために生きていましたが、梅原さんにとっての幸せはどんなものでしょうか?

深い質問ですね(笑)。

◆「こういうことをしているときが幸せ」とか、ささやかな幸せで大丈夫です(笑)。

この仕事をしていると思うんですけど、「求められていること」が幸せなのかなって。ほかの仕事をしていたら「あなたにこの仕事をお願いします」と言われることもあまりないんじゃないかなと思うので、そういう意味では自分が認められているというんですかね。自分の個性を買って使ってくれる人がいることの幸せを感じられる仕事だと思います。普通に仕事をしていると、それが当たり前になってしまう気がするんですけど、自分を使ってくれる人がいないとダメな仕事なんだと心に留めないとと思っています。自分がする1つひとつの仕事は声をかけてくれる人がいるからできる、それはすごく幸せなことだと、最近すごく思います。

◆声優さんにとって声、のどは大事な商売道具だと思うのですが、声をケアするために何かしていることはありますか?

僕はずっとしゃべっていないと声が出なくなるんです。休みの日に、「休みだ!」と思って一言もしゃべらないと、翌日のどが閉まっていたりするので、極力声を出して、発声練習をするようにしています。僕は走り続けていないと、すぐにのどがしまってしまうんですよね。

◆意外ですね! のどは使わないようにするのかと思っていました。

人によると思うんですが、僕は使っていないとダメなタイプですね。もちろん使いすぎてもダメなんですが、筋肉なので適度に使っていないとダメだなと思います。

◆今後、挑戦してみたい役柄はありますか?

役でいえば、今はまだ声が育っていないので、アニメでも外画でも10代の役が多いんですが、後々は自分の年齢より上の役をやりたいですね。おじさんの役であったり、渋い役回りができるようになったらいいなって思います。

◆この作品はベイリーのモノローグで進んでいきますが、犬や人間以外の声をやってみたいと思ったりしました?

犬は高木(渉)さんがどうやって演じられているのか楽しみにしていたんですが、難しそうだなと思いました。この作品でいえば語り部でもあるので、犬っぽくもあるけど、語らないといけないから。そういうお芝居をした経験が僕はないので、何かできるような機会があったら挑戦してみたいですね。この作品は犬目線のせりふが多いんですが、そのせりふを渉さんの声で自然に演じられながらも、犬がしゃべっているんだって分かるお芝居をされているなと思いました。いつか僕もそんな芝居ができたらいいなと思います。

 

■PROFILE

梅原裕一郎
●うめはら・ゆういちろう…1991年3月8日生まれ。静岡県出身。声優。10月スタートのアニメ『十二大戦』(BS11ほか)などに出演中。

 

■映画情報

「僕のワンダフル・ライフ」
9月29日(金)より全国公開

監督:ラッセ・ハルストレム
日本語吹き替え版:高木渉、梅原裕一郎、花澤香菜ほか

<ストーリー>
ゴールデン・レトリバーの子犬ベイリーの“最愛の人”は、命を救ってくれた少年イーサン。以来、1匹と1人は固い絆で結ばれていくが、犬の寿命は人間よりうんと短い。ついにベイリーが旅立つ日がきてしまう―。しかし、彼の愛は不死身だった!ベイリーはイーサンに会いたい一心で生まれ変わりを繰り返すが、簡単にはイーサンと遭遇できない。50年かかってようやく3度目でイーサンと再会を果たしたベイリーは、自ら与えられた“重要な使命”に気付く―。けなげでかわいい犬を主人公に贈る、この秋一番の感動作。すべての人を笑顔に変える、犬と人間の極上のラブストーリー。

©2017 Storyteller Distribution Co., LLC and Walden Media, LLC
 
●photo/干川 修 text/佐久間裕子

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