天野浩成インタビュー「映画としての花を咲かせたい」映画「花は咲くか」

特集・インタビュー
2018年02月23日

年の差カップルの純愛ラブストーリーを描いたBLコミックス「花は咲くか」を実写映画化。天野浩成さんが演じるのは、仕事に没頭する毎日を過ごすサラリーマン・桜井和明。ある日仕事先で出会った渡邉剣さん演じる水川蓉一に惹かれていくという役どころだ。共演した渡邉さんや自身の役柄、また本作の魅力について語っていただきました。


原作の漫画がすごく面白くて挑戦しようと思いました

映画「花は咲くか」◆BL作品は初めてとのことですが、オファーを受けた時の感想を教えてください。

年齢的にもおじさんなので、最初は「僕でいいのかな」って思いました。でも、原作の漫画を読ませていただいたら、桜井と年齢が近かったので「大丈夫なんだ」と思って(笑)。原作がめちゃくちゃ面白くて! 登場するキャラクターがしっかりと描かれていて、ボーイズラブというよりも蓉一と桜井以外に登場するキャラクターそれぞれに人間ドラマがあって。その中でちょっとラブの要素もあるぐらいというイメージを受けました。そこから「挑戦してみようかな」と思い、今回桜井を演じさせていただきました。

◆演じるに当たり、役作りはどのようにされましたか?

原作をたくさん読んで、役のイメージをつかんでいきました。僕が演じた桜井は、もともと男性に興味がないという役なので、蓉一への思いや感情を持っていくのが難しかったです。例えば男性が好きな役ならば女性と恋愛した時のことをイメージしたり、相手を女性に見立てたりして感情を持っていけるんですが、今回はもともと興味がないという役なのでそれができない。そういった意味では、僕自身も桜井と同じような気持ちでした。撮影が進むにつれて、桜井の気持ちが分かって自然と感情が表現できるようになりましたね。

映画「花は咲くか」◆蓉一と出会って、桜井は少しずつ彼に惹かれていきます。恋愛からだいぶ距離を置いた大人がピュアな学生を相手に“好きになってもいいのかな” “どう接していいんだろう”と葛藤する気持ちがすごく伝わりました。

葛藤がなければ桜井ではないと思いますし。僕は完成した作品を見た時、桜井の蓉一への気持ちがなかなかハッキリしなくて、「もうはっきりしろよ!」ってじれったくなりました(笑)。まぁでも、今まで仕事ひと筋で生きてきたのに急に大学生の男の子を好きになっちゃうなんて戸惑うし、どうしたらいいか分からなくなっちゃいますよね。どれだけの男性が映画を見ていただけるのか分かりませんが、桜井というキャラクターが一番リアルで共感していただけるんじゃないかな。

◆季節感がきちんと表現されていて、映像がとてもきれいだなと思いました。

きれいですよね。蓉一の家などのロケーションはスタッフの方がすごくこだわっていて。撮影中もすごくきれいなシチュエーションだなと思っていたんですが、映像も鮮やかに映っていて。あと、季節感が出ているのは大成功ですね! そこは谷本佳織監督をはじめ、スタッフさんのお力です。

◆蓉一を演じた渡邉剣さんの第一印象はどう思いましたか?

スタッフ、キャストの皆さんに好かれている俳優さんだなと感じました。僕は「仮面ライダー」をやらせていただいたんですが、剣君は「スーパー戦隊シリーズ」に出演していて。本読みの時に「戦隊」のスタッフさんはもちろんなんですけど、「ライダー」のスタッフの方から「剣をお願いします!」と言われたんです。出演した作品のスタッフさんから言われるのは分かるんですが、あまり接点がないと思えた「ライダー」のスタッフさんにも言われていたので。それは彼が一年間、東映撮影所に通っていた時から愛されていたんだなと思いました。あと、中性的な印象も受けたんですが、思ったより堂々とされていて。主演というのもあると思いますが、現場を引っ張ってくれましたね。逆に僕のほうがいろいろと考えちゃいました(笑)。

映画「花は咲くか」◆現場は楽しかったとのことですが、印象的なエピソードはありますか?

蓉一の父の友人・吉富桔平役で本宮泰風さんがご出演されているんですが、撮影の合間には本宮さんに遊んでいただきました(笑)。といってもたわいのない話をしていたんですが。あと、蓉一の子供時代を演じた子役の子と一緒になって真剣に遊んでいて素晴らしいなって思いました。まぁ、そこに僕も一緒にガチで遊んでいたんですけどね(笑)。

◆作品の見どころを教えてください。

ポスターにもなっている縁側のシーンがあるんですが、そこは特に谷本監督やキャストのみんなも相談して出来上がったシーンなんです。どこの部分で…とはあまり言えないんですが。画としてもすごくきれいでしたし、ポスターの世界観がすてきでいいなと思って。あまりここで撮影してないなということに気づいて、この縁側で撮るのもいいんじゃないかなと提案して、そこから会議して決まって個人的にも印象に残っている1シーンなので、そこに注目していただきたいですね。作品を見た時も本当にきれいで、その前のシーンからもいい流れになっていると思います。

◆本作のタイトルにちなんで「花を咲かせたい」ことはありますか?

今、仕事とプライベートがバランスよく充実していて幸せなんです。何かあるかな…。あ、この映画がヒットしてほしいですね。BL作品がお好きな方や原作漫画のファンの方、それぞれキャストのファンの方が見てくださることが多いと思うんです。正直言って、まだBLなどを題材にした作品は日本の風潮的にも戸惑う部分もあると思います。でも、見てくださった方が「作品として面白い」「映像きれいだよ」などと広めていただければ、面白いなら見てみようかなと今一歩足を踏み出せない方たちが見てくれるようになるんじゃないかなと思います。そういう輪をどんどん広げていって、映画としての花を咲かせたいです。

 

■PROFILE

●あまの・こうせい…1978年4月9日生まれ。愛知県出身。O型。主な出演作はドラマ『仮面ライダー剣』『仮面ライダーフォーゼ』『ぼくの夏休み』、映画「カノン」「TRASH」ほか。

公式サイト:http://www.ldh.co.jp/management/amano_k/

 

■作品情報

映画「花は咲くか」映画「花は咲くか」
2月24日(土)池袋HUMAXシネマズほかにてロードショー

原作:日高ショーコ「花は咲くか」(幻冬舎コミックス刊)
脚本:高橋ナツコ 監督:谷本佳織
出演:渡邉剣、天野浩成、塩野瑛久、小原唯和、水石亜飛夢/本宮泰風ほか

<ストーリー>
広告代理店に勤める37歳のサラリーマン・桜井和明(天野)。周囲からはできる男と評価されているものの、気がつけばただひたすらに仕事に没頭する毎日。ある日桜井はCM撮影で、周囲を深い雑木林に囲まれた古く美しい日本家屋へ赴き、そこで一心に花の絵を描く青年・水川蓉一(渡邉)と出会う。19歳の蓉一は美大生で、この屋敷の持ち主だった。口を開けばぶっきらぼうで無愛想な蓉一は、幼いころに高名な画家だった父と母を亡くして、周囲の人間の期待のままに父親と同じように絵を描き、人付き合いもせず屋敷に同居している従兄弟たちを心配させていた。他人への興味の薄さから親しい友人すらいない蓉一だったが、屈託なく話しかける年上の桜井にだけは心を開き、いつしか自分の本音や亡父への思いを少しずつ話し始める。

公式サイト:http://hanawasakuka-movie.com/index.html

©2018東映ビデオ©日高ショーコ/幻冬舎コミックス
 
●photo/中村圭吾 text/宮西由加