芳根京子「とにかく知ってほしい」ドキュメンタリードラマ『Akiko’s Piano 被爆したピアノが奏でる和音』8・15放送

ドラマ
2020年08月14日

『Akiko's Piano 被爆したピアノが奏でる和音(おと)』

芳根京子が主演を務めるドキュメンタリードラマ『Akiko’s Piano 被爆したピアノが奏でる和音(おと)』(BSプレミアム・BS4K)が8月15日(土)に放送される。

『Akiko's Piano 被爆したピアノが奏でる和音(おと)』

本作は、広島に投下された原爆によって命を落とした河本明子と、焼け残った彼女のピアノにスポットを当て、明子の在りし日の姿を日記に基づいてドキュメンタリーとドラマで描く。

『Akiko's Piano 被爆したピアノが奏でる和音(おと)』

ドラマパートでは、主人公・河本明子を芳根が演じ、その父・源吉を田中哲司、母・シヅ子を真飛聖、教師・竹内を町田啓太が演じる。

『Akiko's Piano 被爆したピアノが奏でる和音(おと)』

ドキュメンタリーパートでは、今年8月5日と6日に広島で行われた広島交響楽団による「2020『平和の夕べ』コンサート ~Music for Peace~」から、藤倉大作曲のピアノ協奏曲第4番「Akiko’s Piano」(ピアノ演奏:萩原麻未)世界初演奏の模様を放送する。

『Akiko's Piano 被爆したピアノが奏でる和音(おと)』

芳根京子 コメント

『Akiko's Piano 被爆したピアノが奏でる和音(おと)』

◆戦後75年たった今、当時を生きた女性を演じることの意義や、難しさについてどう感じていらっしゃいますか?

私は東京出身なので原爆については身近に被害に遭われた方がいなかったのですが、この作品に参加して、知っていると知らないとではすごく違うなとあらためて感じました。実際に経験した方がいらっしゃる出来事を演じる怖さというものは感じますが、どんどん知らない人が増えていく中で、こうして作品に残せること、そしてこういう作品に参加させてもらえることは、自分の人生においてもすごくありがたいことだと思います。

◆明子さんを演じて感じたことや、共感した部分を教えてください。

今の時代は自由ですよね。今新型コロナの影響で不自由になっていることを不愉快に感じるのは、今までがすごく自由だったから。当たり前の時間、当たり前の日々がどれだけ貴重なものかというのを、これまでも言葉にはしていたけど、実感、体感したことがなかった。ピアノが弾きたい時に弾けないとか、トマトが食べたい時に食べられないとか、友達と遊びに行きたいのに行けないとか…すごく等身大の19歳の願いがかなわない時代だったというのは、演じていて胸が苦しくなりました。

◆視聴者へメッセージをお願いします。

東京出身で今23歳の私には、言葉にするのが難しくてすごくもどかしいんですけれど、被爆したピアノの存在や、被爆して19歳で亡くなった明子さんという女性の存在をとにかく知ってほしいと思います。やはり私と同世代の人たちも引き継いでいかないといけない出来事ですし、この作品に参加させていただいたからこそ感じ取れている部分はあると思うので、言葉で説明するよりも作品を見ていただけたら全部伝わるのではと思っています。

田中哲司 コメント

『Akiko's Piano 被爆したピアノが奏でる和音(おと)』

雨に悩まされた、三日間の短い撮影でした。
日本人、または一人の人間として、風化させてはいけない事実。大袈裟かも知れないですが、役者としての義務と言うか、自分の演技なんて知れたところではありますが、ちょっとした事にも気を抜かず、全力を持って挑まなければいけない作品だと思いました。

真飛聖 コメント

『Akiko's Piano 被爆したピアノが奏でる和音(おと)』

毎日が、いつどうなるか分からない状況の中生きていくというのは、とてつもない緊張感や不安の日々だったことでしょう。でもそんな中、ピアノという夢中になれるものに出会えた明子さんは幸せだったのではないかなと思いました。
明子さんを演じた芳根さんは、とても真っすぐな瞳、そしてあの愛らしい笑顔を見た時、なんて心のきれいな人なんだろうと、いとおしさが込み上げてきました。健気な姿も明子と重なりとても魅力的な女性だと思いました。
もちろん、75年前に本当に起こった出来事なので楽しんで見てくださいという言い方は違うと思うのですが、事実だからこそ、その時代を懸命に生きた方たちの真っすぐな想いを受け取っていただけたらうれしく思います。河本家のキーワードは「トマト」です。

町田啓太 コメント

『Akiko's Piano 被爆したピアノが奏でる和音(おと)』

実際に75年前にあった出来事で、僕はその時の事を、人から聞いたり資料でしか見たことはありませんが、今こうして命があるということや、人として命に対してどうあるべきなのか今の自分なりにあらためて考えさせられました。僕自身、演じさせていただくことで、そのきっかけをもらえて感謝しています。
芳根さんは芯があり周囲を明るく照らすようなエネルギーにあふれている方だなという印象を受けました。そんな芳根さんだからこそ明子役にピッタリで、きっとこの作品をご覧になる方々の心に深く残るのではと思います。
明子さんとピアノ、そしてこの時代にあったことを皆さんと一緒に考えられると思いますし、一人でも多くの方とその時間を共有できることを願っています。

作曲家・藤倉大 コメント

作曲家・藤倉大
©Seiji Okumiya

この協奏曲を去年8か月ほどかけて作曲しました。8か月ほどずっと明子さんと一緒に生活していたような気分です。
この協奏曲の主なメッセージはMusic for Peaceです。
しかしながらそれを一作曲家として、明子の個人的な視点に集中して表現したいと思います。普遍的な主題を伝えるために微視的な視点から進めるのです。政治に何の力も持たない19歳の普通のアメリカで生まれた少女である明子の視点なのです。これまでのあらゆる戦争、世界のあらゆる国でこの19歳の少女と似た話が起こっているはずです。
どの戦争も「明子」を作り出します。
これからこの作品がいろんな国で演奏されると良いなと思いますし、演奏されることにより、その国々で生まれてしまった「明子さん」を思い出し、全人類は2度とこの状況が起こらないように努める義務があります。
今回はこの作品の世界初演に加えて、明子さんをモデルにしたドキュメンタリードラマが作られると聞きました。素晴らしいドラマになるに間違いないでしょう!僕も観るのが楽しみです。

番組情報

ドキュメンタリードラマ『Akiko’s Piano 被爆したピアノが奏でる和音(おと)』
BSプレミアム・BS4K(同時放送)
2020年8月15日(土)後6・00~7・29

<スタッフ&キャスト>
脚本:田中眞一
出演:芳根京子、田中哲司、真飛聖、町田啓太ほか
制作統括:樋口俊一(NHK)、坂部康二(NHKエンタープライズ)、山本喜彦(MMJ)

©NHK