『終着駅シリーズ』『西村京太郎トラベルミステリー』ファイナル放送決定!長い歴史にピリオドが…

ドラマ
2022年11月21日
©テレビ朝日

12月22日(木)に『森村誠一ミステリースペシャル終着駅シリーズ・ファイナル 十月のチューリップ』(テレビ朝日系 午後8時〜9時48分)が、12月29日(木)に『西村京太郎トラベルミステリー・ファイナル 十津川警部のレクイエム』(テレビ朝日系 午後9時〜11時)が放送決定。出演する片岡鶴太郎、高橋英樹、高田純次からコメントが到着した。

日本ミステリー界に燦然とその名を刻む、森村誠一、西村京太郎。両巨匠によって生み出され、2時間ドラマとして長きにわたって人々に愛されてきた『終着駅シリーズ』と『西村京太郎トラベルミステリー』がともに終幕のときを迎えることとなり、ファイナル作品の2週連続放送が決定。ミステリードラマの“レジェンド”ともいうべき存在である2シリーズが、12月でついに見納めとなる。

森村誠一原作の『終着駅シリーズ』は、執念の捜査で事件の奥底に潜む真相に迫る、新宿西署のベテラン刑事・牛尾正直の活躍を描くミステリー。1990年、露口茂の主演で誕生し、第5作(1996年)から片岡鶴太郎がバトンを受け継いだ。

ミステリーでありながら一貫して“人間”を深く掘り下げる物語が支持され、『土曜ワイド劇場』を中心に回を重ね、ファイナル作品は第38作に当たる。週刊誌記者・川村冴子(水野真紀)とのコラボ作『終着駅の牛尾刑事VS事件記者・冴子』シリーズ(計16作)などを合わせると、片岡は牛尾刑事をちょうど50作演じてきたことになる。

12月22日(木)放送の最終作『十月のチューリップ』では、“神の手”を持つといわれる心臓外科医が刺殺される事件が発生。牛尾は第一発見者であるフラワーショップ店主・北野英子(美村里江)に疑惑を抱くが、やがて事件には思いもよらぬ真実が隠されていることが明らかに…。善と悪、そして生と死を深く考えさせる、つらく悲しい事件が描かれていく。

26年、通算50作にわたって牛尾を演じてきた片岡は「始まりがあれば終わりがあるもの、と常々思ってきましたので、“その時が来ましたか”という気持ちでした。このドラマがベースにあったからこそ、今の私もこれからの私もあると思っていますので、作品には感謝しかありません」と、ファイナル決定を淡々と受け止めたと告白。

第1作からメガホンを取ってきた日本映画界の重鎮・池広一夫監督に対しては、「生涯現役を貫いてきた、偉大な監督。その姿には敬服するばかりです」と、長年の感謝とリスペクトを語った。

また、牛尾の妻・澄枝として1997年放送の第7作から共演してきた故・岡江久美子さんをしのび、「最後、僕らは岡江さん演じる澄枝の“思い”をきちんと残す形で幕を閉じることができたと信じています。岡江さんには、“あなたと一緒に終えることができました”と報告したい」と天を仰ぎ見る。

さらに「私の中には常に尊敬してやまない牛尾刑事の姿がある」とも明かし、「今後も岐路に立ったとき、彼だったらどう考えるのか自らに問いかけ、彼に近づくよう己をしつけていく…。それはこれからの人生でも変わらず、やっていく作業です」と、これからも牛尾刑事とともに生きていくことを誓う。

いっぽう、ミステリー界の黄金コンビ・十津川警部と亀井刑事が旅情あふれる映像を背景に時刻表や鉄道にまつわるトリックを解明、事件の裏に潜む人間ドラマを浮かび上がらせてきた『西村京太郎トラベルミステリー』は1979年にスタート。以来43年間にわたって、時代を反映した鉄道トリックを取り入れるなど意欲的な挑戦を続けてきた。

2000年放送の34作目で初代・三橋達也さんから十津川警部役を受け継いだ高橋英樹は、第73弾となるファイナルまで、40作で主演。また、高田純次は2012年、長らく亀井刑事を演じてきた愛川欽也さんにかわって登場。味わい深い演技で10年間、高橋とタッグを組んできた。

12月29日(木)放送の最終作『十津川警部のレクイエム』では、十津川の部下・柿沼刑事が、亡き妻とそっくりな女性と心中するという痛ましい事件で幕を開ける。柿沼の死について調べていくうち、十津川たちは事件の背後に横たわる巨大な闇に突き当たることに…。

劇中では、部下を失った十津川が「仲間を殺した殺人犯を、この手で殺したいと強く感じています」「あなたが犯人なら、あなたを殺す」などと、これまでにない強い言葉で怒りをあらわにするシーンも。さらに、十津川が拳銃を抜くシリーズ史上初の場面も描かれるほか、ファイナルらしい衝撃の展開となるラストも必見だ。

22年にわたって十津川警部を演じてきた高橋は、「『西村京太郎トラベルミステリー』は旅、鉄道、そして事件…と日本人が好きな要素が網羅されている、2時間ドラマの原点のような作品で、西村京太郎先生の真骨頂。先生が書き続けてくださったおかげで、73作まで重ねることができました」と、今年3月に世を去った西村氏に感謝を。

いつも冷静な十津川が最終作で初めて激しい怒りを表明することにも触れ、「仲間が殺されたことに対する怒り、それから悪に対する刑事としての怒りが集約された結果なのですが、非常に珍しい十津川像が描かれています」と、ファイナルにふさわしく、十津川の真なる感情を深掘りして見せたことを明かした。

また、第58作から亀井刑事を演じてきた高田は「もう亀井刑事を演じて、10年になるんですね…。歴史ある素晴らしい作品に参加できて本当に光栄でした」と、しみじみ回顧。「今回だけは5時間ぶっ続けで放送してほしいと思うぐらい、長いロケにもしっかり臨みました。とにかく余すところなく隅から隅まで見ていただきたいですね」と力を込めて語った。3名のコメント全文は、次ページに掲載。

片岡鶴太郎(牛尾正直 役)コメント

◆シリーズがファイナルを迎えると聞いたときのお気持ちを教えてください。

始まりがあれば終わりがあるもの、と常々思ってきましたので、「その時が来ましたか」という気持ちでした。このドラマがベースにあったからこそ、今の私もこれからの私もあると思っていますので、作品には感謝しかありません。池広監督は根っからの“映画人”で、撮影では“長回し”が多く、毎回毎回、長ゼリフをきちんと身体に刻んでいくという作業が欠かせませんでした。

◆シリーズ第1作から演出を手がけてきた池広一夫監督、そして妻・澄枝を演じた岡江久美子さんにはどのような言葉を贈りたいでしょうか?

池広監督は93歳にして、現役バリバリ。この2~3年、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて撮影できない時期がありましたが、今回の撮影ではそのブランクをまったく感じさせませんでした。生涯現役を貫いてきた偉大な監督であり、その姿には敬服するばかりです。
仲間たちとファイナルを迎えられず、いちばん残念に思っていらっしゃるのは岡江さんだと思います。でも最後、僕らは岡江さん演じる澄枝の“思い”をきちんと残す形で幕を閉じることができたと信じています。岡江さんには、「あなたと一緒に終えることができました」と報告したい思いです。

◆26年間演じてきた牛尾刑事は、ご自身にとってどんな存在ですか?

“私淑する存在”ですね。彼はどんなことがあっても冷静でクリアな判断ができ、常に喜びも悲しみもグッと抑えて一定の感情の中に置いています。それでいて心の中には愛情と慈しみをあふれんばかりに持っていて、品格があって身綺麗で、美的な感性をも持ち合わせた方だと思います。
そんな牛尾刑事に自分自身も近づきたいと願い、この26年間は手本である牛尾刑事と自分のギャップを埋める作業の連続でした。私の中には常に尊敬してやまない牛尾刑事の姿があるので、今後も岐路に立ったとき、彼だったらどう考え、どう対処するのか自らに問いかけ、彼に近づくよう己をしつけていく…。それはこれからの人生でも変わらず、やっていく作業だと思っています。

◆ファンのみなさんにメッセージをお願いいたします。

絵の展覧会やサイン会など、どこに行っても必ずみなさんに言われるのが、「牛尾刑事、見てますよ!」「今度いつ放送しますか?」という言葉。それだけ楽しみに待ってくださるファンの方がいるんだなと実感してきました。『十月のチューリップ』は最後にふさわしく、『終着駅シリーズ』ならではの重厚で深いストーリー。ほかでは決して描くことのできない作品ですので楽しみにご覧いただきたいですね。そして、岡江さんをしのび、監督の業績を称えていただきたいと思っています。

高橋英樹(十津川省三 役)コメント

◆『西村京太郎トラベルミステリー』シリーズへの思いを教えてください。

『西村京太郎トラベルミステリー』は旅、鉄道、そして事件…と日本人が好きな要素が網羅されている、2時間ドラマの原点のような作品で、西村京太郎先生の真骨頂。先生が書き続けてくださったおかげで、73作まで重ねることができました。2時間ドラマが少なくなってきた昨今、俳優としてとてもやりがいを感じていた仕事でしたね。ただ、必ず地方ロケがあり列車のスケジュールを優先しなければならないため、撮影は毎回、なかなか過酷なものがありました。

◆思い出に残っている作品を教えてください。

思い出は数えきれないほどありますが、忘れられないのが北海道・音威子府で-36度の中、撮影したときのこと(『西村京太郎トラベルミステリー35・宗谷本線殺人事件』2001年)! それまで経験したことのない寒さでしたが、驚いたのは“音”です。ホームで列車を待っていても、寒さで空気の振動がないからか、音が伝わってこないんです。そのため、ホームに滑り込む直前で初めて列車の走行音が聴こえてきてビックリしたことを覚えています。

◆ファイナル作品『十津川警部のレクイエム』では、十津川班全員で静岡・奥大井ロケも敢行されましたが、撮影はいかがでしたか?

近年は純ちゃん(高田純次)と2人で地方に行くことが多かったので、全員でロケ現場に出向くのは久々でした。夜な夜な集まっては昔話を交わして、楽しかったですね。また、今回の作品のすごいところは“風景”。ロケはすべて“ピーカン”の下で行われたので、素晴らしい風景だけでも見応えがあります。神様から「ファイナルとしてしっかり仕事をせよ」と励まされているような気がして、忘れられない作品になりました。

◆ファンのみなさんにメッセージをお願いいたします。

今回、十津川が強い表現で容疑者に怒りをぶつけますが、常に冷静な彼が感情をあらわにしたのは初めてのこと。さらに、『西村京太郎トラベルミステリー』史上、初めて十津川が銃を放ちます。仲間が殺されたことに対する怒り、それから悪に対する刑事としての怒りが集約された結果なのですが、非常に珍しい十津川像が描かれています。人間の善と悪の両面が丁寧に描写されたドラマになっていますので、ぜひご覧ください!

高田純次(亀井刑事 役)コメント

◆『西村京太郎トラベルミステリー』シリーズへの思いを教えてください。

亀井刑事を演じて、もう10年になるんですね…。歴史ある素晴らしい作品に参加できて本当に光栄でした。劇団出身なもので、列車に乗っていろいろな地方に赴くことができるのがうれしくて仕方がなかったです。しかも、英樹さん演じる十津川警部は非常に優秀な方なので、彼についていけば、必ずや2時間以内に事件を解決できますしね(笑)。
いちばんの思い出は、初参加だった『山形新幹線つばさ129号の女』(2012年)。村川透監督の故郷・山形を舞台にした作品で、食事もおいしかったし、監督の知り合いの方もいっぱいいらして、監督としても気合いが入った作品だったと思います。

◆ファイナル作品『十津川警部のレクイエム』の撮影はいかがでしたか?

前作の撮影が2年前で、それ以来だったので、ちょっとドキドキしながら入らせていただきましたが、本当に天気がよくてラッキーでしたね。神様も忖度してくれたのか、撮影が屋内だと雨が降り、ロケだと晴れるという感じでした。トロッコ列車に乗るのを楽しみにしていたんだけど、ロケ先に到着するまでたっぷり1時間かかり、最終的にはお尻が痛くなって参りました(笑)。でも、湖をはじめ秘境の風景は信じられないほど美しく、僕にとっても忘れられない思い出になりましたね。
ファイナルでは仲間の悲劇に遭遇した亀井の混乱や憤りを表現するため、監督から何回も「エキセントリックに演じて」と言われました。僕には演技の引き出しは3つぐらいしかないんだけど(笑)、それらをこじあけて頑張りました。また、今回はなかなか激しいシーンがあって、とにかく十津川警部がかっこいいんですよ! 僕もアクションに参加したかったんですけど、監督から「必要ない」って断られちゃいました(笑)。

◆ファンのみなさんにメッセージをお願いいたします。

見どころは最初から最後までだと思います。今回だけは5時間ぶっ続けで放送してほしいと思うぐらい、長いロケにもしっかり臨みましたから。とにかく余すところなく、隅から隅まで見ていただきたいですね。

番組情報

『森村誠一ミステリースペシャル
終着駅シリーズ・ファイナル
十月のチューリップ』

テレビ朝日系
2022年12月22日(木)午後8時~9時48分

<あらすじ>
心臓外科の名医として知られ、総合病院の副院長でもある前園徹(天野浩成)が、刺殺されているのが見つかった。臨場した新宿西署の刑事・牛尾正直(片岡鶴太郎)は、第一発見者であるフラワーショップ経営者・北野英子(美村里江)から事情を聴く。英子は現場から急ぎ足で立ち去る大柄な男を目撃したと話すが、フードをかぶっていたため顔まではわからないという。
そんな中、牛尾は殺された徹が自身の病院の特別室に、意識不明の重体に陥った高校生・川合理香(菊地姫奈)を迎え入れていたことを知る。理香は病院で働く看護師の娘で、学校のいじめを苦に飛び降り自殺を図ったらしく、状況を知った徹が母子に手を差し伸べた形だった。彼の行動は美談として報じられていたが、その一方で徹は病院長でもある母・貴子(原日出子)に面倒なことはすべて頼りきっていたという、いびつな親子関係も明らかになる。
そんな中、英子の目撃証言に合致する関係者が浮上。ところが、彼の風貌を確認した英子は、自分が見た男とはまったくの別人だと証言。牛尾はきっぱりと否定する英子に、かすかな疑念を抱き…!?

『西村京太郎トラベルミステリー・ファイナル
十津川警部のレクイエム』
テレビ朝日系
2022年12月29日(木)午後9時~11時

<あらすじ>
警視庁捜査一課の十津川警部(高橋英樹)、亀井刑事(高田純次)らは、十津川班メンバー・柿沼浩輔(葛山信吾)の結婚式に参列した。若い2人が式場に選んだ場所は、静岡・奥大井の秘境にある“奥大井湖上駅”。幸せな笑顔と絶景を堪能したのもつかの間、なんと式の翌日、新婦のゆき(小島藤子)がストーカー男に刺されて死亡するという痛ましい事件が起きる。
その1年後――。奥大井の寸又峡に男女の遺体が浮かんだ。死んでいたのは柿沼と、児童養護施設で働く女性・小菅みな子(小島藤子・2役)の2人で、遺体を確認した十津川、亀井はがく然。みな子は、ゆきに瓜二つだったのだ。みな子の親友で同僚でもある木之内順子(星野真里)によると、ゆきの命日に奥大井を訪れた柿沼が偶然、観光に来ていたみな子と出会い、運命に導かれるようにして交際をスタートさせたという。順子は、柿沼がみな子を道連れにしたと激しく非難する。
所轄署も柿沼がみな子と心中を図ったものと断定するが、釈然としない十津川たちは捜査を開始。すると、柿沼の部屋から、捜査用に作成された似顔絵を発見する。そこに描かれていた女性はゆき、もしくはみな子にそっくりだった。2人のうちどちらかが犯罪に関わっていたのか!? もしや、それが柿沼の死とつながっているのか!? 調べを進めた十津川たちは意外な真実に突き当たる――!

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