青柳翔&大東駿介が「宗教」をビジネスに!?プレミアムドラマ『仮想儀礼』12月スタート【コメントあり】

ドラマ
2023年10月30日
『仮想儀礼』左から)青柳翔、大東駿介 ©NHK

プレミアムドラマ『仮想儀礼』(NHK BSプレミアム4K(新BS4K)/NHK BS(新BS2K)毎週日曜 午後10時~10時49分)が、12月3日(日)スタート。W主演を務める青柳翔、大東駿介、原作・篠田節子らスタッフ陣からコメントが到着した。

「宗教を作ろう、食っていくために」。無職の男2人がやけっぱちで立ち上げた“サービス業”、それは「宗教」だった。

“無宗教”と言いながら、クリスマスを祝い、神社にお参りし、仏式で葬儀を行ったり。験を担いでみたり、パワースポットを訪ねたり…。信仰心は持っているのに、「宗教」となるとタブー視したり、遠ざけたりしがちな日本社会。「宗教」って、なんだろう。このドラマは今こそ「宗教」についてマジメに考える、面白くも悲しき物語だ。

ある日突然、職を失った、元エリート公務員の正彦(青柳翔)と元ゲーム会社社員の誠(大東駿介)。やけっぱちになった2人が始めたのは、「宗教」という名の「ビジネス」。適当に付けた教団名「聖泉真法会」のホームページを立ち上げ、正彦は「教祖」となった。

チベットの密教などさまざまな宗教を継ぎはぎにした教えを基に、身の上相談から始めると、思いのほか人々が訪ねてくる。儀式の作法や本尊の用意など、その場しのぎでなんとか切り抜けていた。

しかし、ある企業の社長がパトロンとなったことから、「聖泉真法会」は飛躍的に成長する。教団施設の提供、多額の献金…気付けば信者の数は5000人を超えていた。正彦は当初の目的である「金もうけ」に成功する。

しかし、素人である自分を心の底から信じる信者たちの存在や、教団が大きくなっていくことに戸惑いも感じていた。そんな中、信者たちが独自の解釈で「教義」を発展させ、教団は思いも寄らない災難に巻き込まれていく。

青柳、大東、スタッフ陣からのコメントは下記に掲載。

原作・篠田節子 コメント

2008年発表の長編小説「仮想儀礼」から、脚本家さんはじめ多くのスタッフの方々の手で、2023年の日本の現実を切り取った新しいドラマが誕生しました。
金もうけのために宗教を起こそうともくろんだどん底の男2人を、青柳翔さんと大東駿介さんが、深刻かつ軽妙に演じてくれます。
自分たちが作り出したカミサマ、ホトケサマが、悩み多き人の心を引き寄せたとき、どんなふうにコントロールを失い、どんなふうに暴走していくのか。その先に何が見えて、どんな境地が待っているのか。
活字では表現し得ない世界を、魅力的なキャストの皆さまが、ときに熱くときに冷徹な演技で見せてくれるはずです。
小説とはまったく異なる魅力を持ったもう一つの『仮想儀礼』。多くの視聴者の方々に楽しんでいただくと同時に、現実のもう一つ向こうにある、人間の真実を見つけていただけたら幸せです。

脚本・港岳彦 コメント

母方の祖母はある新宗教の敬虔な信者だった。口癖は「すべては神様のおかげ」。土木作業をしながら単身で6人兄弟を育てた苦労人。とてつもなく優しい祖母が僕は大好きだった。12歳のとき、けがで片目を失明した。その際のコメントが振るっている。「両目を失明せずに済んだのは神様のおかげ」。子どもながらに苦笑してしまった。理解できない発想だったけど、そこに生じたユーモアを今も愛している。
インチキな宗教団体の栄枯盛衰を描いた篠田節子さんの黙示録的大作「仮想儀礼」を、全500分のTVドラマシナリオに脚色しました。カテゴリーは、喜劇。彼岸にいる祖母が見たら苦笑するかな。信仰のあるなしにかかわらず、ご笑覧くだされば幸いです。

音楽・岩代太郎 コメント

無神論者である私は、人々を良き方向へ導くためのアイコンとして、「神」という存在が創造されたと思っている。だが世界を見渡せば、「神」が戦火の種となり、無数の人々が殺りくされている今、宗教や神の存在意義に疑念を抱いている人々も少なくはないだろう。私も、その1人である。一方で、「信心」が人間に強い心をもたらすことも知っている。以前、小児がんの最前線に立つ医師から、子どもに先立たれる親の多くが、「信心」によって、どれほど救われ、生きる活力を得るのか、を伺ったことがある。これもまた、人類にとっての真理だろう。
音楽制作のコンセプトには、少々攻めた音楽性も織り交ぜてみた。ドラマ『仮想儀礼』が、多様性に満ちたメッセージを、私たちに授けてくれる作品だと思った故である。私にとっては、5年ぶりとなるNHKドラマを、どうかご堪能いただければと願っている。

宗教考証・釈徹宗 コメント

果たして、”誠実”な”宗教ビジネス”としての新興教団は成り立つのか。それともしょせんは詐欺まがいのニセモノ宗教の道を歩むのか。
人生に行き詰まった2人の男が立ち上げた虚構の宗教は、やがて2人の思惑を超えて動き始め、誰もコントロールできないものとなっていく。
信仰・宗教・教団・カルトの動的関係について深く考えさせられる強烈な物語。

鈴木正彦役・青柳翔 コメント
『仮想儀礼』青柳翔

台本にはこう書かれています。
愚かな2人が、真理と営利を追求する物語である、と。
真理と営利を両立することは、バランスの取れたアプローチを取ることが重要だ、と。
この言葉に板挟みになりながら
信心とはなにか?
何者になりたいか? を追求していけたらと思っております。

矢口誠役・大東駿介 コメント
『仮想儀礼』大東駿介

宗教とはなにか。信仰とはなにか。信じるとはなにか。
あらためて考えると、情報があふれかえり簡単に手に入る昨今、仮想と現実の境界線が曖昧になり、次々新しい情報を信じ、途端にひっくり返り、また新たな情報を信じる。
情報も恋愛もダイエット法さえも信じるか信じないかで左右され、これはある種の信仰のようなものだと思うのです。
重要なのは真実か、信じられることか。
この撮影中ふと、僕らがしているのは、日々脚本というある種の仮想を現実にすべく向き合う儀礼のようなものだなと思いました。
それを実現させるためには何より信じる力が必要で。
むやみに信じることの危うさを感じる反面、無垢に信じることの尊さを感じます。
この作品がどんな真実にたどり着くか、僕自身楽しみです。

制作統括・高城朝子 コメント

実はこの企画、「宗教をコメディに? テレビではちょっと…」と何度も振られ、なかなか成立しませんでした。日本のテレビにおいて「宗教」とはアンタッチャブルなテーマなのです。そんな企画に参加してくださった気概ある出演者の方々とスタッフが、日々議論を重ねながら、この壮大で、難解で、答えのないテーマに挑んでいます。
笑いあり、涙あり、価値観がバグる一癖も二癖もあるエンタメに仕上がっております。ぜひ主人公たちと一緒に「宗教団体づくり」を体験してみてください。

演出・岸善幸 コメント

今という時代、人生という物語をハッピーエンドで終えられるのは、とても難しいような気がしています。人に優しい世界を求めながら、逆行することばかりが続く現実。そんな時代に宗教団体を立ち上げる2人の男。目的は金もうけです。教義も儀式もまがいものなのに、次第に信者が増えていく。言わば「うそから出たまこと」を描き出すドラマです。うそか、現実か、分からないことが多すぎる昨今ですが、その分、登場人物たちのゆがみやこっけいさは、丁寧にリアルに描こうと思いました。正しくなくても、野望にあがく2人が迎えるリアルなハッピーエンド! ご期待ください。

番組情報

プレミアムドラマ『仮想儀礼』(全10回)
NHK BSプレミアム4K(新BS4K)/NHK BS(新BS2K)
2023年12月3日(日)スタート
毎週日曜 午後10時~10時49分

原作:篠田節子
脚本:港岳彦 江頭美智留
音楽:岩代太郎
宗教考証:釈徹宗
出演:青柳翔 大東駿介/石野真子 美波 河井青葉 松井玲奈 川島鈴遥 奥野瑛太 齋藤潤
宮地真史*峯村リエ/尾美としのり 目黒祐樹 石橋蓮司 ほか
制作統括:高城朝子(テレビマンユニオン) 勝田夏子(NHK)
演出:岸善幸 石井永二(テレビマンユニオン)森義隆

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