大林宣彦監督の最期のメッセージ「海辺の映画館」園子温監督らのコメント到着

映画
2020年07月30日

大林宣彦監督の映画「海辺の映画館ーキネマの玉手箱」が、7月31日(金)より全国公開される。それに合わせて、大林監督の想いを受け止めた、作品の作り手たちからのコメントが到着した。

大林監督が20年ぶりに尾道で撮影した本作は、まさに“キネマの玉手箱”。物語は、戦争の歴史を辿りながら、無声映画、トーキー、アクション、ミュージカルと様々な映画表現で展開していく。

もともと公開を予定していた4月10日に大林監督(享年82)は永眠したが、本作プロデューサーで人生のパートナーでもある大林恭子いわく「大林宣彦監督は次回作ロケハン中!」とのことだ。

そんな大林監督の最新作は、“映画は未来を変えられる”という想いが込められた、エネルギーにあふれる作品。その想いを代弁するかのように、作品の作り手たちからコメントが到着した。

園子温監督は「映画史に残る最高傑作かつ最高遺作だ」と述べる。岩井俊二は「まるで大林宣彦監督の脳内を直接見ているような表現世界。それはどこか昨日見た夢のようでもあり、明日見るかも知れない夢のようでもあり。この“ひとつの映画”がこの現世をどう照らすだろう」と投げかけた。全文とその他のコメントは、次ページを参照。

本作は、映画少年時代からの大林監督のすべてが凝縮された「大林版ニュー・シネマ・パラダイス」。娯楽作でありながら、底辺に流れるのは戦争に対する辛辣なメッセージであり、それに打ち勝てるのは映画であると力強く伝えている。「海辺の映画館ーキネマの玉手箱」は、7月31日(金)より全国公開だ。

<コメント>
■井口昇(映画監督) コメント
始まった瞬間から傑作の予感と鳥肌が立ち、それが1秒も変わらず3時間続く映画体験は生涯初めてでした。余命を宣告された監督が撮ったと信じられない、この凄まじいパワーと若々しさは何なのだろう。
あらゆる感想も、「大傑作!」という賞賛さえ陳腐に感じるほど、大林宣彦監督の細胞から暴れ出た映画的才気と創作の執念と戦争への怒りの凄絶さに、ただただ打ちのめされました。
大林宣彦監督は亡くなったのではない。この映画そのものになって、辛い現実と立ち向かう現在の観客の心にスクリーンから光を与えてくださるのだと僕は本気で思います。
だからこそ、今こそ、映画舘で大林監督に逢いにいこう!!

■岩井俊二 コメント
まるで大林宣彦監督の脳内を直接見ているような表現世界。
それはどこか昨日見た夢のようでもあり、明日見るかも知れない夢のようでもあり。
この“ひとつの映画”がこの現世をどう照らすだろう。

■羽海野チカ(漫画家) コメント
繰り返される時間たちが
岩だらけの入江の
蒼い海の底に沈んだ
カラフルなブリキの宝石箱のよう
もっと思い切り生きていいんだよと
宝石箱たちが一斉に喋り出したような気がして
映画の中に吸い込まれました

■笠井信輔(フリーアナウンサー) コメント
映像作家を刺激する自由で大胆な映像構成、リフレインと挿入の魔術師といった大林監督の晩年の輝きはいっそう増している。
なんといっても物語が分かりやすく、ぜひとも若い人たちに驚いてもらいたい。

■角川春樹(角川春樹事務所 代表取締役社長・俳人・映画監督) コメント
彼こそがキネマの玉手箱。
青春映画から反戦映画まで何が飛び出すかわからない。
最後まで映画監督として生き切った大林宣彦監督の幸せな人生がうらやましくもある。

■園子温(映画監督) コメント
映画史に残る最高傑作かつ最高遺作だ。

■のん(女優・創作あーちすと) コメント
生きている時間ギリギリまで使って、
映画を撮り続けたことに感動します。
時空も次元も渡り歩いて映画を旅する3人が、
観客じゃなく当事者になった瞬間に、
この「海辺の映画館」を観ている私も観客ではないんだ、
と突きつけられた気がしました。

■樋口尚文(映画評論家・映画監督) コメント
反戦と放蕩、近代史と極私的記憶、真摯なるメッセージと豊饒なる映画の詩。
あらゆるものがアナーキーな自由さのもとで結い合わされ、沸騰する奇想の大河。
これは大林監督一世一代のウソとマコトの饗宴!

■町山智浩(映画評論家) コメント
「今、これを言っておかなければ!」という切迫感と共に
時代への怒りと映画への愛が怒涛のごとく奔出する!

■松本紀子(ドワーフ プロデューサー) コメント
なんと挑戦的な作品!この作品を生み出す監督のエネルギーに圧倒されました。
映画への情熱はそのままで、でも新しい大林監督にここでまた出会うことになるなんて!
そして、しんしんと観客の上に降り積もるメッセージ。
それを丁寧に受け止めるのが、せめてもの私の使命だと思います。

<作品情報>
「海辺の映画館ーキネマの玉手箱」
2020年7月31日(金) TOHOシネマズシャンテほか全国公開

監督・脚本・編集:大林宣彦
出演:厚木拓郎 細山田隆人 細田善彦 吉田玲(新人) 成海璃子 山崎紘菜 常盤貴子

配給:アスミック・エース

<WEB>
公式サイト:https://umibenoeigakan.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/umibenoeigakan

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