山田裕貴×松本まりか「夜、鳥たちが啼く」WEB限定特別予告&磯村勇斗らが寄せたコメントが到着

映画
2022年11月30日
「夜、鳥たちが啼く」©2022 クロックワークス

山田裕貴主演、松本まりか共演の映画「夜、鳥たちが啼く」(12月9日(金)全国公開)より、WEB限定特別予告映像が解禁。また俳優・磯村勇斗ら各界著名人が寄せたコメントも到着した。

本作は、「そこのみにて光輝く」「オーバー・フェンス」の佐藤泰志による短編小説「夜、鳥たちが啼く」(所収「大きなハードルと小さなハードル」河出文庫刊)を映画化。脚本は同2作を手掛けた高田亮、監督は「アルプススタンドのはしの方」「愛なのに」「女子高生に殺されたい」「ビリーバーズ」など、話題作を生み出し続ける鬼才・城定秀夫。

内に秘めた破壊衝動と葛藤する売れない小説家の主人公・慎一を演じるのは、「東京リベンジャーズ」「燃えよ剣」「余命10年」など、多彩な役柄で観客を魅了し続ける山田裕貴。そして離婚を機に、息子と共に慎一の元に身を寄せるヒロイン・裕子を、内田英治監督、タナダユキ監督、紀里谷和明監督、松本優作監督など、気鋭の監督作品への出演が絶えない松本まりかが演じる。

その他、慎一のかつての恋人・文子役に中村ゆりか。裕子の元夫で慎一の職場の先輩・友人でもある邦博役には、カトウシンスケ。さらに、オーディションで選ばれた注目の子役・森優理斗や、藤田朋子、宇野祥平、吉田浩太、縄田カノン、加治将樹らが物語を彩る。

主人公・慎一(山田)は、若くして小説家デビューを果たしたものの、それ以降は鳴かず飛ばずで「世間では忘れられた存在」となった小説家。傷つきやすく繊細で、必死に創作活動にしがみつく日々だったが、うまく行かないいら立ちを他人にぶつけ、同棲していた恋人からも愛想をつかされてしまう。

一人残された慎一は、取りつかれたかのように夜な夜な執筆活動を続けることで自分を保とうとするも、鬱屈とした思いを抱えたまま満たされない孤独な時間が続くことで、抑えきれない衝動と葛藤を抱え込み、深い闇を感じさせるようになっていく。

そんな中、幼い息子のアキラ(森)を連れて離婚し、行き場を失っていた裕子(松本)が慎一の元へ引っ越してくることに。裕子とアキラに自宅を提供し、自身は離れのプレハブで暮らすという、いびつな「半同居」生活。お互いにとって心地よい距離を保ちながら、息子のアキラと共に穏やかな日々を重ね、暗闇にとらわれていた慎一の心境にも変化が訪れる。

このたび「半同居」生活の中、引かれ合っていく慎一と裕子を追ったWEB限定の特別予告が解禁に。「新しい彼女とか作んないの?」と問いかけた裕子に、「どうでもいい」とぶっきらぼうに答える慎一。しかし、投げやりな言葉とは裏腹に優しく彼女を包み込み、二人見つめ合う濃厚な時間が流れていく。あいまいな距離感を保つことを望みながら、埋めがたい孤独と傷を抱えた二人が自然にお互いを求め合うようになる姿が、美しく繊細な世界観と大人の色気があふれる映像として描き出される。

また、プレハブで笑い合いながら飲み明かす二人の姿や、濃厚な一夜が明け、他愛もない会話を交わすふとした瞬間、裕子の一人息子・アキラも交えて本物の家族ように海水浴を楽しむ様子など、慎一と裕子のさまざまな表情が切り取られていく。

そして「俺は、ちゃんとしてないから」「ずるいよね、もう男に振り回されたくないって思ってたのに」と、それぞれの意味深なせりふが綴られ、お互いに寄り添いながらも、どこか距離を感じさせる複雑な心情を抱えていることが読み取れる。傷ついてきた過去を抱え、他者との深い関わりを避けてきた慎一と裕子が一歩踏み出すことを決めたとき、二人はどんな答えを見出すのか。

本作で5度目の共演となった山田と松本。先日行われた完成披露舞台あいさつで、山田は「これまでの共演があったからこそできた空気感になったと思います。初めましての女優さんではできなかったと思うので、恵まれた作品になりました」と、松本への絶大な信頼を明かした。

松本も「相手役が山田さんと聞いたとき、これは面白くなるな! と思いました。こういう作品のこういう役を演じる山田さんは初めて。人間力がすさまじい方なので、この生命体から何が出てくるんだろうと、すごいワクワクしたんです」と語り、相手役が山田だったからこその無限の可能性を感じていたそう。お互いにとって運命的ともいえる特別な共演となった、本作への期待が高まる。

さらに俳優・磯村勇斗ら各界著名人からの絶賛コメントも到着。コメント全文は下記に掲載。

WEB特別予告

コメント一覧 *50音順/敬称略

あたそ(ライター)

人の心の隙間や空白を埋めるのは他者の存在でしかなく、欠点だらけの二人がどうしようもなく求めあう姿は不完全で、みっともない。だから美しいのかもしれない。佐藤泰志原作の映画に間違いはないと再確認できた。

新井英樹(漫画家)

振り返って動きを止めてる人間を見つめる「だるまさんがころんだ」ごっこ。動きを止めて抑えていたものを小さく動かす瞬間と動き出した時間に答えはなくても、生きる喜びは見つけられる。人生は小さく期待できる!

磯村勇斗(俳優)

慎一と裕子の静かに意識し合う距離感が絶妙に美しい。そんな二人の心を露わにしているかのように、鳥の鳴き声が心を揺さぶる。作家としての慎一のもがき、そして、彼の内側に潜む凶暴性。プレハブの窓からのぞく慎一の目から、現在の生きざまをうかがえる。その姿がとても印象的でした。

宇垣美里(フリーアナウンサー)

どうしたって傷つきたくないから、期待するのをやめたくせして、漂う寂しさを持て余す。不器用な二人が、ただ痛々しくてやるせない。でもそんな不条理な人間同士だからこそ、癒やせる傷があり、結べる関係がある。役者たちの体当たりの演技の先に、いびつに光る希望のようなものを見た。

カツセマサヒコ(小説家)

甘く怠惰な時間が一生続かないことくらい、誰だって分かっている。それでも今この瞬間、傷が少しでも癒えるのなら、僕もまた二人と同じような決断をしていたのかもしれない。

今日マチ子(漫画家)

母屋と離れ、隣り合う箱を行き来する二人。孤独な人間が寄り添う一瞬の暖かさは、開いては消える打ち上げ花火のようだ。

こだま(エッセイスト)

息が詰まる夜の終わりに、こんな光が射す瞬間があるのなら、ぶざまでも生きてみようと思える。多くを語らない、吐き出せない人たちの、はじめの一歩。

しんのすけ(映画感想TikTokクリエイター)

いい映画は俳優の可能性を観客に示してくれる。次の瞬間何をしてしまうか予想ができない心が不安定な主人公・慎一を、あらゆる無表情を使い分けて山田裕貴は演じ切った。人の生活空間がSNSで拡大した今、この映画は”幸福とは何か”を我々に問うてくるのだ。

遠野遥(作家)

この映画を見たことで、暴力について考える機会を得た。ここのところ暴力について考える機会がなかったという人にこそ、この映画を推薦したい。

内藤みか(作家)

夜、一人で泣いたことがある人に、お薦めしたい映画。シングルマザーは、夜にしか泣けない。子供が寝静まってからじゃないと、涙を流せない。そしていつも一人で泣いているから、誰にも気づいてもらえない。世界の隅っこで愛を求めて震えているこのヒロインに深く共感し、のめり込んで見た。

ものすごい愛(エッセイスト)

重なる後悔、大きな失望、不寛容な周囲、孤独な日々……さまざまな息苦しさから解放されたがっているはずなのに、彼らはどこまでも刹那的で不自由だった。でも、私たちが口を出していいいわれはない。だって彼らと私たちは無関係な他人なのだから。

山下紘加(小説家)

映画の中盤で、慎一は服の袖をめくり、クラゲに刺された腕を裕子に見せる。赤く腫れて痛みを伴う痕を、彼女は細い指先でなぞり、舌でなめる。舌の熱さが強張った心をほぐし、傷が癒えていくとともに、新たな関係性が紡がれる。互いが最も心地よいと思える距離を保ちながら共棲していくラストは、新しい生き方の形を提示してくれたようだった。

作品情報

「夜、鳥たちが啼く」
2022年12月9日(金)新宿ピカデリーほかにて全国公開

出演:山田裕貴、松本まりか
森優理斗、中村ゆりか、カトウシンスケ/藤田朋子/宇野祥平、吉田浩太、縄田カノン、加治将樹
監督:城定秀夫
脚本:高田亮
原作:佐藤泰志「夜、鳥たちが啼く」(所収「大きなハードルと小さなハードル」河出⽂庫刊)
製作・配給:クロックワークス

公式HP:yorutori-movie.com

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