小林聡美×大島優子インタビュー WOWOW×Hulu 共同製作ドラマ『コートダジュールNo.10』

特集・インタビュー
2017年11月19日

WOWOW×Hulu共同製作の『コートダジュールNo.10』は、1話完結、全9話の物語。小林聡美さんと大島優子さんが探偵、社交ダンスの先生と生徒、小学校の先生など、それぞれ9つの役に扮し、話数ごとに変わる豪華ゲストとのユーモアたっぷりのやり取りを披露しています。小林さん、大島さんに本作について聞きました。

仕事を一生懸命やっていれば、時々こういう面白い仕事に出会えるんだなって(小林)
今までいろいろくっ付けていたものを、ふるいにかけてもらったような作品でした(大島)

小林聡美×大島優子インタビュー

◆9つの登場人物を演じてみて、いかがでしたか?

小林:違う役柄になれるというのが俳優の魅力の1つだと思うんですけど、まさにそれを短期間で体験できたことは、大変だけれども楽しかったです。

大島:私、飽きっぽいところがあるのですが(笑)。だけど、この作品は全部お話が異なるし、9人の役を演じられたので、性格に合ってるなって思いました(笑)。すごく楽しかったです。

◆気に入ってる登場人物を教えてください。

小林:「ある物件」というお話で演じた、白い服を纏った謎の女性かな。家に居付いている何者っていう役だったんですけど、扮装がちょっと特殊で(笑)。どのくらい面白がっていいのかなってさじ加減が難しかったです。

大島:選べないですね。ゲストの方によっても、お芝居の空気感とか間も変わっていったから、現場ごとに「どうやってやろうかな」と自然と楽しみながら演じていました。「白鳥ダンスアカデミー」は自分にあまり自信のない子が、先生から「やってみなさいよ」と乗せられて大会に出る話なのですが、劇中で踊りながら、心が開く瞬間があるんです。そういう目に見える成長というか、前に進む感覚が、とても演じていて気持ちのいい役柄でした。

◆ご自身がなってみたい登場人物はいましたか?

大島:私は、「しののめ」というお話に出てくる、自分で小料理屋をやっている千穂ですね。せりふの掛け合いをしながら、料理を作ったり、盛り付けをしたりする芝居はなかなか難しいんですけど、本当にお店をやっている人のように自然な動作に見えるとスタッフさんに言ってもらえたことがうれしくて。そう思うと、自分と違う人間になれるんだなって楽しかったです。

小林:私は、全く私とは逆っていう意味で、「白鳥ダンスアカデミー」で優子ちゃん演じる山本にダンスを教えるお師匠さんかな。ダンスをする人たちって、自分の体つきとか、こういうふうに動いたらこう見えるとか、本当に研究し続けてるんですよね。私たちに振り付けをしてくださった先生も、しょっちゅう鏡を見てました(笑)。

大島:一日何回も鏡を見てましたよね(笑)。

小林:うん(笑)。自分のいいところも悪いところも受け止めて、自分を表現する強さが私には足りないので、すごいなって。私は、なるべく鏡とか見ないようにしてるんで(笑)。

大島:聡美さん、鏡一切見ないですよね!

小林:そう、途中で心折れないように(笑)。

大島:そういうことなんですね(笑)。

◆松たか子さん、光石研さん、宮藤官九郎さん、もたいまさこさんなど、全話に豪華なゲストが出られているのもこのドラマの特徴ですよね。印象に残った方はいらっしゃいますか?

小林:宮藤さん、ベンガルさん、柄本(時生)君は、初めて共演させていただいたので、そういう意味ではとても新鮮な気持ちでお芝居させてもらいました。

大島:私は、全員初めてなんですよ。私もですけど、ゲストの皆さんもすごくドキドキされていたんです。

小林:自分だったら緊張しますよ。

大島:そうですよね。なので、私としては小林さんと一緒にゲストの方に楽しんでいただくっていうことを前提にやらせていただきました。

◆以前にも共演歴のあるお二人ですが、当時のお互いの印象はいかがでしたか? 今回、再び共演して、その印象に変化はありましたか?

大島:以前、映画でご一緒させていただいた時から、フランクに同じ目線で会話をしてくださる方だなと思っていました。何ていい先輩なんだろうって。今回ご一緒して、もっと身を委ねちゃいました。聡美さんが右に行けば私も右に行くみたいな(笑)。おんぶに抱っこで、あとは「好きにしなよ。いいよ、庭で遊んでな」って私を放牧させてくれていたというか。そんな私をすごく温かく面白く調理してくださる、本当に心広い先輩です。

小林:初めて共演した時から、大島さんって誰に対しても緊張せずにしゃべれるタイプの人だなって。それこそ、どこかの国の王様でも普通にしゃべれそう。

大島:(笑)。

小林:すごくいい意味でガードが柔軟で、最初から話しやすかったですね。妙に気を遣われすぎても面倒くさいし、偉そうでもムカつくし(笑)、その距離感がすごく上手というか、そういうセンスがある方だなって。今回、ご一緒させてもらって、フランクでオープンな感じは変わらず、でもアイドルという大変な環境をくぐり抜けてきた芯の強さと頑張り屋さんなところが、健気だしすごく尊敬できる部分でもありました。一緒にお仕事していて気持ちを交換し合えるというか、すごく気持ちのいいお芝居をさせてもらえる女優さんでした。

◆コンセプトもそうですし、キャスティングもすごく挑戦的な作品ですよね。お二人にとっても挑戦の作品でしたか?

小林:毎回挑戦ですけどね。でも、今回は挑戦というよりは、いろんな人が来ては去っていくような現場だったので、受け止めて打ち返すという瞬発力が必要でした。とにかく、楽しみのほうが大きくて。

大島:私にとっても挑戦でした。気合を入れて挑むというよりは、今まで組み立ててきたものを毎回淘汰するというやり方を心がけていたように思えます。

◆この作品に出られて、演技の幅が広がりましたか?

小林:どうでしょう(笑)。でも、日々のことをちゃんとやったり、目の前の仕事を一生懸命やったりしていると、時々こういう面白い仕事に出会えるんだなって思いました。大きいドラマ…これが大きいドラマじゃないってわけじゃないんですけど(笑)、大掛かりで派手なドラマにはない、自分が作品に参加してるという手応え、実感があるドラマに時々出会えるなら、これからも地道にやっていきたいなって思える作品でした。

◆9つのストーリーが全く違う内容になっていますが、全体の共通のテーマは何だと思いますか?

小林:見終わった後に、ちょっと楽しくなったり、ちょっと温かい気持ちになったり、ほっこりするところは共通してるのかな。

大島:台本の一番最初のページに「明日をつくるのは、自分だ。」って書いてあるのですが、それがすべてに共通してるのかな。お話もキャラクターも全然違うんですけど、1話を通して登場人物の状況が少しずつ変わるんです。その変わる加減が、大胆ではなく、激情してるわけでもなく、日常的な変わり方というか、人は常に進化してるのと同じように、ちょっとずつ変わっていくことが、「明日をつくるのは、自分だ。」という一貫したテーマなのかなと感じます。

 

■PROFILE

●こばやし・さとみ…1965年5月24日生まれ。AB型。1979年、ドラマ『3年B組金八先生』でデビュー。「転校生」で主演を務め、その後、「かもめ食堂」「めがね」「山のトムさん」など映画やテレビに多く出演している。近著に「ていだん」がある。

●おおしま・ゆうこ…1988年10月17日生まれ。B型。2014年にAKB48を卒業。女優として多数の作品に出演。近年、ドラマ『東京タラレバ娘』、NHK連続テレビ小説『あさが来た』、映画「疾風ロンド」「真田十勇士」「ロマンス」など。

 

■番組情報

『コートダジュールNo.10』WOWOW×Hulu 共同製作ドラマ
『コートダジュールNo.10』
WOWOW 11月20日(月)より放送
毎週(月)深0・00(全5話)※第1話無料放送
Hulu 11月28日(土)より配信(全4話)

<STAFF&CAST>
監督:松本佳奈
脚本:尾﨑英子、松本佳奈、たかのましろ
出演:小林聡美、大島優子ほか

<Introduction>
小林聡美、大島優子、2人の女優が1話ごとに異なるキャラクターを演じる30分×9話のオリジナルストーリー。WOWOWでは全5話、Huluでは全4話を放送。各話にはゲスト俳優も出演。WOWOW版は「むかしのともだち」「しののめ」「恩返し」「センチメンタルジャーニー」「白鳥ダンスアカデミー」、Hulu版は「ある物件」「運動場」「スナック蟻ヶ崎」「ベンチにて」
 
●photo/関根和弘 text/飯倉聖蘭