玄理インタビュー「『きみセカ』Season2のゴーレムのクオリティーが本当に怖くて手汗が止まらなかった」

特集・インタビュー
2021年04月04日

日本テレビ×Hulu共同製作ドラマ『君と世界が終わる日に』で韓国人女性医師・ジアンを演じている玄理さん。現在HuluにてSeason2が配信中の『君と世界が終わる日に』の撮影裏話や、ベルリン国際映画祭で銀熊賞に輝いた「偶然と想像」、さらにメインナビゲーターを務めるラジオ「ACROSS THE SKY」についてもたっぷりと伺いました。

◆『君と世界が終わる日に』Season2の配信がスタートしました。Season1を振り返ってみていかがですか?

Season1では、私が演じたジアンは、滝藤(賢一)さん演じる首藤と研究所にいて、自衛隊や施設に守られていたので、ゴーレムに追いかけられたり、戦うシーンが全くと言っていいほどなかったんですよ。なので「ゾンビサバイバルドラマを撮っているぞ!」というよりは、私的には人間関係にフォーカスが当たるシーンが多かったと思います。

◆ということは、Season2では?

Season2ではあります! Season1では守られていて銃も持っていたので、あの世界にヒエラルキーがあったら私はかなり安全なほうにいたんですが、今度は組織も施設も銃もなくなって丸腰の一人の女性としてゴーレムと対峙することになるので、かなりSeason1とは違った姿をお見せできると思います。

◆本格ゾンビ作品に出演してみていかがでしたか?

前からゾンビ作品が好きでいろんな作品を見ていたので、この作品に参加できることがうれしかったです。ゾンビ作品って、ゾンビのクオリティーも大事ですけど、受け手側のリアクションも重要じゃないですか。だから、Season2でゴーレムと対峙することになったらしっかり怖がる演技を、と思っていたんですけど、Season2のゴーレムのクオリティーがすごく上がっていて、本当に怖くて手汗が止まらなかったです。

◆そんなドラマの内容とは違った雰囲気のオフショットが話題になっていますね。

そうなんですよ、キャストの仲がすごく良くて。最初は、あまり裏側を見せるとドラマの世界観を壊してしまうんじゃないかって不安もあったんですけど「Instagramを見ると安心します」という声をたくさん頂いて、じゃあどんどん載せていこうってみんな積極的に空き時間に写真を撮ってます。ドラマの内容は殺伐としているんですけど、現場の雰囲気はすごくいいです。

◆では、Season2の見どころを教えてください。

響(竹内涼真)と来美(中条あやみ)だけじゃない恋愛模様が発展したり、結構皆さんの予想を裏切る形になるかなと思います。プロデューサーさんたちが「やりたいことがありすぎて欲求不満だ」って言っていたんですけど、地上波放送だといろんな方が見られる分、表現に規制もあるんですよね。だから、Season1を見て「日本のゾンビ作品ってこれぐらいなんだ」って思った方がいたら、Season2は血糊の量も違うし、地上波では実現できなかったことが上乗せされているので、ゾンビ作品が好きな方にも満足してもらえると思います。

◆先日、出演された映画「偶然と想像」がベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞されました。おめでとうございます!

ありがとうございます! 実は「スパイの妻」でもヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を頂いていたんですが、その脚本にも「偶然と想像」の濱口竜介監督がいて。銀獅子賞をみんなで喜んでいたら、それから時間を空けずに「偶然と想像」で銀熊賞を頂けたので、濱口監督ってあらためてすごい方なんだなって思いました。

◆濱口監督の現場はどんな雰囲気なんですか?

どの現場とも似てないんですよね。普通せりふはおのおのが家で覚えてくるものなんですけど、濱口さんの現場は、キャストみんなで集まって、一から一緒にせりふを覚えるんです。登場人物たちが普段どんな話をするのかとか、映画にはない場面も濱口監督がちょっとした台本を書いて来てくださって、その幻のシーンも映画にしないともったいないっていうぐらい面白いんです。

◆その幻のシーンは、メイキングにも入らないんですかね?

めちゃくちゃ面白いので本当にもったいないんですよ! 濱口監督と初めて「天国はまだ遠い」という短編でご一緒した時は、俳優同士が質問をし合うインタビューゲームをリハーサルでやって、それを濱口監督が横で見ているんです。大まかな物語や設定の枠組みはあるけど、そのインタビューゲームのやりとりを見て、演者の細かいせりふを作っていたみたいで。

◆「偶然と想像」は3話からならオムニバス映画ですが、玄理さんが出演する第1話「魔法(よりもっと不確か)」はどんなストーリーですか?

古川琴音さんがモデルの芽衣子で、私はその親友でヘアメイクのつぐみを演じているんですが、つぐみが帰りの車で運命的な恋をしたって話をするんです。その恋の相手が中島歩さん演じる和明で、そこから思いもよらない三角関係に発展していくというストーリーです。設定だけで言えば、斬新というわけではないけど、見ている途中で「えっ?」ってなる瞬間があるんです。せりふもすごくエッジが効いていて、琴音さんの役もやりたかったですね。それぐらいいい役なんです。琴音さんは見終わった後に「私、サイコパスみたいじゃないですか」って言ってましたけど(笑)。ただのコイバナでもないし、今の話をヒントに正解を出してみてくださいと言っても無理だろうなというぐらい3作品全てトリッキーです。まだ濱口監督の作品を見ていないという方にもこれをきっかけに知ってもらえたらなって。短編集というのも今の時代に合っていると思います。いろんな新しさに触れられると思うので映画館に足を運んでもらえたらうれしいです。

◆ちなみに、玄理さんにとって思い出深い映画はなんですか?

私にとっては、ウォン・カーウァイ監督の「花様年華」ですね。行ったことがない国、生まれてもいない時代の話なのに、なぜか少し懐かしい感じがして、スクリーンで再上映されている時は毎回見に行ってます。音楽も色彩も衣装も好きです。高校生の時に見たのですが映画ってカッコいいなって思った原体験みたいな感じかも。

◆ナビゲーターを務めているラジオ「ACROSS THE SKY」のお話もお願いします。日曜日の朝にぴったりの音楽がいいですね!

音楽は私ではなくてディレクターさんが選んでいます(笑)。でも、みんなに選曲がいいって褒めてもらいます。番組では私が選曲するパートもあって、BTSや最近聴いたおすすめの曲を紹介しています。

◆番組では毎週さまざまなテーマを扱っていますよね。

『悪魔の弁護人・御子柴礼司』というドラマでジャーナリストの役を演じる時に、J-WAVEで面識のあった堀潤さんにお話を聞いて感銘を受けて、もっといろんなことを知りたいって思ったんです。それに、ちょうど世の中の多様性が語られ始めた時だったので、毎日のように「これ知りたい、この人に話を聞きたい」とスタッフの方たちとやりとりをしてすごく勉強しました。ラジオを通して、知らず知らずのうちに刷り込まれていたジェンダー観に気づかされたり、自分の中に先入観がないか、人を傷つけてないか、正しい言葉でコミュニケーションが取れているか考えるようになって、すごくいい影響をもらっています。番組は気づけば3年半なんです。正直、こんなに長く続くとは思ってなかったです(笑)。でもここまで続けてこられたのは、スタッフの方たちや声を届けてくれるリスナーさんがいるおかげです。皆さん、聞きながら片手間じゃ書けないだろうなというメッセージを送ってくださるので、みんなで一緒に番組を作っているっていう感覚が大きいです。コロナ禍でみんなの仕事がストップする中でも、私は週に1回このラジオがあることで、すごく前向きになれました。皆さんに励まされる、元気をもらう場所になっています。ぜひ日曜日の朝、ラジオを聞く習慣がなかった方にも、とくかく選曲もいいので一度聞いてみてもらえたらなと思います。

PROFILE

●ひょんり…19861218日生まれ。東京都出身。2014年に主演映画「水の声を聞く」で第29回高崎映画祭最優秀新進女優賞受賞。ソウル国際ドラマアワード2017でアジアスター賞を受賞。主な出演作に映画「天国はまだ遠い」「スパイの妻」「脳天パラダイス」、ドラマ『ミストレス~女たちの秘密~』など。現在、J-WAVEACROSS THE SKY」でメインナビゲーターを務めている。

作品紹介

『君と世界が終わる日に』Season2(全6話)
Huluにて毎週(日)前0・00 新エピソード配信

映画「偶然と想像」
公開日未定

J-WAVEACROSS THE SKY
毎週(日) 前900~正午

photo/金井尭子 text/渋谷なつき hairmake/堀川知佳 styling/池田未来

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