佐藤千亜妃インタビュー「恋の始まりを表現しました」『レンアイ漫画家』主題歌「カタワレ」を書き下ろし

特集・インタビュー
2021年04月05日

佐藤千亜妃インタビュー

現在活動休止中の4人組バンド「きのこ帝国」のVo/Gtで、現在はソロ活動に専念している佐藤千亜妃さんが、4月8日(木)スタートのドラマ『レンアイ漫画家』(フジテレビ系)の主題歌を担当。「自分の経験とこの物語のメッセージがリンクした」と語る佐藤さんに主題歌「カタワレ」に込めた思いや、2014年にきのこ帝国がリリースした「クロノスタシス」の再ブームについてなどを聞きました。

◆新曲「カタワレ」はドラマ『レンアイ漫画家』のために書き下ろされたとのこと。同作は、恋愛下手な恋愛漫画家とアラサー女子の不器用な2人が織り成すハートフルラブコメディですが、楽曲はどんなイメージで制作されたんですか?

もともと原作は読んでいたのですが、台本を読ませていただき、ドラマのストーリーをイメージしながら作りました。オファーを頂いた時は、ラブコメドラマの主題歌ということで、恋をしている女の子がキュンとする要素や恋愛の甘酸っぱさを表現することが求められているのかなと思っていたんです。でも、プロデューサーさんとの打ち合わせの時に「人生の伴侶との出会い」「かけがえのない人に出会い、一緒に生きていくこと」をテーマに歌詞を書いてほしいと言われて。すごく感情を込めやすい、グッとくる作品になりそうだなと思いました。ポップでキャッチーなメロディに仕上がったので、その分歌詞では人生の重みや人との出会いの大切さ、そしてそれらを理解して生きていく主人公の姿をしっかりと描くことを意識して作りました。

◆イントロからすぐに歌が始まるところもまさにキャッチーですよね。

ドラマの挿入歌としても流したいとのことだったので、歌で引っ張っていけるようにインパクトを出したくて、歌始まりで作りました。その分、出だしの言葉は特に大切になるなと思ったので、聴いていて続きが気になるような歌詞にしようと考えたんです。例えば、恋をしたり、大切な人に出会ったりした時って「この人は自分にとってどんな存在なんだろう?」と考えることもあると思うんですが、その時の胸の内を出だしの問いかけるような歌詞に入れ込んで、恋の始まりとして表現しました。

佐藤千亜妃インタビュー

◆この歌詞には佐藤さんご自身の経験も盛り込まれているのでしょうか?

はい。原作を読んで抱いたイメージも自分の経験も、どちらも同じくらいの熱量でミックスされています。自分1人で生きていけると強がって生きていても、やっぱり誰かとの出会いに救われたり、言葉で励まされるだけでなく、ただそばにいるだけでも癒やされたり救われたりするような関係があると思うんです。それは恋人同士の関係に限らず、家族や友人関係にも言えることだと思うんですが、そういうかけがえのない出会いは日常の中にあるので、どうしても見落としがちなんですよね。そこに気づくことが大事なんだという思いは、自分の経験からもそうですし、この作品が伝えていることでもあるので、そこがリンクしたおかげで歌詞は自然と出てきました。

◆3月3日には「声」をリリースされたばかりです。昨年は楽曲制作で多忙な年だったのではないでしょうか。

去年1年間はアルバム制作に打ち込んでいて十数曲レコーディングしたんですが、コロナ禍でライブができない状況が続いていたので、その分時間をかけてアレンジを練って1曲1曲すごく丁寧に作らせてもらうことができました。ミュージシャンにとってライブができないというのは苦しいことなんですが、そうなると自然と曲を作ってレコーディングをして…という流れになるんですよね。楽曲制作に救われる部分は大きかったです。

◆先ほど今年中にアルバムが出せたら…という話も聞こえましたが…。

はい、今年中に出るはずです! すごく良いアルバムになりそうなので、私自身もすごく楽しみにしています。

佐藤千亜妃インタビュー

◆また、映画「花束みたいな恋をした」の公開をきっかけに、きのこ帝国が2014年にリリースした「クロノスタシス」が再び注目を集めました。劇中で主人公の2人が「クロノスタシス」を歌うことはご存知でしたか?

事前にご連絡をいただいていたので知っていました。試写会も行かせていただいたんですけど、6年前にリリースした曲が映画館で流れているのはなんだか面白い感覚でした。どうやらここ数年、若者の間で“クロノスタシスごっこ”なるものがはやっていたらしく、それについても驚きました。

◆“クロノスタシスごっこ”とは?

缶ビールをコンビニで買って乾杯しながら歩いて、「クロノスタシスって知ってる?」「知らない」と言う会話をするまでの一連の流れのことで、それを面白がってやっている大学生くらいの子たちが結構いるそうなんです。

◆ご自身の作った楽曲が、若者の間でちょっとした現象になっているというのはどんな感覚ですか?

ちょっと照れますが面白いです。「クロノスタシス」はちょうど私が大学生のころに作った楽曲なんですが、お酒が飲めるようになって、夜遅くまで遊んだりデートしたりできる20代前半の若者にとってのテーマソングになっているのかもしれません。

佐藤千亜妃インタビュー

◆このように昔の曲が時を越えて再び流行の的になる1つの要因として、サブスクの出現やネットの発達で、聴きたい音楽がすぐに手に届く環境が整ったことが挙げられると思います。今回「カタワレ」もデジタルリリースということですが、音楽の発信の仕方や聴き手の環境の変化について佐藤さんはどのように捉えていますか?

今はタイムレスに、そしてエイジレスに音楽が聴けるので、若い子たちのほうが音楽のライブラリーが大きいなというのはすごく感じていて。いろんなジャンルの音楽を縦横無尽に聴いているおかげで、各ジャンルへの凝り固まった偏見がないのはとても新鮮です。昔は洋楽派、邦楽派で分かれることも多かったと思うんですが、彼らはそこもシームレスに聴いてしまう世代なので、音楽作りの現場においてとても強いなと思います。音楽を作る側から見ると、才能ある若い世代のミュージシャンたちが持つ良い耳やセンスはサブスクから育まれているんだなと感じます。

◆作り手として、実際に制作現場ではどんな変化がありましたか?

ミックスチェックをする時は、サブスクに対応していくというところまで考えて、そこでの鳴りを意識するようになりました。音楽を聴く機器も、イヤホン、スピーカー、Bluetoothスピーカーなど多岐に渡るので、どこに標準を合わせるか、または逆にフラットにするのかなど、私だけでなくミュージシャンの皆さん全員が悩むポイントだと思うのですが、そこに難しさを感じることはあります。

◆佐藤さんご自身もサブスクは活用されていますか?

かなり活用しています。気になった曲を手軽に聴けるのは良いですよね。最近だと、King Gnuさんの「泡」はリリースされてからすぐ聴きましたし、コード解析をして楽しんでいました。

◆では最後にあらためて「カタワレ」を楽しみにしているファンの方へメッセージをお願いします。

元気が湧いてくるような曲になったと思うので、背中を押してもらいたい時や落ち込んでいる時に聴いて、口ずさんでもらえたらうれしいです。ぜひたくさん聴いてください!

PROFILE

●さとう・ちあき…1988年9月20日生まれ。岩手県出身。B型。4人組バンド「きのこ帝国」(現在活動休止中)のVo/Gt/作詞作曲を担当。現在はソロ活動に専念する傍ら、ほかアーティストへの楽曲提供やプロデュースを手掛けるなど、多岐にわたって活動中。

リリース情報

佐藤千亜妃Digital Single「カタワレ」

Digital Single「カタワレ」
(フジテレビ系 木曜劇場『レンアイ漫画家』主題歌)
2021年4月8日(木)配信スタート

●photo/倉持涼 text/山村千晴 hari&make/SAKURA(まきうらオフィス) styling/入江陽子(TRON) 衣装協力/ネーム、ネペンテス

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