東出昌大&柄本時生「この作品は荒川や多摩川、淀川といった都市部に流れている大型河川のような印象がある」

特集・インタビュー
2021年04月09日

ボクシングに情熱を燃やす挑戦者の熱い生きざまを描いた「BLUE/ブルー」。劇中、生まれ持ったセンスと才能が武器の小川を演じた東出昌大さんと、不純な動機でボクシングを始める楢崎を演じた柄本時生さん。ボクサーを演じたのではなく、ボクサーになったという思い出も振り返ります。

◆ボクシングの練習から撮影に至るまで一番キツかったことは?

柄本:僕は出演が決まって始めたロープ(縄跳び)です。最初は1分間連続で跳べるか跳べないかというところから始まって、どんどん時間が延びていった感じです。あと構えながらのステップもキツかったです。それこそ日々の積み重ねみたいな感じで、そのしんどさを超えてしまうと、「どんな練習でもOK!」みたいな気持ちになるんです。今では東出さんと同じジムの会員ですね。

東出:もうボクサー生活になるんで、食生活からガラッと変わりました。僕は劇中で2回試合シーンがあったんです。その相手が前・日本チャンピオンの方と現・日本チャンピオンの方だったんです。それだけで「おいおい!」って感じだったんですが(笑)、腹圧を鍛えるためのトレーニングを頑張りすぎて、あばら骨を折ってしまったんです。そのまま後楽園ホールでの試合シーンになったので、痛み止めを飲んでリングに上がりました。でも終わってみれば、いい思い出です。

◆30年以上、ボクシングを続けている?田恵輔監督、直々の殺陣指導はいかがでしたか?

柄本:ずっとボクシングをやってきた人だからこそ言える、とても具体的すぎる指導でした。「こう来たら普通こうパンチ出るでしょ?」みたいな感じで、もう映画監督じゃないみたいでしたが、それを体現できるようになるために頑張るのも楽しかったです。気づけば、待ち時間は松山(ケンイチ)さんも入った3人でシャドー(ボクシング)しながら、日常会話していましたから(笑)。

東出:役者としてボクサー役を演じていたんじゃなくて、その期間は本当にボクサーをやっていたと思うんです。後楽園ホールのリングに上がるのも、お芝居じゃなくて試合に出る覚悟みたいなものがありました。その決戦日に向けて、いろいろと調整していった感じです。

◆完成した作品を見ての率直な感想は?

柄本:ボクシング映画なので、ボクシングの世界はしっかり描かれているんですが、そこから見えてくる人間模様など、奥行きの深さというか何か大きなものを見せられたような気がしました。

東出:人間の一生を大河に例えたりしますが、この作品は荒川や多摩川、淀川といった都市部に流れている大型河川のような印象を持ちました。のどかさと透き通ったきれいさと、濁りや残酷さ。それらが、たゆたうように流れているような感じでした。

◆個人的にお好きなシーンを教えてください。

柄本:松山さんと東出さんがいる部屋に、おばちゃんが「ドタドタしてんじゃないわよ!」と殴り込んでくるシーンが好きですね。普通に笑えるだけでなく、お2人の大きさや監督の大きさも分かるんです。東出さんは一瞬笑っちゃってるし、それを監督が善しとして本編に使っているし、なんかすごくいいシーンでした。

東出:?田監督の演出があまりなかったのは「その人物に成り切ってろ」という意味だと思ったんです。だから、僕が小川に成り切っていて、「ドタドタ」言ってくるおばちゃんがいたら、やっぱりあんな感じになると思うんですよね(笑)。僕は時生君とおばあちゃんのシーンに泣かされました。台本で読んだ時以上のものが、胸に込み上げて、涙を流すほどでした。

◆リアルで迫力ある試合シーンは見どころですが、女性にはどのような目線で楽しんでほしいと思いますか?

柄本:木村(文乃)さん演じる千佳をめぐる松山さんと東出さんとの三角関係は、やはり見どころだと思います。僕はそことは違うところで、笑えるパートを担当させてもらったので、そこも心の中でツッコミながら楽しんでもらいたいと思いますね。

東出:男たちの話ですが、千佳がわき出でる泉のような存在で見守ってくれている感じは共感できると思います。木村さんがネックレス外すしぐさとかとてもリアルですし。僕、誰かに映画を勧める時、小津安二郎監督なら「上品さ」とか、成瀬巳喜男監督なら「凛とした美しさ」とか言うんですが、?田監督の映画は「すごいよ!」としか言えないんです。今回の「BLUE/ブルー」もそんなすごい映画になりました。

◆過酷なボクシング映画に出演したことで、自身において何か変わったことは?

柄本:これほどまでに1つのことを突き詰めて締め上げることは初めてだったので、多少のことでは動じなくなりました。それと同時に、これ以上続けるとハマりすぎて、戻って来れないことも学びました。

東出:そうなんですよね。8か月間、これだけボクシングに打ち込むことは1つの楽しみでしたが、一種の狂気性を帯びているとも言えるんです。なので、「自分はどこまで、役作りをやっちゃうんだろう?」という恐怖感もありつつ、機会があればまた自分を追い込んでいく役をやってみたいです。

PROFILE

東出昌大
●ひがしで・まさひろ…1988年2月1日生まれ。埼玉県出身。A型。主な出演作にドラマ『ケイジとケンジ~所轄と地検の24時~』『コンフィデンスマンJP』シリーズ、映画「寝ても覚めても」「スパイの妻<劇場版>」など。今後は出演映画「峠 最後のサムライ」が2021618日(金)公開予定。

柄本時生
●えもと・ときお…19891017日生まれ。東京都出身。O型。主な出演作にドラマ『アリバイ崩し承ります』『わたし、定時で帰ります。』、映画「海辺の映画館―キネマの玉手箱」「宮本から君へ」など。今後は出演映画「パイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら」が2021年4月9日(金)より全国公開。

作品紹介

映画「BLUE/ブルー」
2021年4月9日(金)より新宿バルト9ほか全国公開

STAFFCAST
監督・脚本:?田恵輔
主題歌:竹原ピストル
出演:松山ケンイチ、木村文乃、柄本時生/東出昌大 ほか

STORY
努力を重ねても試合に勝てないボクサーの瓜田(松山)。彼の誘いでボクシングを始めた後輩・小川(東出)はセンスと才能に恵まれ、日本チャンピオンに王手をかける。そんな二人を見つめる瓜田の初恋相手で、今は小川の婚約者の千佳(木村)。やがて、瓜田と小川が所属するジムに楢崎(柄本)が入会し、さまざまな人間模様が繰り広げられる。

©2021「BLUE/ブルー」製作委員会

photo/関根和弘 text/くれい響 hairmake/Taro Yoshida(W)(東出)、住本由佳(マービィ)(柄本) styling/及川奏亮(東出)、矢野恵美子(柄本)

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