『向こうの果て』松本まりかインタビュー「現場ではゼロでいること、無でいることを意識しました」

特集・インタビュー
2021年05月16日

◆愛する男性に暴力を振るうのは理解できなかった?

こんなに愛して、支えている人に何で暴力を振るうのか台本を読んでも分かりませんでした。だから「おらーっ!」って形でしか表現できない。松下さんとも初共演だったので、どんな方かも全然知りませんでした。でも彼と対峙した時にものすごい衝動に襲われたんです。女性が男性に暴力を振るうって考えられないですよね。でもそれも凝り固まった常識なんです。女性がそんなことをしてはいけない。そんな女性は嫌だ。だけど、この醜い姿の自分を最愛の彼がものすごく愛してくれるんです。愛情深い目で見てくれる。ゼロの状態で現場にいると、その目線に拒絶反応が起こるんです。「見ないで、その目をやめて」って。それで手が出てしまう。それは松下さんと対峙して初めて分かったことでした。多分、相手役が松下さんじゃなかったら、頑張って殴ることになっていたかもしれないです。律子に何をされようが、彼はすごく穏やかで純粋で、包み込むような目でそこにいてくれました。現場ではほとんどお話ししていませんが、常に隣にいてくれて。それが安心できる半面、こんな私のところにいないでって気持ちを引き出してくれた。ほかの役者さんも同じで、そうやって現場でもらえるものがたくさんありました。今回は相手役の皆さんに恵まれたなって思います。

PROFILE

松本まりか
●まつもと・まりか…1984912日生まれ。東京都出身。B型。主な出演作にドラマ『ホリデイラブ』『竜の道 二つの顔を持つ復讐者』『妖怪シェアハウス』『先生を消す方程式。』など。現在は『最高のオバハン 中島ハルコ』(フジテレビ系)に出演中。

番組紹介

WOWOWオリジナルドラマ向こうの果て』
2021514日(金)放送・配信スタート

WOWOWプライム、WOWOWオンデマンド 毎週(金)後1100 放送・配信(全8話)(第1話無料放送)
TELASAでは各話終了後配信スタート

STAFFCAST
原案:ゴツプロ!第六回公演『向こうの果て』
監督:内田英治 脚本:竹田新
出演:松本まりか、松下洸平、柿澤勇人、加治将樹、渋川清彦、豊本明長、宇野祥平

STORY
昭和60年、東京のマンションの一室で放火殺人が発生。逮捕された池松律子(松本)と被害者の君塚公平(松下)は幼なじみであった。担当検事の津田口(柿澤)は、事件の真相を追って、過去に律子と関わってきた人物と接触する。その証言で彼女の数奇な人生が明らかになるが、彼女を取り巻く男たちによる律子の印象は全て違っていた。事件を追うほどに津田口は律子という人物に傾倒していく。やがて津田口は、律子と公平が子供時代を過ごした昭和30年代の青森・津軽に殺人事件の真相を解く糸口を見つける。

photo/金井尭子 text/佐久間裕子 hairmake/千吉良恵子(cheek one) styling/コギソマナ(io) 衣装協力/under the rose、ダイアナ

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