黒崎レイナ「今は不安よりも楽しさでいっぱい! 早くこのすてきな舞台を皆さんにお届けしたいです」

特集・インタビュー
2021年05月29日

加藤シゲアキさんが原作・脚本を手掛ける舞台「染、色」が間もなく開幕。美大生たちの葛藤が描かれる今作で、恋人である主人公に寄り添う杏奈役を演じているのが黒崎レイナさんだ。自身にとって初舞台となる今回、稽古場や演出を受ける中で感じた、演じることへの思いをたっぷりと伺いました。

◆間もなく「染、色」が初日を迎えます! 今の心境は?

ワクワクでいっぱいです! 私にとって今回が初舞台になるのですが、もともと舞台を見るのが大好きで、マネージャーさんにも「いつか挑戦してみたいです」と相談していたんです。それがようやく実現するので、本当に楽しみで。しかもこの作品は本来、一年前に上演される予定だったんです。でもコロナ禍で一度中止となり、そこからの復活公演になるので、その意味でも喜びが大きくて。稽古も楽しいですし、今はとにかく早く皆さんにこのすてきな作品をお届けしたいという気持ちでいっぱいです!

◆黒崎さんは舞台のどこに興味を持たれたんですか?

やはり熱量ですね。好きになるきっかけとなったのは、劇団☆新感線の「髑髏城の七人 Season月《上弦の月》」という作品でした。殺陣の迫力やカーテンコールでのキャストさんたちの達成感に満ちた表情を見て、ここまでのエネルギーを注ぎ込まないといけない舞台ってすごい!と魅了されて。その後もたくさんの舞台を拝見しました。中でも菅田将暉さん主演の「カリギュラ」ではステージに近い席だったこともあって、残酷な人間を表現する菅田さんの表現に圧倒されて。そうやっていろんな舞台を見ているうちに、舞台独特の間合いであったり、発声の仕方、お客さんの目の前で演じる緊張感など、映像とはまた違う形のお芝居を自分も身につけられたらなと思ったんです。

◆実際に稽古をしてみて、どんなところに違いを感じましたか?

稽古初日に皆さんと本読みをしたのですが、まず演出の瀬戸山(美咲)さんから「声が細い」と言われました。また、今回演じる杏奈という女の子は主人公の深馬のことが大好きなんですが、好きすぎる故に悩んでいるところもあって。そうした感情の揺れ動きが少し分かりづらいとも、最初のころはよく指摘を受けました。舞台は映像のように顔のアップなどがあるわけではなく、役者の立ち姿や声のトーンから、お客さんがそれぞれの視点で役の感情を自由に解釈していくと思うんです。特に杏奈は、恋人の深馬と一緒にいる時や、彼の友人といる時、それに別の人といる時で話し方や声色も変わっていくところがある。それもあって、せりふの言い方や声の出し方は私の中で大きな課題でした。

◆今回の「染、色」は加藤シゲアキさんの短編小説(「傘をもたない蟻たちは」内の「染色」)が原作です。小説はお読みになりましたか?

はい、稽古が始まる前に。その時に感じた杏奈像は、“少し痛々しい女性だな…”という印象でした。また、主人公にとって杏奈は“現実の恋人”で、彼が浮気をする女性は“理想の恋人”なのかなという感じもしました。それに、杏奈は彼から邪険に扱われているようにも見えて。そこがちょっとかわいそうでしたね。

◆確かに原作では杏奈と主人公の心がどこか通じ合っていない気がしました。でも小説のラストで彼は杏奈の元に戻ってきますよね。

そうなんです。ただ、あの戻り方も主人公にとって甘えられる存在が杏奈だけだったからなんじゃないかと思ってしまいます。これはもしかすると、私が杏奈に感情移入しすぎて読んじゃったからかもしれませんけど(笑)。それに杏奈は頑張って彼に寄り添おうとしているのに、彼にとっては絵描きとして悩んでいる現実を思い出させる存在なのかなとも思い、読んでいてすごく胸が苦しくなりました。とは言え、今回は加藤さんが自ら新たに脚本を書かれているんです。物語の内容も原作とは少し異なるので、果たして2人の関係がどうなっていくのか楽しみにしていてください。

◆ちょっとだけどんな内容になっているのか教えていただくことはできますか?

お話できることと言えば…原作では主要キャラクターが3人でしたけど、今回は6人の群像劇になっています。正門良規さん演じる主人公の深馬が美大生なのは同じで、杏奈は就活生という設定。また、そこに岡田義徳さん演じる美大の先生も加わっていきます。学生たちが自分の進路に悩み、葛藤したり、それでも前向きに進んでいこうとするシーンがいくつもあるので、きっと多くの方に共感していただけると思います。

◆なるほど。そうした中で杏奈は恋に悩む女性だけに、より感情移入してもらいやすい役柄かもしれませんね。

そうかもしれません。彼女は美大生ではないのですが、だからこそ多くの方にとって身近に感じてもらえる存在ですし、就活でもがくところにもすごく共感してもらえると思います。それに、やはり何と言っても恋に悩む姿が本当にもどかしくて(笑)。恋人が自分の才能への壁にぶつかっている様子を見て献身的に支えてあげたいと思う一方で、かといって近寄りすぎると逆に心が離れていってしまうということも分かっていて…。そのいじらしさが、かわいそうで、いとおしい。できれば舞台をご覧になるお客様からは、たくさん愛される人物になればいいなと思っています(笑)。

◆では、共演者の皆さんの印象は?

正門さんはとても柔らかい雰囲気をお持ちの方です。いつもニコニコしていて、すごく優しくて、場を盛り上げてくれる、まさに座長という存在。また、恋のライバルでもある真未役の三浦透子さんもとても気さくな方で。これまでに出演されていた作品を拝見した印象だと、少しクールな方なのかなと勝手に思っていたんです。でも、実際にお会いしてみたら印象ががらりと変わりました。とてもはつらつとされた方で、お話もすごく面白く、常に笑っていらっしゃって。すてきなお姉さんという感じですね。また、他の皆さんも舞台に慣れていらっしゃる方ばかりなので、悩んでいる私にいつもアドバイスをくださるんです。それに皆さんも、稽古を重ねていくたびにどんどんと役への気持ちの入り方に深みが増していって。その姿を見て、“私ももっと頑張らないと!”という思いにさせられます。

◆ちなみに、今は本番直前でなかなかオフもないと思いますが、こうして舞台や映像など活動の場が広がっていく中で、普段から勉強としてインプットしていることはありますか?

今回の杏奈役は今までの女優としてのお仕事の中で一番壁にぶつかっているんです。特に恋心に関して未知なところが多いので、恋愛映画やドラマをよく見るようになりました。恋愛って、片思いも含め誰もが経験することですし、共感できるポイントも多いので、だからこそいろんな愛の形を知りたいと思ったし、それらを自分に落とし込めたらいいなと思ったんです。印象に残った作品は…洋画だと「トワイライト」。また、恋愛とは少し違うかもしれませんが、貫地谷しほりさんと竹中直人さんが出演されていた「くちづけ」も大好きで。父と娘の関係性など恋人同士だけではない愛情の形を、映画を通じて感じることができました。

◆恋愛ドラマで言えば、黒崎さん自身も昨年『ハイポジ 1986年、二度目の青春。』に出演されていましたね。

はい。『ハイポジ』はもともと原作を知っていて、家族の影響で昭和の歌謡曲も大好きだったので、役が決まった時はすごくうれしかったです。しかもあのドラマは、各話のタイトルが「恋の予感」など昔のラブソングの曲名なんですよね。ドラマの中で流れる挿入歌も大好きな曲が多くて。台本にはどんな歌が使われるのかまでは書いていなかったので、最終回の放送を見ながら中森明菜さんの「セカンド・ラブ」が流れてきた時は、“えっ、ここで!?” “最高すぎる!と興奮してました(笑)。80年代の歌謡曲は歌詞に描かれている情景がパッと目に浮かびますし、恋愛事情も現代とは違っていて、聴いていて本当に楽しいです!

◆では最後に、今回の舞台で楽しみにされていることを教えてください!

初舞台なのでやっぱり緊張しているところもありますが、それ以上に今は、稽古で皆さんと積み重ねてきたものを早くお客様に届けたいという気持ちでいっぱいです。また、いろんな方が「舞台の初日や千秋楽のカーテンコールには他では味わえない感動がある」とおっしゃるので、私も早く経験してみたいですね。それと今回の私の役は美大生ではないものの、私自身はイラストを描くのが大好きで。そうしたちょっとした縁も感じますし、初めての舞台がこの作品でよかったと心から思っているので、悔いのないように存分に楽しみたいです!

PROFILE

黒崎レイナ
●くろさき・れいな…19981111日生まれ。愛知県出身。B型。主な出演作に『仮面ライダーエグゼイド』『初めて恋をした日に読む話』『ハイポジ 1986年、二度目の青春。』など。今後の出演作に映画「彼女が好きなものは」(2021年秋公開予定)がある。

作品紹介

「染、色」
脚本:加藤シゲアキ 演出:瀬戸山美咲
出演:正門良規(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)、三浦透子、松島庄汰、小日向星一、黒崎レイナ、岡田義徳

【東京公演】
2021529日(土)~620日(日)会場:東京グローブ座
【大阪公演】
2021624日(木)~630日(水)会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

photo/関根和弘 text/倉田モトキ

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