小川紗良、初長編監督作「海辺の金魚」公開「自分の初めての長編作品として胸を張れるものに」

特集・インタビュー
2021年06月25日

◆子供たちを多く起用した現場だったと思いますが、そんな中での撮影エピソードを教えてください。

晴海役の花田琉愛ちゃんを含めて、子供たちは子役ではなく、普通に阿久根市で暮らしている子をオーディションで選びました。私自身これまで日常生活で子供と関わることがほとんどなかったので、最初はどうしたらいいか分からないことがいっぱいありました。その後、一緒に遊んだり、会話を重ねたりしたことで、ちょっとずつ子供たちとの距離が分かっていきました。琉愛ちゃんとは、衣装の浴衣などを地元のお店に一緒に買いに行きました。

◆ほかに、苦労されたことはありますか?

短編作品とは長さや物語のうねりなど脚本を書く段階から違うので、今回あらためて脚本の勉強をし直しました。また長編は観賞後も見ている人の余韻が続いていく感覚が強いので、単に作品としてまとめるのではなく、見えない余白の部分まで想像できるような作りにしたい思いがありました。

◆完成した本作の満足度、そして次作に懸ける意気込みはいかかですか?

規模は小さいとは言え、初の商業映画としてオリジナルの長編を撮れることは、かなりぜいたくなことだと思います。また、規模が小さいなりに信頼できるスタッフやキャストの方々に集まってもらい、とても人に恵まれました。自分の初めての長編作品として、胸を張れるものになったと思っています。短編なりの挑戦も楽しいですが、多くの人に映画館で見てもらうということを考えると、この後も長編は撮りたいです。また、今回子供たちと関わったことでいろいろ発見もあったので、今後も子供が出てくる作品を撮ってみたいと思っています。

◆今後、どのような監督を目指していきたいですか?

「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」のグレタ・ガーウィグ監督や「悲しみに、こんにちは」のカルラ・シモン監督、「はちどり」のキム・ボラ監督など、海外の女性監督が撮っている作品に興味があるんです。私も文化や言語を超えて、そういう作品と並ぶことができるような作品を作っていきたいです。

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