神木隆之介&中村倫也&木村昴「誰もが気になっていたその後の物語は、心がズキンとしながらも、ちょっとほっこりするすてきな展開」映画「100日間生きたワニ」

特集・インタビュー
2021年07月08日

2019年からSNSで毎日連載され、日本中を大きな感動で包んだきくちゆうきの4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』を原作にアニメ映画化した「100日間生きたワニ」が7月9日(金)より全国公開。主人公ワニの声には神木隆之介さん、そして親友のネズミに中村倫也さん、モグラに木村昴さんと豪華キャストが集結した。後半部分にはオリジナルストーリーを展開させるなど、さらにメッセージ性を強めた本作。息ぴったりの主要キャスト3人に、作品への思いを伺いました!

◆まずはアフレコを終えての感想からお聞かせください。

神木:上田(慎一郎)監督からは、本当に親友と話しているような、いい意味で気の抜けた感じでしゃべってくださいというディレクションがあったんです。声色もアニメに寄せるのではなく、地声でしゃべっている雰囲気でいいということだったので、間合いやテンションもそうしたナチュラルさを意識しました。

木村:そうだったね。普段僕がやっているアニメーションとはまるで違うことを求められていたので、新たな経験ができたという意味でも、すごく楽しかったです。また、モグラは一人だけちょっと雰囲気が違っていて。ワニ君やネズミ君と親友であることは間違いないんだけど、どこか面倒見のいいお兄さんっぽいところがある。そうした落ち着いた感じが出せるように演じていきました。

中村:僕が演じたネズミは結構ぶっきらぼうなところがあるんです。でも、言動の余白の部分に優しさや繊細さがにじみ出ていて、結構周りのこともよく見ている。とはいえ、それが表にハッキリと出ているわけではないので、演じる時はできる限り淡々とした表現になるようにしていました。

◆確かに個性が異なる3人ですし、性格的にも不思議な組み合わせですが、どこか絆が感じられるというのが興味深かったです。

中村:監督がおっしゃっていましたが、3人は小学校の同級生という設定なんです。だから会話もすごく自然体なんですよね。最初に台本を読んだ時から、僕は確実にネズミポジションだなと思っていて。ネズミって、普段の僕と本当に変わらないんですよ。なので、なおさら役づくりのようなことはしなかったです(笑)。

神木:“あ、自分だ!”って思ったんだ(笑)。

中村:うん。ワニみたいに輪の中心に立って何かをするわけじゃなく、かといってモグラみたいにみんなの面倒をみるタイプでもなく。まさにネズミみたいに何を考えているか分からないんだけど、ノる時はノるし、周りを気遣ったり、気遣わなかったりもする。だから、今回のキャスティングは本当に素晴らしいなと思いましたよ。もう、これからは僕のことを“鼠先輩”って呼んでくれてもいい(笑)。

木村:ははははは! ポッポッポッポーって?(笑)

神木:いやいやいや! おかしいでしょ! 別にネズミ君は右から左に受け流してないから(笑)。

中村:違う、違う。受け流すのはムーディ勝山さんだよ(笑)。

神木:あ〜、そうでした(笑)。すみません!

◆(笑)。また、劇場版では物語の後半がオリジナルストーリーとなっています。シナリオを読んでどのような印象を持ちましたか?

木村:きっと多くの方が見たかったのが、“ワニ君が亡くなった後、仲間たちはみんなどうなっちゃうの?”ということだったと思うんです。それが見事に描かれている印象がありました。

神木:確かに。この作品はキャラクターたちがみんなかわいいし、誰もが気軽に見られるのがいいところですよね。でも、これは監督がおっしゃっていたのですが、世の中がコロナ禍になり、普段当たり前だと思っていたことが、そうじゃなくなった。(後半部分には)そんなメッセージも込められているのかなと感じました。

中村:それに、例えば家を建てる時って柱が4本必要だと思うんですが、この原作を映画化するにあたって「その後」が描かれたことで、作品としての柱がより太くなり、より強固になった印象がありましたね。

神木:とはいえ、当たり前に感じていたものを失った時に、人はそれとどう向き合い、どう前に進んでいくのかということが結構強く描かれていて。やはり心にズキンとくるものがありましたし、胸が痛くなりました。

中村:そうだね。原作もズキンときたけど、それがより身近になったというか。

木村:僕がすてきだなと思ったのは、ワニ君は出てこないのに、どこかしらにワニ君の存在を感じながら物語が進んでいくところで。切なさや悲しさだけじゃなく、温かい部分もあって、後半の展開も本当に素晴らしいなと感じました。

神木:そうそう! 最後はちょっとほっこりするし、そこがすてきですよね。

木村:あとはカエル君の存在感も大きいしね。

◆原作にはないオリジナルのキャラクターであるカエル君を山田裕貴さんが演じていらっしゃいましたね。

神木:僕は収録日が別だったので、裕貴君がどんな感じでカエルを演じたのか試写を見るまで分からなかったんです。

中村:アフレコの時は、なぜかものすごく緊張していたよ?(笑) こっちがビックリするくらい。

木村:そう言えば、収録前に監督から「後半にはカエルが異物として登場します!」って聞いていたけど、まさしく異物だったよね(笑)。でも、そんな彼にも新しい街に来た理由がちゃんとあって。その内容を聞いた時は本当に感動しました。何と言っても、ネズミ君とカエル君の会話が泣かせるんです! 最高でした!

中村:ありがとうございます!

◆ちなみに、この作品では日常の中にあるちょっとした幸せがたくさん描かれていますが、皆さんにとってのささやかな幸せとはなんでしょう?

神木:僕はゲームですね。YouTuberの方が開催している大会で上位にランクインして、自分のアカウント名が生配信の画面に映ったり、名前を読み上げられたりすると、ものすごくうれしいんです。「今、呼ばれた? 呼ばれた!」って(笑)。

中村:へ〜! それって誰でも参加できるものなの?

神木 参加はできるけど、やっぱりそれなりに上手じゃないと勝てなくて。だから、名前が映ったら、その瞬間に画面収録をして、ゲーム仲間に自慢するように送りつけてる(笑)。

中村:それが幸せ?

神木:幸せです!!

木村:でもそれって、全然ささやかじゃないんじゃない?

神木:あ、そうですね。かなりの幸せです(笑)。

中村:(笑)。僕のささやかな幸せは…仕事が21時までに終わることかな。そうすると、“今日はいつもより少し早く終わったな”って思えるから。ちょっと感覚が麻痺しているのかもしれないけど…。なので、正直今も…(と、スマホの時計をチラ見)。

木村:え、まさに今この瞬間も!?(笑)

中村:今20時半ごろなので、何とか終わりそうですね(笑)。早く帰れた日はゆっくりお風呂に入るのが好き。帰宅が遅くて次の日も早いと、どうしても睡眠を優先させちゃうじゃないですか。なので“今日はゆっくりお風呂に入ろう”と思えるのは21時終わりくらいなんです(再度、チラ見)。

神木:だからって、さっきから何度もスマホの時計を見るのはやめてください(笑)。

◆お風呂にゆっくり入っている時は何かされているんですか?

中村:漫画を読んだり、台本を読んだりすることが多いですね。あとは音楽やラジオをかけながら、ブクブクしています(笑)。

神木:いいですねぇ。昴君の幸せは?

木村:小さな幸せならいくらでもあるよ。エレベーターのボタンを押した瞬間にドアが開いたりとか。あとは、きれいな方にSNSで“いいね”をもらったり(笑)、電車に乗ったらたまたま隣にきれいな女性がいたり。

神木:3分の2がおきれいな方ですね(笑)。

木村:(笑)。それと、手を汚さずケバブを食べられた時も!

中村:あ〜、分かる! ハンバーガーの最初のひと口目で、レタスがズルンと出なかったら幸せ。

木村:それも最高! そういう、見逃してしまいがちだけど、ふとした時に幸せを発見すると“お! ラッキー!!”って思いますよね。…あとは、そうだなぁ、お店に入る際に、センサーに反応して消毒液が出てくる機械で一発で出てきた時とか。ほかにも僕の家の鍵が…。

中村:いっぱい出てくるなぁ!(笑)

神木:もう十分です。ありがとうございました(笑)。

PROFILE

神木隆之介
●かみき・りゅうのすけ…1993年5月19日生まれ。埼玉県出身。B型。主な出演作はドラマ『コントが始まる』(日本テレビ系)、映画「るろうに剣心 最終章 The Final」など。

中村倫也
●なかむら・ともや…19861224日生まれ。東京都出身。A型。主な出演作はドラマ『この恋あたためますか』『珈琲いかがでしょう』など。エッセイ集「THEやんごとなき雑談」が発売中。

木村 昴
●きむら・すばる…1990629日生まれ。ドイツ出身。O型。主な声の出演作はアニメ『ドラえもん』『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』など。

作品紹介

映画「100日間生きたワニ」
2021年7月9日(金)全国ロードショー

(STAFF&CAST)
原作:きくちゆうき「100日後に死ぬワニ」
監督・脚本:上田慎一郎、ふくだみゆき
声の出演:神木隆之介、中村倫也、木村 昴、新木優子、ファーストサマーウイカ、清水くるみ、Kaito、池谷のぶえ、杉田智和、山田裕貴

(STORY)
桜が満開に咲き誇る3月、約束したお花見の場にワニの姿はなかった。心配した親友のネズミが桜を撮影した写真を仲間たちに送るも、それを受け取ったワニのスマホは画面が割れた状態で道に転がっていた。花見から100日後、仲間たちはワニとの思い出と向き合えず、互いに連絡を取ることも減っていたが、そこに新たな出会いが訪れる。

●photo/大石隼士 text/倉田モトキ