MIYAVIインタビュー「僕ら音楽家にできることは、未来は明るいということを信じて、それを歌にして伝えること」

特集・インタビュー
2021年09月27日

◆アルバムを通して聴くことは少なくなったと言われていますが、この「Imaginary」はとてもドラマチックで、ライブをイメージさせてくれます。

もちろん、そこは意識しています。でもぶっちゃけると、このアルバムは最初の2曲で完成(笑)。最初の2曲で、言いたいことは全部言っちゃってる。“好きだー!”ってシンプルに告白して、はい、以上! みたいな。残りの9曲は、カップリングです、みたいな(笑)。両A面のシングルを、カップリング曲をたくさんつけて出しました! という感じ。

◆元Wanna Oneのメンバーであるカン・ダニエルとのコラボ曲など、カップリングにしてはぜいたくすぎるラインナップです(笑)。

ああ、そうですね。彼ともたまたま縁があってコラボすることになったんです。彼も僕のことも知っていてくれて、ぜひ! と言ってくれた。あらためて彼の作品も聴いたんですが、最近、特に変わったような気がしています。アーティストとしての方向性が固まったというか、目覚めた感じがある。このアルバムには入らなかった曲も候補としてあったんだけど、この「Hush Hush(feat. Kang Daniel)」がいいと言ってくれたので、アルバムに入れることになりました。

◆外からの提案や流れに乗ってみるということも多いですか?

僕は結構ありますね。制作にしても、普段はロサンゼルスで作るんだけど、今は向こうに行けないし、こちらに人も呼べない。だから今回は逆に東京にいるからこその布陣でやるべきだなと思い、サウンド面ではco-producerとしてJeff Miyahara氏を招き、ビジュアル面はKing Gnuの常田(大希)君率いるPERIMETORONにお願いさせてもらいました。綾野剛君に紹介してもらったんだけど、新しい世代のクリエイターだよね。ジェフのポップ性、ボーカルアプローチにもすごく学びがあったし、自分の声に関しても新しい発見があった。今までのやり方とは違う分、戸惑うことも、乗り越えるまで大変な時期もあったけど、やるからには身を委ねなければいけない。サウンドクリエーション、キャンバスの中に音をどう置くかという部分やボーカルアプローチはジェフの意見をたくさん取り入れたし、アルバムのアートワークは「New Gravity」で歌っていることを彼らなりに拡大解釈して表現してもらった。いろんな分野で、自分たちが作ってきた重力=常識やルール、しきたりみたいなものがある。でも今、当たり前なことが当たり前じゃなくなったり、必要なものが必要じゃなくなったり、反転が起こっている。どんどん変わっていく価値観の流れの中に僕らはいる。どこに新しい基準(重力)を定めるか、そういったことを歌っています。今こそ古いしがらみから抜け出して、新しい重力を設定し直すチャンスだと捉えるべきなんじゃないかと。

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