WANDSインタビュー「“WANDSらしい”と思う感覚は人それぞれでいいと思います」

特集・インタビュー
2021年11月03日

上原大史

◆「真っ赤なLip」以降、過去のWANDSの名曲をカバーしたものがカップリングに収録されていますよね。加入前に上原さんが感じていた、WANDSの楽曲の印象というのはどのようなものでしたか?

上原:やはり「世界が終るまでは…」「時の扉」「もっと強く抱きしめたなら」の辺りの印象が強くて、渋くてカッコいい、ちょっと影を感じるようなイメージでした。でも、改めてじっくり聴いてみると、すごく幅広くて、ジャンルに偏りがないことに気づいたんです。なので、いわゆる“WANDSらしさ”って、きっと人によって違うんだろうなと。

◆“らしさ”って、簡単なようで実はすごく深いテーマですよね。

上原:はい。それって、その方がWANDSを聴いていた時期だったり、よく聴いていた曲だったりできっとイメージが変わってきますよね。誰かが「この曲、WANDSらしくないね」と言っている曲が、僕にとっては「WANDSらしいな」と思う曲だったりもしますし。例えば、「真っ赤なLip」も「らしくない」と言われたことがあるのですが、昔のアルバムを聴いていると、ああいうテイストの曲って何曲もあるんです。おしゃれで、難しいコードを使っているような…。

柴崎:そうそう。まさに「真っ赤なLip」は『名探偵コナン』サイドが「WANDSらしい」って言って選んでくれた曲なんだよね。

上原:なので、“WANDSらしい”と思う感覚って、人それぞれバラバラでいいんじゃないかなって。僕は曲を聴きすぎて、もはや“WANDSらしさ”というものが何なのか分からなくなってしまいました(笑)。

◆約2年前、加入当時の心境というのはいかがでしたか?

上原:最初はまるで試練のように感じていました。「楽しい」と感じる余裕はゼロだったと言っても過言では無いというか。僕自身も好きなバンドのボーカルが変わったら抵抗感を感じてしまうと思うので、「嫌だな」と感じるファンの方々のお気持ちというのは分かっていたつもりだったのですが、やはりそのような声を多くいただいて。

◆そのような中どう乗り越えてこられたのでしょうか。

上原:最初はずっと「どうしていくのが正解なのだろう」と、とにかくもがきながらやっていたんです。でも、今はあれから約2年が経って、当時「こうなりたいな」と思い描いていた自分に少しだけ近づけた気がしていて。もともとWANDSのファンだった方から「第5期は第5期でいいね」と言っていただけたり、『名探偵コナン』のOPをきっかけに初めてWANDSを知ってファンになってくださった方もいたり。今は、自分らしさを忘れず“第5期”WANDSを柴崎さんとやっていこうと、しっかり地に足を着けて臨めています。

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