井ノ原快彦「つい気持ちが入っちゃう時がある」本上まなみ「“頑張れ、頑張れ”って」 前作に続いてナレーションを担当 「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」

特集・インタビュー
2021年11月04日

井ノ原快彦&本上まなみ「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」インタビュー

「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」が11月5日(金)に全国公開。ナレーションは前作に引き続き、井ノ原快彦さんと本上まなみさんが務めています。前作では周囲から思いがけない反響があったというお2人。とてもやさしい笑顔で「すみっコ」たちの魅力について語ってくれました。

井ノ原快彦&本上まなみ「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」インタビュー
©2021日本すみっコぐらし協会映画部

◆今回、脚本はアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』などを手がけている吉田玲子さんが担当していらっしゃいます。脚本を読んだ感想はいかがでしたか?

井ノ原:ナレーションの台本をもらって読んだ時に、「これ、どんな感じになるんだろう、絶対かわいいはず!」と期待がふくらみました。そして映像を見て「やっぱりかわいい!」と。ナレーションを入れながら、絵があると全然違うなって思う部分もありましたし、「よくぞ、こういう設定とお話にしてくれた」なと。ストーリーとして、秘密を抱えている設定が好きなんです。例えとして合っているか分からないけど、昔のドラマに『ママはアイドル!』というのがあって…。

本上:それ、大好き!

井ノ原:とかげの「秘密がある」という設定から、そのドラマを思い出してしまって。ゾクゾクきました。

本上:私は…子供のころ、自分自身が何もうまくできないタイプだったんです。感覚が鈍いというのか。しかも友だちと比べなくてもいいのに、小学生のころって、どうしてもみんなと比べて「何で自分だけできないんだろう…」って。劣等感みたいなものがすごくあったんです。今回の「すみっコぐらし」には魔法使いが5人出てきて、末っ子のふぁいぶが魔法がうまく使えないんですけど、だから感情移入して“頑張れ、頑張れ”とずっと思ってましたね。いざという時にうまくできない…その部分にとても共感して、胸に沁みましたね。“私だ…”と思いながら見ていました。

井ノ原:末っ子のふぁいぶは、本上さんだと思って見ればいいのか(笑)。

井ノ原快彦&本上まなみ「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」インタビュー
©2021日本すみっコぐらし協会映画部

◆ナレーションを読む時も感情移入しがちなキャラクターがいたりするのでしょうか。

井ノ原:僕はできるだけ全キャラクターを平等に見てあげたいと思うタイプなんですが、つい気持ちが入っちゃう時はありますね。

本上:そうなんだ(笑)。

井ノ原:かわいく思えてきちゃって。でも、できるだけ平常心でやるようにしています。

本上:でも、ありますよね。私はもともとすみっコたちを知った時、しろくまが一番自分に近いと思ったんです。北に住んでいるのに寒がりで、寒すぎるのが耐えきれなくて暖かいところにやってきたとか。あとは何かを持っていないと不安になるから、いつもふろしきを持っていて、ふろしきをかぶると安心したり。まさに“自分と一緒!”と思いましたね。私もショールやストールが好きで、どこに行くにも必ず持っていって、1人になりたい時はストールを頭からかぶったりするんです。

井ノ原:え、ホントに!?(笑)

本上:飛行機の機内で寝る時も巻いたり。だから、しろくまにはつい感情移入してしまうんです。それが声にも出ていると思うんですが、すみっコは全員好きなので…難しいところですね。

井ノ原:難しいね。

本上:今回は魔法使いたちの気持ちに寄り添う立ち位置だったので、ふぁいぶにグッときました。でも私もなるべくフラットにと心がけています。

井ノ原快彦&本上まなみ「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」インタビュー
©2021日本すみっコぐらし協会映画部

◆井ノ原さんはご自分に一番近いと思うキャラクターはいますか?

井ノ原:どのキャラクターにも「この子のこういうところは分かる」という部分がちょっとずつある気がします。しかもそれは、立派なところではないんです。例えば本上さんがおっしゃったような、ちょっとした劣等感みたいなものだったり。僕は子供のころ、「こうじゃなきゃいけない」ということからいつも逃げていた気がして。何でやらないといけないんだろうと思っている時に、「だって小学生だから」と言われたりすると、「何で小学生だとやらないといけないだよ」と思うような子供で(笑)。だから「暖かいところが好きだから」って、寒いところから逃げてきたしろくまにキュ~ンときてしまったり。

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©2021日本すみっコぐらし協会映画部

◆監督やスタッフの方からはナレーションについて何かリクエストはありましたか?

井ノ原:特別はなかったですね。

本上:前作は、“作品の世界観みたいなものについてレクチャーがあるのかな”と思って現場に行ったら、そのままスルッと始まって、今回は前作と違うスタッフの方が作っていらっしゃるので、“何かあるんだろうな”と思っていたんですが、事前に仮の音が入っているVTRを渡されただけで、説明みたいなものは特にありませんでした。ということは、信頼してくださっているのかな、と。

井ノ原:そうですね。そうだといいな(笑)。「前作の感じでお願いします」ってことなのかなと、僕は受け取っていました。

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◆ナレーションする上で心がけていること、意識していることがあったら教えてください。

井ノ原:すみっコたちはいるだけでかわいいから、この世界を壊したくないっていう気持ちが大きいです。だからキャラクターたちにそっと寄り添うみたいな気持ちでやりました。多分、感情を込めすぎると見ている人たちが、“この声の人たち誰なの?”って思ってしまうから、何も考えず淡々と。

本上:もともとすみっコたちって喋らないんですよね。すみっコたちが動いているだけで、すみっコたちの絵を見るだけで、子供たちは“今こう考えているんだな” “ちょっと頼りない気持ちでいるんだな”って見てくれると思うんです。そこを私たちが過剰に補足していく必要はなくて。だからBGMみたいな感じで、私たちの声があればいいんじゃないかなって思います。

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◆先ほど、井ノ原さんが秘密を抱えているストーリーが好きだとおっしゃっていましたが、お2人は子供のころ、どんな秘密を持っていましたか?

井ノ原:子供のころは団地住まいで、自宅からすぐの場所に学校があったんです。その団地には友だちも住んでいたので、お互い大人になるまでの過程を全部知っているんですよ。だから秘密なんて、ほとんどなかったですね。ただある夜、父に何か買ってきてと言われて出かけたら、当時好きだった子もちょうど同じ店にきていて。それだけでいいんですよ。

本上:ふふふふふ(笑)。

井ノ原:喋ったりもしてないんだけど、翌日会った時に「昨日会ったよね」って。それを知ってるのは2人だけというのがいい。それが秘密ですね(笑)。本上さんは何かありますか?

本上:あるかなぁ…。私には4つ下の妹がいるんですが、子供のころって何でもマネしてくるんですよ。うちは共働きだったので日中に両親がいないことも多くて。「妹の面倒を見て」とよく言われていましたね。例えば、友だちとプールに行くと言うと「この子も連れていってあげて」って必ず言われたんです。だから、いかに妹に秘密で遊びに行くかを考えてましたね。

井ノ原:あはははは(笑)。分かるわ~、それ!

本上:ただついてくるだけならいいけど、持っているものを欲しがるんですね。工作やお裁縫で何か作ったりすると「それ欲しい」と言ってきたり、「教えて」って言われたり。そういうことが続くので、いっぱい秘密を抱えていました。…すごく意地悪ですよね、私。

井ノ原:きょうだいって、そういうものですよ、きっと。せっかく自分が見つけたのに、全部同じものを欲しがるからね。

本上:そうそう。ただうまくやっていたので、表面的には面倒見がいいお姉ちゃんと思われていました。でも振り返ってみると、妹には結構意地悪してたかもって思いますね。

井ノ原:今、当時のことを妹さんから言われたりしないんですか?

本上:言われる(笑)。妹も「いろんなものがおさがりで嫌だった」って。「いろんなことがあったね」「ごめんね!」って、当時の話をするのは結構楽しいです。

井ノ原:きょうだいあるあるだね(笑)。

PROFILE

井ノ原快彦&本上まなみ「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」インタビュー
©2021日本すみっコぐらし協会映画部

井ノ原快彦
●いのはら・よしひこ…1976年5月17日生まれ。東京都出身。1995年V6のメンバーとして「MUSIC FOR THE PEOPLE」でデビュー。ドラマ『特捜9』など、俳優としても活躍するほか、『出没!アド街ック天国』では2代目司会を務めている。V6として集大成となるベストアルバム「Very6 BEST」が発売中。

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本上まなみ
●ほんじょう・まなみ…1975年5月1日生まれ。大阪府出身。女優、ナレーター、文筆家など、幅広いジャンルで活躍中。最近の出演作には、ドラマ『パパがも一度恋をした』など。映画「モンテッソーリ 子どもの家」の日本語吹き替えナレーションを担当した。

作品情報

井ノ原快彦&本上まなみ「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」インタビュー
©2021日本すみっコぐらし協会映画部

「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」
2021年11月5日(金)全国ロードショー

(STAFF&CAST)
ナレーション:井ノ原快彦、本上まなみ
原作:サンエックス
監督:大森貴弘
脚本:吉田玲子
美術監督:日野香諸里
アニメーション制作:ファンワークス
主題歌:BUMP OF CHICKEN「Small world」(TOY’S FACTORY)
配給:アスミック・エース

(STORY)
舞台はすみっコたちが暮らす街。キャンプに出かけたすみっコたちが空を見上げると大きく青く輝く月が。その日は、5年に一度の青い大満月の日。すみっコたちの町に魔法使いの5人きょうだいが舞い降り、公園やスーパーマーケット、森の中に魔法をかけキラキラに彩っていく。やがて楽しい夜は終わり、魔法使いたちは月へと帰っていく。しかし、たぴおかが魔法使いの末っ子ふぁいぶと間違われて連れていかれてしまい…。

 

公式サイト:https://sumikkogurashi-movie.com

公式Twitter:@sumikko_movie

©2021日本すみっコぐらし協会映画部

 

text/佐久間裕子