山口紗弥加インタビュー“18歳差”恋愛ドラマに「大切にしているのはリアルな感情」『シジュウカラ』

特集・インタビュー
2022年01月07日

『シジュウカラ』

女性から圧倒的支持を得ている漫画家・坂井恵理による同名コミックをドラマ化した『シジュウカラ』(テレビ東京系)が1月7日(金)にスタート。山口紗弥加さんが主人公の売れない漫画家・綿貫忍、忍と恋に落ちるアシスタント・橘千秋を板垣李光人さんが演じる。今回は、主演を務める山口さんにインタビュー。作品への思いや、撮影現場のエピソードなどを聞きました。

◆漫画原作の作品を演じる上で、具体的にどういう部分を意識しながら演じていますか?

大切にしているのは、リアルな感情、物語のリアリティです。18歳差の恋を、漫画の世界のファンタジーにはしたくないなと。台本上では“手を重ねる”とか“抱きしめる”という描写があったりするのですが、私たち役者が演じてみて「これはちょっと難しいかな…」ということがあれば、大九明子監督は役者の感情を尊重してくださり、その描写を撮影しないということもありました。監督が演出をつけられる時も、役者の感情に無理はないか、嘘をついていないかを必ず全員に確認してくださいます。歳の差の恋を、丁寧に、繊細に、とても大切に撮ってくださっているのを感じます。
忍というキャラクターについては、原作における外見的な特徴ばかりをまねるのではなく、内面からの心理的なアプローチに気持ちの重点を置いています。

◆共演される板垣李光人さんの印象を教えてください。

美しいです。言葉遣いに、心配り、佇まいまで…本当に。油断すると失礼なほどにじーっと見つめてしまうのですが(笑)。ドラマでも、忍が思わず見ほれてしまう描写があって、おかげで無理なく演じることができました。しばらく見つめてしまった後、猛烈に恥ずかしくなって板垣さんのお顔を見られなくなったりするなど、私自身も忍の気持ちをリアルに体感することができています(笑)。
板垣さんは、19歳とは思えない大人の落ち着きを持っている方なのですが、なんというか、触れてはならぬ、侵してはならぬ領域というか…気安く話しかけてはならぬ、私の中で、そんな存在の方なので、いまだまともにお話しすることもできず…ほどよい距離感で過ごしています(笑)。

『シジュウカラ』

◆撮影中の印象に残っているエピソードなどがありましたら教えてください。

印象に残っているのは水族館デートですね。私、初めて八景島シーパラダイスに行ったんですが、守られている安心感からなのか、動物たちが無防備な姿で爆睡しているのを初めて見て、何だか感動してしまって(笑)。寂しがり屋のセイウチが「こっちに来てよー」と言わんばかりに声を上げて、近寄ると芸らしきものを見せてくれたのもすごくかわいかったです。
板垣さんとは…2人でお酒を飲んだ後、雨宿りをしているときに彼に誘惑されるシーンがあるのですが、実際に「美しいな~」と思って見ほれていたことを大九監督に伝えたところ「だったらそのまま、その“ピンク色の何か”を胸に持って、板垣さんに応戦してください!」と言われ、何だか少し恥ずかしいような気持ちになったのですが、今考えると「ピンク色の何かって何だったんだろう…」って…(笑)。でもあの時、あの瞬間、ときめいている自分がいたのは事実でした。この感覚は、ぜひともドラマを見ていただいて、ご自身で味わっていただきたいなと。きっと、板垣さんに魅了されるはずです。

◆以前、今作について「40代のセカンドチャンスに共感する」と話しておられましたが、具体的にはどういう時に実感しましたか?

私は、38歳の時に初めて連続ドラマの主演を頂いたのですが、まさしくそれが私にとってのセカンドチャンスだったのかなと。期待も、想像すらしていなかったタイミングで、突然、大きな仕事を頂くことになりました。この奇跡体験は、忍に訪れたセカンドチャンスの“夢物語”を現実的で説得力あるものにしてくれるはずだと信じています。
ただ、私に訪れたセカンドチャンスは、私にとって“ファーストキャリア”の段階で、「ここからもっともっと先に進もう!」という社会的立場の向上を目指した再出発だったのですが、忍にとってのそれは“セカンドキャリア”の始まりなんじゃないかと。私が考える“セカンドキャリア”は、社会通念とは少し距離を置いたところで、自分で自分を幸せにしようと努力する、個人的な幸せの追求です。そしてそれは、これまでの人生をかみしめ、ときどきは抱きしめたりもしながら、“自分”を取り戻すような作業だと思うんです。誰のものでもない自分の人生を生きる、自分らしく生きる、というか。
例えば今、私が「自分らしい表現というものを手に入れて、唯一無二の表現者になりたい」とか「大切な人に恩返しをしたい」とか、個人的な願いを込めてお芝居しているように、忍も“個人的な願い”を持って漫画に向かい、誰に遠慮することなく、忍にとっての幸せを追いかけているのかなと。そういう部分で、忍と今の私は気持ちがリンクしている気がします。

『シジュウカラ』

◆山口さんは自身のこれまでの人生を振り返ったり、見つめ直したりすることはありますか?

「あそこで別の選択をしていたら…」などと想像はしてみても、過去に戻りたいと思ったことはなく、あくまで想像で終わります。懐かしい場所を訪れたり、当時よく聴いていた音楽を耳にしたり、香りだったり…ふとした瞬間によみがる記憶と戯れる、そんな感じです。後悔のような思いから、過去を掘り返すようなことはほぼありません。

◆では最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。

皆さん、ドラマを見て板垣さんに恋してください!(笑)
でも実は、恋だけが見どころではないんです。人と人との出会いによって新たに生まれる物語と、少しずつ変わっていく未来。ヒリヒリするような人間模様をどうぞお楽しみください。

『シジュウカラ』

PROFILE

山口紗弥加
●やまぐち・さやか…1980年2月14日生まれ。O型。福岡県出身。最近の出演作は、『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』、映画「彼女が好きなものは」など。劇場版「ラジエーションハウス」の公開が2022年4月29日(金)に控えている。

作品情報

『シジュウカラ』

ドラマ24『シジュウカラ』
テレビ東京系
2022年1月7日スタート
毎週(金)深0時12分~

<第1話あらすじ>

アシスタント歴20年を超えて夢を諦めた売れない漫画家・綿貫忍(39)は、たくさんの思いを東京に残し地元に戻って筆を置いた。だが皮肉にもその直後、昔描いた人気薄だった自作が電子書籍でバカ売れする。そして「これが最後」だと、再度本気で漫画と向き合うことに。
そんな中で出会ったアシスタントは、橘千秋(22)という美しい青年だった…。若者にしては妙に落ち着いており、どこかしら人懐っこい好青年である一方で、時に発する意味深な発言と、何より忍に奇妙なアプローチを仕掛けてくる千秋に、徐々に忍は違和感を覚え始める。
「彼は、何かがおかしい…」不穏な空気を忍の家へと持ち込んだ千秋に対して、言いようのない不安と抗いようのない興味に揺れる忍。さらにそんな千秋と交流する内に、忍の中に積み重なっていたある種のゆがみが顕在化してくる。

公式HP:https://www.tv-tokyo.co.jp/shijukara/
公式Twitter:@tx_shijukara

©「シジュウカラ」製作委員会

●text/緒方ななみ