赤楚衛二インタビュー「大庭は演じていて楽しくてしょうがない」『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』

特集・インタビュー
2022年09月09日
『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』©TBS

金曜ドラマ『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』(TBS系 毎週金曜 午後10時~1054分)に、大庭蒼生役として出演中の赤楚衛二さんにインタビュー。92日放送の第8話で放火犯として逮捕されてしまった大庭。99日(金)放送の第9話では、何も話してくれない大庭に、弁護士の羽男(中村倫也)とパラリーガルで大庭の彼女でもある石子(有村架純)はうろたえる。そんな大庭を演じる赤楚さんに、共演中の有村さん、中村さんとのエピソードや、役作りについて聞きました。

◆役作りで意識したところを教えてください?

大庭は普通の男の子という印象で、どちらかというと素の自分に近いなと感じました。カーディラー、営業という設定だったので、営業の友達に話を聞いたりしました。ですが、大庭がどういう過去を歩んできたのか、石子先輩とどういう距離感だったのかといったところを膨らませて考えました。

◆素の自分に近いということですが、どんなところに大庭との共通点を感じますか?

車が好きだったり、剣道をやっていたり、弟がいることも同じですね。あと、大庭の部屋の雑貨が多いというか、自分の好きなものであふれているようなところは少し似ているなって思います。

◆ご自身と似ている大庭は演じやすいでしょうか?

演じやさすさでいうと、自分に近すぎると難しいんだなと感じました。大庭のズレた感じに「そのままだね」と言われることがありますが、「俺、こんな感じなんだ」と感じることが多いので、自分のことって見えていないなと。なので、不思議な感覚です。逆に自分と離れていた方がやりやすいのかもしれないです。でも、大庭は演じていて、楽しくてしょうがないです(笑)。

◆今回の役どころで挑戦だなと思うところはありますか?

芯のある男。硬派って言ったらいいんですかね。今までの役が全部軟派かって言われたら、そんなことはないですが、硬派な部分っていうのは挑戦かなと思っています。

◆硬派な役を演じてみていかがでしたか?

今まで演じてこなかったところでもあるので、広げ方は難しいなと思いつつ、やってみたら、こういうところは自分も持っているんだと、役との共通認識みたいなものは増えました。そして、硬派に見せようとなるべく自然に姿勢をよくしようと意識はしています。

『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』©TBS

◆共演者から刺激を受けたことなどありますか?

全部が刺激です。例えば、全部台本通りやっているわけではなく、プラスアルファで有村さんの出す色、中村さんの色、そういうものが化学反応して、会話のテンポ感だったり、面白いものが広がっているような感じがするんです。また、(おいでやす)小田さんもさだ(まさし)さんも2人ともとてもユニーク。台本に書いてある言葉が自分の中から出てきたような、言葉一つひとつにリアリティがあって、染み込んでくるみたいな。勉強になります。

◆有村さんや中村さんのお芝居で、具体的にハッとさせられた部分や、アドリブで覚えていることはありますか?

有村さんも普通にしゃべっているだけで、石子先輩が目の前にいるような感覚になります。そして、何よりせりふがある時もそうなんですが、せりふがない時にハッとさせられるんです。今、こういうことで石子さんは悩んでるんだな、苦しんでいるんだなっていうのが、肌に直接感じます。依頼者さんが相談しに行った時に、毎回バシっと決めるところで、中村さんがちょっとギャグを入れるとこは、緩急のすごさを感じますね。シーンで言うと、「僕、告白しました」というシーンがあるんですが、その後に「うん」っていうひと言があったんです。そのひと言でも中村さんは毎テイク、ふって笑って「うん」、普通に「うん」、「うん」って言わないといった、「うん」っていうひと言だけで、いろいろな表現をされていました。やっていて、僕は正解を求めがちなんですが、中村さんのアプローチの多さに、感化されました。

◆有村さん、中村さんのそういった変化があるお芝居を受けて、ご自身のお芝居も変わった場面もありましたか?

変わりっぱなしですね。やっぱり、自分が持っていったものだけでは成立できないですし。1回こうやってみようと思っても、現場に入ってみたら違うよなっていうのもあったりするので、あまり固めずにいきたいなと思っています。

◆休憩時間にはどんなことを話されていますか?

主に中村さんが大庭の真似をして、笑わせてくれます。例えば、次のシーンの前に読み合わせをする時間があって、僕が見ていると、中村さんが大庭のところもやってくれるんです。その大庭がすごく、「俺、こんなキャラだっけ?」っていうぐらいキャラを変えて演じてくれたり(笑)。有村さんとは、健康、本、漫画、映画の話だったり、中村さんとはスポーツの話をすることもあります。

◆中村さんの大庭はどんな感じなのでしょうか?

めちゃくちゃデフォルメしてると思いたいです(笑)。「僕、こんな感じですか?」と、中村さんに尋ねると「もう、やっちゃってるよ」って言われるんです。でも、有村さんは、「いやいや、デフォルメしてるよ」って言ってくれるので、ぶっ飛んだ大庭をやってくれています。

◆大庭は羽男に対して、恋のライバルのような意識は持っているのでしょうか?

恋愛が絡んだライバルというよりは、 1話で僕は助けてもらっているので、羽男さんは恩人。少し変わっているところもあるけれど、尊敬する先生だなっていう認識は変わらず持っています。なので、石子先輩を取られるんじゃないかって言うよりも、仲間に入れてない、自分の力不足みたいなところが表現できたらと。2人はちゃんと仕事できているのに、自分は何もできてないっていうところのコンプレックスを考えました。

『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』©TBS

◆石子と思い出に残っているシーンはありますか?

4話で、「僕、心配なんで行きます」って言った後に「いってらっしゃい」と言ってくれるシーンがあったんですが、そこで大庭として、「あ、いいな」って思ったのが確信になった瞬間のひと言でもあったなと思います。

◆告白のシーンで意識したことはありますか?

中村梅雀さんと風吹ジュンさんが登場した5話では、その2人の一件で“やっぱり恋愛っていいな”と、完全に乗っかったような感じですよね。石子先輩が好きだし、就活もうまくいくし、大人の恋愛も見られたし、全部そろったから「よし、いこう!」っていうような。どちらかというと、失恋したらどうしようっていうよりも、自分にけじめをつけたいみたいなところでした。

◆石子との距離感が近づいたというのを視聴者に伝えるために工夫したことがあれば教えてください。

有村さんと、「この今の関係性の延長線上が魅力だから、彼女、彼氏になったからと距離を近づけるとかではなく、今のままでいいよね」みたいな話をしました。ただ、石子さんが大庭のお家に入ってきたりするプライベートのときは、ちょっとガチガチになっていたり。ちょっと2人のほほ笑ましさみたいなところが見えたらいいかなっていうところは意識しました。

『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』©TBS

◆大庭が1話で石子と羽男に助けられましたが、赤楚さんが共演者の方に助けられた場面はありますか?

有村さんと中村さんに、気持ちの整理的な部分で、ここはこうしたいんですよねと、たまに相談に乗ってもらったりしています。2人とも一緒に考えてくださって、こうしたらいいんじゃないと教えてくれて。僕のちょっとモヤっとしてたところにヒントをくれるので、救われています。2人にアドバイスしていただいたことをやってみると、言いづらかった言葉がすって入ったり。10話でも中村さんが「こうやったら面白いんじゃない?」って言ってくださったことを試してみたら、やっぱり面白くなって。2人とも主観と客観がすごいなと思います。

◆赤楚さんがこの作品を通して、視聴者に伝わったらいいなというメッセージがあれば、教えていただきたいです。

『石子と羽男』は、身近なところから、わりと大きな事件まで取り扱ってると思うんですけど、この作品では法律はすごく近しいところに在るべきなんだなって思わせてくれました。法律と聞くと最終手段みたいな、なるべく避けて通りたいみたいなふうに思ってしまうかもしれませんが、視聴者の方々には法律や弁護士との距離感が近くなったらうれしいなって思います。

◆赤楚さんご自身は法律というものに対しての距離感は、本作を経て近づいた感覚はありますか?

ありますね。以前、役でパラリーガルをやらせていただいたことがあるのですが、その時は、殺人事件や放火といった重めの話もあったりして、法律は究極的な場面で助けてもらう武器だなという感覚があったんです。今回は、その感覚に、相談役でもあるんだというようなプラスなイメージが強くなったと思います。

◆最後に、大庭の見どころを教えてください。

家族とのやりとりは好きだし、弟の関係性もすごくすてきだなって思います。そして、事務所内の何げない会話みたいなところで、大庭のちょっとズレた、引っかき回すようなところも好きなので、ぜひ注目して見てほしいです。

PROFILE

赤楚衛二
●あかそ・えいじ…1994年3月1日生まれ。愛知県出身。現在、NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』、Netflix『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』が待機中。

番組情報

金曜ドラマ『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』
TBS系
毎週金曜 午後10時~10時54分

<第9話(9月9日放送)あらすじ>
大庭(赤楚衛二)が放火容疑で逮捕された。
羽男(中村倫也)が接見に行くと、大庭は「自分がやった」と罪を認めた。理由については黙秘して何も話してくれない。
さらに、放火のあった公園トイレの焼け跡から、一人の遺体が見つかる。
大庭の無罪を信じつつも動揺する石子(有村架純)と羽男。
二人は放火のあった現場を訪れ、さらに大庭の家族にも会いに行くのだが……。

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