【インタビュー】上野樹里&T.O.P from BIGBANG チェ・スンヒョンインタビュー「シークレット・メッセージ」で共演

特集・インタビュー
2015年11月16日

ドラマ「シークレット・メッセージ」がdTVで日本独占配信中。本作に出演した上野樹里&T.O.P from BIGBANG チェ・スンヒョンに撮影中のエピソードやドラマの見どころを聞きました!

――dTV日本独占配信中のドラマ「シークレット・メッセージ」に出演が決まったときの気持ちをお聞かせください。

上野 この作品は、私にとって初めてのWEBドラマへ出演だったんです。しかも、グローバルプロジェクトということで、アジアを中心に同じ時間帯にたくさんの方たちとこのドラマで同じ気持ちを共有できる、ひとつにつながれるという部分にとても魅力を感じました。今は、ネットでニュースとか、気軽にいろんなものを見ることができますが、WEBドラマというものはまだ日本ではそんなに浸透していないコンテンツで。今回は、日本よりもWEBドラマが浸透している韓国で撮影が行われるということで、とても楽しみにしていました。韓国には以前から仕事で行かせていただく機会が多く、そのたびに韓国のファンの方から温かい声援をいただいていたので、いつか韓国制作の作品に出てみたいという思いが漠然とあったんです。なので、この作品の出演が決まったときは、純粋に嬉しかったです。

T.O.P from BIGBANG チェ・スンヒョン(以下チェ・スンヒョン) 上野さんもおっしゃられているように、韓国ではWEBドラマがどんどん増えてきていますし、このコンテンツに対するメディアの認識もどんどん変わってきているように思うのですが、僕自身においても好奇心を抱くものでしたし、この先、さらに市場規模が拡大していくであろう、その先駆けともいえるこの作品に参加できるのは、とても光栄なことだと思いました。現代人は、非常に忙しない日常生活を送っている人が多いと思うのですが、そんな方たちがちょっと気を抜いて、10分、15分間のストーリーを見て楽しむことができるのは、とてもいいことだと思いました。

――台本を読んだときの感想を教えてください。

チェ・スンヒョン それぞれ違う国の、違う言葉を持つ男女が、それぞれが過去の
失恋が元で、心に傷を抱えているけれど、ひょんなことから連絡をとりあい、顔も知らないまま、お互いの心の傷を癒しながら、少しずつ距離を縮めていくというところがとても美しい物語だと思いました。

上野 韓国のラブストーリーならではのピュアでチャーミングなところもあるし、テーマがLINEというすごく身近なツールで、言語の違いはあるんですけども、翻訳機能を駆使しながらお互いにやりとりをしていたり、リアリティーを感じられるのがいいと思いました。

チェ・スンヒョン 上野さんは日本語で、僕は韓国語で演技をするのですが、言葉が通じない中で、お互いにリアクションをとっていかなければいけない。最初はどのように呼吸を合わせていくのか、好奇心がありましたし、これは僕にとって新しい経験になると思いました。

――ご自身の役どころに関してはいかがですか?

上野 私が演じるハルカは、駆け出しの女優なのですが、過去に亡くしてしまった彼を忘れられず、3年間心に穴が開いている状態で、ずっとスランプ状態に陥っていたんです。でも、そんな自分を変えたくて、無言劇(ダンス)のレッスンを受けるために、ひとり日本から韓国へと飛び立つんです。ハルカは、すごく不器用なんだけど、ありのまま必死に前向きに生きようとしているところに好感が持てるといいますか。決して美しいヒロインではないんですけど、だからこそ、いい意味で肩の力を抜いて、マイペースに演じることができました。

チェ・スンヒョン 僕が演じるウヒョンは、映画監督を目指し、日本に来て、愛にまつわるインタビューを撮っているのですが、過去の失恋が元で心に傷があり、内面的にとても孤独でさみしい男性なんです。そういう感情的な部分で、僕自身が同情できたからこそ、ウヒョンというキャラクターを演じることができたと思います。

――今作で初共演となりますが、お互いの印象についてお聞かせください。

チェ・スンヒョン 上野さんは韓国(アジア)でもとても人気がある女優さんで、僕自身も以前から「のだめカンタービレ」など、上野さんが出演した作品を見ていて、とても個性のある表現をされる素敵な女優さんという印象を持っていました。なので、今回ご一緒できると聞いたときは、素直に嬉しかったです。そして、実際に共演をさせていただいて、とても繊細で、いい意味で敏感な感覚をお持ちの方だなと思いました。ちょうど上野さんが無言劇をされるシーンで初めて一緒に撮影をしたのですが、優れた感性で表現される姿を見て感動しました。

上野 T.O.Pさんといえば、世界的グループのBIGBANGのメンバーであり、トップスターなので、私がヒロインで釣り合うのか、本当に私でいいのなって最初は不安に思っていたんです。でも、このドラマ自体が、LINEを通してのささやかな恋のお話なので、それをトップスターのT.O.P君と一緒にできるのはとてもレアだなと思いました。

――実際にお会いしてみていかがでしたか?

上野 BIGBANGのT.O.Pさんといえば、キラキラした、つねにキマッている、カッコいいイメージがあるじゃないですか?

チェ・スンヒョン (照笑)

上野 でも、撮影現場でお会いしたときのT.O.Pさんは、モッズコートを着て、カメラを持って、役柄であるウヒョンに完全に成り切っていて、映像制作をしている人としての純朴なオーラを放っていたんです。静かに、真摯に撮影に集中されている姿を見て、撮影中は、BIGBANGのT.O.Pさんとしてではなく、ウヒョンとして、私自身も役柄のハルカとして接していました。

チェ・スンヒョン 僕は日本には毎年のようにコンサートツアーなどで訪れていますが、日本のドラマや映画などの作品に出演したり、日本の俳優さんと交流する機会はこれまで一度もなかったんです。それというのも、今回の上野樹里さんと共演できる、この運命的な出会いを待ち続けてきたからこそだと思います。

上野 ありがとうございます。さっきから褒められてばっかりですね(照笑)。実際T.O.Pさんとの共演シーンは少なかったのですが、7話で2人が妄想の中でデートをするシーンがあるんです。そのときに見ている人がリアルにすっと笑えるようにと、T.O.Pさんが韓国で流行っているギャグとか言葉、言い回しにこだわって、時間がない中でも丁寧に、妥協せずに作品作りをしている姿を見て、俳優としても素晴らしいなと思いました。

チェ・スンヒョン ありがとうございます(照笑)。

――上野さんは韓国、チェ・スンヒョンさんは日本で主に撮影を行われたそうですが、撮影中、刺激になったこと、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

上野 仕事で韓国に行くというよりは、本当にハルカとして身一つで韓国に行ったという感覚で、韓国で過ごす日々を大切に、毎日の撮影を行いました。瞬間瞬間をどう感じて、みんなとどんな関係を築いて、どうやって成長していくのか、撮影をしながらリアルに作り上げていった感じがあります。監督からアドリブを要求されることもたくさんあったのですが、みなさんのパッションを感じながら、最後までピュアな気持ちを持って撮影に臨むことができました。韓国の制作陣と撮影を行うのは初めてだったのですが、改めて作品を作るのに国境って関係ないんだって、自分が身を持って体感しましたし、そこで感じた喜びを今作を通して伝えたいと思いました。

チェ・スンヒョン 僕はもともと建築物に関心があって、日本の古い建物や、韓国の韓屋(ハノク)という伝統建築物に興味があったのですが、ウヒョンが日本で下宿している家がまさに木造の古い建物で。今回のドラマの撮影はとてもハードで、体はとても疲れていたのですが、終始リラックスすることができました。とはいえ、撮影中は1日に2,3時間しか寝れない状況で、これまでいろんな活動をしてきましたが、この10年間のなかで、正直、一番スケジュール的にタイトで大変だった気がします。なので、みんなに見られないように、撮影の合間にこっそりセットの中のトイレでひとりで泣いていることもありました(笑)。

上野 えっ? 泣いてたの? 泣くぐらいだったら、寝たらよかったのに(笑)。私はお昼ご飯の時間に寝てましたよ。

チェ・スンヒョン 僕は食事の時間には、食事をちゃんと取りたいんで(笑)。

上野 私は撮影の合間に“きんぱ”(韓国の海苔巻)を食べていました(笑)。また個人的に一番印象に残っているのが、劇中に無言劇をするシーンで。当初は韓国で著名な先生に教えていただく予定だったのですが、スキルがあまりにも違い過ぎて、ハルカがこのダンスを表現したら、逆に違和感があるなと感じたんです。不器用ながらにも、ダンスを介して等身大のハルカの気持ちを表現したかったので、日本で以前からお世話になっている先生と一緒に、オリジナルのダンスを本当に手作り感覚で1つ1つ作り上げていきました。最初は1分ほど使われる予定だったのですが、そのまま監督が映像にしてくださり、とても驚いたのですが、こうして自分のアイディアがドラマに活かされて、やりがいを感じましたし、ハルカという役に対してさらに想いが強くなりました。

――またこの物語のように、顔もわからない相手とLINEのやりとりだけで恋に発展するようなことはあると思いますか?

上野 この物語では、失った恋人のアカウントから誤作動でLINEが届いて、2人でやりとりをするうちに、心の傷が癒されて、一緒に過ごしているような感覚になっていくのですが、実際に相手がどういう顔をして打っているのか、本当に相手は実在する人物なのか、これは全部嘘なのかもしれないって思ったり……普通ではあり得ないと思うんです。だけど、日本人のハルカは韓国、かたや韓国人のウヒョンは日本という、運命的な感じであったり、タイミングであったり、2人が模索しているテーマだったりがとても近いので、もしかしたらそこから恋に発展する可能性もあり得るのかもしれないですね。

チェ・スンヒョン ウヒョンを演じるにあたって、自分も同じ状況に置かれたら、きっとこう成り得るだろうなと考えました。この作品では、偶然に連絡を取り合うようになった女性と、LINEを通して、日常的な何気ない会話を交わしていくなかで、少しずつ親しくなっていくのですが、男女の関係というのは、淋しい気持ちでいるときに、何気ない会話をすることで、気持ちが慰められ、その存在が友達から恋人に変化することがあると思います。とくに男は単純な生き物なので、女性よりそういった可能性が大きいんじゃないかと思います。

――作品の見どころを教えてください。

チェ・スンヒョン このドラマは単純なラブロマンスではなく、時にはコミカルに、細やかな2人の 可愛らしいやりとりがあれば、時にはホラーチックに、時には感動的になど、いろんなシーンが見れるので、みなさんに楽しんで見てもらえるんじゃないかと思います。

上野 今作はCMとかを撮影しているクリエイティブチームが携わっていて。お芝居を演出してきた方とは違った美しい映像の切り取り方であったり、同じ登場人物でも、ホラーチックになっていたり、コミカルになっていたり、何話かによってまったく感じ方が違ってくると思うんです。1話約20分なんですけど、PV風にずっと走っている画を撮っていたり、すごく繊細な心情はシルエットで撮ったり、普通のドラマでは見れないいろんな映像の遊び心が入っています。また、監督も1人ではなく、数回ごとに違うので、それぞれの監督の個性が際立ったテイストを楽しんでいただけると思います。すごくきれいな瞬間をスローで見せたり、逆にホラーチックな映像を撮るときは、クレイアニメみたいに2倍速にしてみたり、そういう視点からも楽しめるドラマですし、携帯の電波が入るところであれば何回も見れますし、ベットに横たわりながらでも見れますし、いつでもどこでもどんな体制でも(笑)、気軽な気持ちで楽しんでいただけたらうれしいです。

チェ・スンヒョン 誰もがリラックスして楽しめるコンテンツですし、僕自身そういったコンテンツを待っていたと思います。また僕は個人的に日本でも放送された「IRIS」というドラマ以降、ずっと映画に参加してきたので、ドラマに出演するのは7年ぶりになるんです。もちろんその間、韓国のドラマに出ていなかったのは、スケジュール的なものもあるのですが、オファーがあっても僕がその内容になかなか惹かれなかったというのも事実で。でも、今回の作品はWEBドラマということで、これからどれぐらいこの市場が大きくなっていくのかというところに興味もありましたし、台本を読んだときに、何より自分自身が入り込めた、ウェルメイドドラマになったので、ぜひ多くの方にたくさん愛してほしいと思います。

上野 回を追うごとにどんどんおもしろくなっていきます! 後半に、ウヒョンを想って涙を流したり、LINE来てないかなって何度も見返してみたり……本当にプレーンな状態で演じているので、ハルカの素顔をそのまま映し出したドキュメンタリーのような感覚でみなさんに見ていただけたら嬉しいです。人って、ふいに口さみしくなる瞬間があると思うのですが、このドラマを通じて、ひとりで誰とも共有できない時間や気持ちを私たちと一緒に共有してもらえたらと思います。

――今後の計画について教えてください。今作を機に、よりグローバルな活動が期待されますが。

チェ・スンヒョン 何の計画もありません(笑)。音楽的にいろんなことを見せたり、また演技を通していろんな作品に参加すること、それはすべて運命的な出会いなんじゃないかと思います。

上野 まさに同じです。私が望んでということではなく、向こうからの依頼があって初めてお仕事として成立すると思うんです。それは日本でも海外でも同じことで、こういうことをやりたいなと思っていたこと、何年も前に動いていたことが、ちょうどいいタイミングで形になったり、これって本当に縁だといつも思うんです。

チェ・スンヒョン 自分でこういう作品に参加したいと思っても時間的なタイミングであわないかもしれないし、そもそもほかの人にオファーがいってしまうかもしれない。逆にこういうことやってみませんか? と言われても自分自身の興味が向かないかもしれない。BIGBANGというチームでも、これぐらい大きくなりたいから、こういう計画で、こういう欲を持ってという風にやってきていないので、自分の中で仕事というのは、つねに予想のつかないものという印象が強いんです。自分で野望を持ってできるものではなく、運命かのようにその流れに流されていけば、時としてすごくいいことがくるかもしれないし、あるいは苦難にぶち当たってしまうかもしれない。ただその時々に目の前に降りてきたものに自分は正面からぶつかっていくというやりかたでこれまできたので、これからもそういうやりかたでいくと思います。

上野 掴みにいくというよりは、授かるものだと思うんです。今までも時代に沿ったモノづくりをしてきていると自負していますし、つねに生というか、今出来ることを一生懸命やっていく。それをただ繰り返していく感じだと思います。そして、奉仕する精神といいますか、今はどんな形であれ、人の為になることをやるのが一番やりがいのあることだと感じています。

 

作品情報

「シークレット・メッセージ」
日本最大級の映像配信サービスdTVで日本独占配信中

作品ページ:http://video.dmkt-sp.jp/ft/s0005005