「そこのけ そこのけ ネクストブレイクのお通りだ」トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行【第1回】

特集・インタビュー
トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行
2024年01月09日

お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、記念すべき第1回をお届け。(TVLIFE 2023年3月29日発売号より転載)


そこのけ そこのけ ネクストブレイクのお通りだ

TV LIFE読者のみなさま、初めまして。トンツカタンというお笑いトリオのツッコミ担当、森本晋太郎と申します。

いつもはここでYOUさんがコラムを書かれているのですが、今回からページを移動されるということで僕に白羽の矢が立って連載を始めさせていただくことになりました。正直に言わせてください、荷が重いわ!

突然現れたこの森本という男は一体何者なんだ?当然の疑問だ。それもそのはず、このコラムコーナーを担当しているパンサー菅さんの奥さん、宮下草薙、四千頭身都築との大きな違い、それは僕だけ明確に売れていないということ。かといって全く売れていないわけでもなく、意外にも地上波のテレビやラジオのレギュラーを持っていたりする。メディアでは僕みたいな絶妙な露出度の芸人をネクストブレイクと形容したりする。

思えば初めてネクストブレイクとくくられたのは芸歴2年目の時に出させていただいた年末の『おもしろ荘』だった。そこから毎年のように「今年売れるかもしれない!」「業界が注目の!」「今のうちに青田買い!」などの謳い文句でテレビに出させていただいてもうすぐ芸歴11年目になる。ブレイクまでの行列、さすがに長すぎないか?先述の四千頭身と宮下草薙に至っては完全に順番を抜かされている。本当にマナーのなってないやつらだ。

順番抜かしの2組で思い出したけど、お笑い第7世代が台頭し始めたときの話。とある大きなお笑いユニット番組が発足することになり、我々くらいの世代で大規模なオーディションが行われることになった。その辺りからどこが発信源かは不明だが若手界隈で「トンツカタンは当確らしい」「トンツカタンを中心にメンバーを決めるらしい」「トンツカタンのオーディションは形式として一応やるだけらしい」という噂がまことしやかに囁かれていた。

たまたまそのくらいの時期に若手のコンテストで優勝したり、ほんの少しだけネタ番組に出たりしていたのでそれを聞いた僕は「芸能界って、やっぱりそういうのあるんだ」と思ったのを強く覚えている。

そしていざ迎えたオーディション。形式上とはいえもちろん手を抜くことなく全力で取り組んだ結果、なんの手応えもなく一次で落ちた。あの噂はなんだったんだよ。芸能界めちゃくちゃクリーンじゃねえか。

あと、これを書いていて気付いたのだけど、僕はネクストブレイクの順番抜かしをされていたんじゃなく、自ら後ろに並び直していただけだ。言いがかりをしてしまいごめんなさい。

というわけでこの連載ではひとりのネクストブレイク芸人が売れきるのか、はたまた志半ばで力尽きてしまうのか。そんなリアルすぎる道中で思ったことや感じたことを生々しく綴っていきたいと思う。みなさんが読んでくれる限り、僕は何度だって並び直せる。


森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。