「変化はいつだってグラデーションで」トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行【第7回】

特集・インタビュー
トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行
2024年01月09日

お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、トレードマークのグラデーションシャツの話。(TVLIFE 2023年6月21日発売号より転載)


変化はいつだってグラデーションで

どうも、前回に引き続きお尻爆発男です。今このコラムを書くころにはとっくに抜糸が済んでいるはずだったのですが、ひな壇や新幹線移動など度重なるネクストブレイク芸人としての仕事にお尻が耐えきれず出血してしまって延期となりました。現在も溢れる血液をガーゼで止めながら書いています。血の滲むような努力とはこのことですよね。くそ、貴重な文字数をこんなブラッドユーモアで使いたくないのに…!

先日、数年ぶりに宣材写真を更新した。前回に比べて髪型や立ち位置など、細かい変化がもろもろあったのだが、唯一と言っていいほど変わっていないのが僕の着ている青と白のグラデーションシャツだ。

ありがたいことに現在この衣装が僕のトレードマークとなっており、最近では「街でこういうグラデーションを見つけました」というDMがファンの方から届くなど、世のグラデーション情報が集まってくるようになっている。今のところそれらを有効活用できたためしはない。

そもそもこのシャツを着始めたのが6,7年ほど前。元々ユニクロで販売されていたものなのだが、僕が衣装として採用したその数日後にネットで『ユニクロで買ってはいけない損アイテム』のワースト1位に選ばれ、それ以降店舗から姿を消した。周りから「それやめたら?」なんて言われることも多々あったが、なんの意地なのか今日まで着続けている。ちなみにこのシャツをデザインされたユニクロの方が「なぜ彼は頑なにあのシャツでテレビに出ているんだ?」と疑問に思っているという情報も入ってきている。あなただけは味方でいてくれよ。

しかし最近、このシャツ自体が僕をネクストブレイクであることをたらしめているような気がしてならない。おそらく演者の衣装として100点でないこの服を脱ぐタイミングはいくらでもあった。今でもスタイリストさんにグラデーションシャツのみ固定のスタイリングを強いて多大な迷惑をかけている。それでも脱がなかったのは、厳密に言うと脱げなかったからだ。メディアでの数少ない露出の中でパフォーマンスの他にどうやって印象に残れるか。藁にもすがる思いでたどり着いたのがこの格好なのだ。このグラデーションは、僕の自信のなさの表れだ。

今後当たり前のように別の服でメディアに出だしたら、その時初めてブレイクしたと胸を張れるのかもしれない。今はそのちょうど過渡期、まさにグラデーションのど真ん中にいる。ちなみにこのコラムが書き上がったら次はお尻を労りながらアイロン掛けをする予定。いつか脱皮できるその日に思いを馳せながら、明日も僕はグラデーションシャツに袖を通す。


森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。