「あこがれですけどなにか?」トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行【第28回】

特集・インタビュー
トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行
2024年05月08日

お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、事務所の先輩・おぎやはぎの矢作さんの話。(TVLIFE 2024年4月24日発売号より転載)


あこがれですけどなにか?

プロダクション人力舎に所属してこの春で12年目になる。自信と希望に満ち溢れていた1年目の僕からしたらまさかこんなにも長い期間ネクストブレイク芸人をやっているなんて思ってもいないだろう。

12年前、数あるお笑い事務所の中から人力舎を選んだ一番の理由はテレビやラジオで見かけて大笑いした芸人さんの人力舎率が異常に高かったという点である。養成所を卒業してから現在までに当時見ていた先輩方のほとんどと共演させていただく機会があったが、その度にあの頃の自分の選択は間違ってなかったんだというくらい面白くて魅力的な人たちばかりだ。

その中でも最近お会いする頻度が増えているのがおぎやはぎの矢作さんである。半年ほど前から矢作さんの英会話チャンネルにピンチヒッターとして出演させていただいており、月に一度のペースで英語に関する動画を何本か撮り溜めている。こういった撮影は通常だと当日までに内容や台本をある程度固めて臨むケースが多いのだが、矢作さんのチャンネルではディレクターさんと作家さんと4人で雑談をしながら内容を決めていく。おぎやはぎさんは近年漫才の特番で新ネタを披露する際、早めに楽屋入りしてその場で話しながら作っていくというのを聞いていたので「あの手法だ!」と毎回ワクワクしている。

撮影はお昼時に行われることが多いのでいつも矢作さんがハンバーガーやカレーのテイクアウトをみんなにご馳走してくれるのだが、僕がサイドメニューやトッピングも注文していいか聞くと「20万円までならいいよ」と言ってくれる。これも「森本が食べたいものはなるべく食べさせてやりてえからな」の言い換えだと思って勝手にテンションが上がっている。

学生時代、おぎやはぎさんのラジオ番組に投稿していたり、定期的におふたりのWikipediaを読み込んだりしていた身としてはこうして密にご一緒できることだけでもかなり喜ばしいことだ。それに加え、ゲストに大きな負荷をかけてしまう僕のYouTubeチャンネル『タイマン森本』のオファーをダメ元でさせてもらった時も「森本にはいつもお世話になってるからいいよー」と、なんのメリットもないにも関わらず快く出演してくださった。宮沢賢治よろしく、そういうものにわたしはなりたいとその時強く決心した。

直属の先輩たちは頻繁に後輩を連れて飲みに行ったりなどはしないけど、要所要所でその大きな背中を見せてくれる。それがとても人力舎っぽくて僕は大好きだ。僕自身はというと、今は誰にも背中を見せることができず、意図せずゴルゴ13のようになってしまっている。いつかあなたたちみたいになれるように、今日も僕はプロダクション人力舎のネクストブレイク芸人として邁進する。


森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。