音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク -Divisiion Rap Battle-』(『ヒプマイ』)が、ディビジョン別CDを7か月連続でリリース。イケブクロ・ディビジョン『.Buster Bros!!!』、ヨコハマ・ディビジョン『.MAD TRIGGER CREW』、シブヤ・ディビジョン『.Fling Posse』に続いて、2024年9月18日(水)にはシンジュク・ディビジョン『.麻天狼』が発売となる。
リリースを記念して、TV LIFE webでは麻天狼の3人にインタビュー。今回は、麻天狼のリーダーで天才医師の神宮寺寂雷を演じる速水奨さんにお話を聞きました。ここまでの物語を経て、「本当の意味で寂雷・一二三・独歩が対等になった」と言葉にする速水さん。そんな速水さんが感じている麻天狼の絆とは。
未だにあがける自分がいるのが面白い
◆4月に『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 10th LIVE ≪LIVE ANIMA≫』が開催されました。さまざまな展開も発表され、大きな盛り上がりを見せましたが、出演してみての感想を振り返っていただければと思います。
もともと4ディビジョンでスタートした『ヒプマイ』ですが、オオサカ・ディビジョンとナゴヤ・ディビジョンが加わり、そして中王区“言の葉党”が入ってきて、楽曲などのバリエーションがとっても豊かになりましたよね。ライブ中は麻天狼の絆も改めて確認できましたし、他ディビジョンとの共闘も自然とできるようになってきたとも感じました。
◆コンテンツが始動してから7周年を迎えましたが、速水さんのなかで関わり始めた当初と比べて、作品へ寄せる想いは変わってきていますか?
振り返ってみると本当にたくさんの曲を歌わせていただき、いろいろなシーンを演じてきたなと思います。ただ、僕自身の意識はいい意味で最初から変わっていなくて。レコーディングに参加する度に「またこんなに難しい曲を……」と思いますし(笑)。周りのキャストのレベルがどんどん上がっていくなかで、僕も何とかついていかなきゃなという気持ちで臨んでいますね。
◆速水さんにとって、本コンテンツは挑戦の連続になっている。
挑戦というよりは、新鮮ですかね。キャリアを重ねると慣れてしまう仕事もありますが、『ヒプマイ』に関しては毎回新鮮な驚きがあるので、僕としてはありがたいです。未だにあがける自分がいるというのが、面白いですね。
◆コンテンツが始まった頃からずっと新鮮な驚きがあるという意味で、寄せる想いや意識は変わっていないんですね。
そうですね。ただ、1年目より2年目、3年目と時間を重ねるごとにお客様から感想や期待の言葉をいただくことが多くなっています。少し前に僕のバースデーイベントを開催したのですが、事務所のスタッフが「若いお客様が増えた」と言っていました。寂雷のグッズを持っている人が非常に多かったらしいんです。幅広い年代の方から応援いただけるようになったのは、『ヒプマイ』のおかげですね(笑)。脚光を浴びているコンテンツなんだなと改めて実感しています。
◆寂雷先生への印象についてはいかがでしょうか?
彼の日常が描かれることが多くなった気がします。そのなかで、最初よりも柔和になった気がするんですよね。優しくなったというか。
◆大人ではありますが、成長を感じる部分もある。
ありますね。特にこだわることと、許す・理解することのバランスを上手く取れるようになってきた気がします。こだわりを持ち続けるって、いいことのように聞こえますが、そのこだわりによって周りに迷惑をかけちゃうことだってあるじゃないですか。だから、ある程度のキャパシティや許容範囲があったほうが、自分自身も周りも生きやすいと思うんです。寂雷もそのバランス感覚が身についてきたのかなと。それはやっぱり、(伊弉冉)一二三・(観音坂)独歩という存在がいたことでそうなれたんだと思います。
◆逆に、変わっていないなと感じる部分は?
弱音を吐かないところ。ともすれば、ひとりでしょい込みがちなところです。一二三・独歩に心を開いたとはいえ、まだ迷惑をかけずに自分ひとりで解決しようとする節が随所に見られますよね。
◆続けて、一二三・独歩の印象や魅力に感じている部分も教えてください。
一二三は極度の女性恐怖症ですが、それは非常なトラウマがあるからで。今回のドラマトラックでは、邪答院仄仄が登場することでそのトラウマや過去が明らかになりますが、彼はすべてを受け入れて、認めて許すんですよね。心の大きさとピュアさに驚きましたし、より人間的な魅力が出てきたなと感じています。
独歩に関しては、上司さえもビックリするようなミラクルを起こすことがあるんですよね。もしかしたら独歩が『ヒプマイ』のなかでいちばん能力と運を持っているのかもしれません。彼が持っているラッキーはみんなを幸せにするけれど、彼自身は気づいていないというね。それが普通人を超越していて、周りから見ていると面白いんです。社畜というカテゴリーから始まっていますが、以前と比べて大人な部分が垣間見えてきました。ますます魅力的な人物になっていく気がします。
◆それぞれを演じる木島隆一さん、伊東健人さんとも長い付き合いになってきたと思いますが、印象はいかがですか?
最初から全然変わらないですね。2人ともスッと懐に入ってくれるので、とても居心地がいいんです。僕は昔から「何時にお店を予約する」といった行為が全くできない人間なんですよ。そこを木島くんがぜんぶやってくれます。先日、2人から誕生日当日にシャンパンをいただきました。そういうこともやってくれる、素晴らしい2人ですよ。
◆パフォーマンス面ではいかがでしょうか?
2人がいると安心します。ライブで袖から出るときに「次の立ち位置は何番です」と教えてくれますし、ステージが暗くて周りが見えないときには伊東くんが「速水さん、こっちです!」って教えてくれるんですよ。2人のナビゲーターによって、僕はステージに立てています(笑)。
◆2人に寄せる信頼は絶大。
ですね!
ソロ曲は過去、現在、もしかしたら明日への寂雷を感じられるくらいの楽曲
◆さて、この度、約4年ぶりにディビジョン別CDがリリースとなります。ディビジョン別CDが展開されると聞いたときの率直な感想をお聞かせください。
だいぶ長く麻天狼としてやってきて、一二三と独歩とも一緒にいろいろなことをやってきました。そのなかで、今度はどんなドラマが3人に待っているのか。ことさら事件が起きるのか、日常が描かれるのか。できれば平和な日常のワンシーンが描かれたらいいなと思いながら、収録の日を待っていました。
◆実際にシナリオをご覧になっていかがでしたか?
一二三の過去が分かってきて、彼のトラウマの原因となっている仄仄とも向き合いました。仄仄の気持ちはどうなったのか明らかにはなっていませんし、決してハッピーエンドではありませんでしたが、今までの悲劇の連鎖は断ち切れたような気がします。
◆家族をぶち壊した仄仄を「理解したい」と思える一二三は、もはや“お人好し”を超越していると感じました。
ひとりの若い女性によって、親は離婚して、姉は婚約を破棄された訳じゃないですか。もう訳が分からないですよね。そんな状況になったら、怒りの感情以外、何が残るのか。でも、それを受け入れる一二三。相当な葛藤はあったでしょうね。ただ、悩み苦しんで出した答えに光を見出したからこそ、一二三でいられたんじゃないかなと思います。
◆一二三と同じ立場だったら、私は彼のような行動は取れないと思います……。
そうですよね。せめて何かしらの落書きをしたり、不幸の手紙を送っちゃったりくらいはしたいです(笑)。
◆本当、それくらいしないと気持ちが晴れないかもしれないです(笑)。そんな一二三と一緒に過ごしてきた独歩は、男らしさも見せて一二三に寄り添います。
独歩はネガティブなことを言いがちですが、一二三が一二三であるために独歩は必要な存在なんだなと改めて思いました。
◆一二三の過去も明らかになりますが、寂雷先生も今までとはちょっと違った表情を見せます。
彼のなかで最もネガティブで、最も守るべきで、最も悩ましい要因となっているのは、目覚めない神奈備衢なんです。ずっと彼のことを何とかしたいと思いながら、空いている時間もずっと研究をしていたはず。もし目覚めさせることができるなら、ある種、法を犯してもいいとさえ思っていたんでしょう。今回の寂雷の行動は意外だなとも思いましたが、きっと、それだけ衢くんのことを思っているんですよね。
◆そんな寂雷先生の行動を一二三や独歩が「それは違うよ」と止めます。
本当の意味で、3人が対等になってきたと感じました。今までは寂雷がリーダーという印象が強かったですが、対等になって、弱いところは補ってもらえるという関係性になったという気がします。
◆寂雷先生にとって、2人が大切な存在になっている。
そうですね。衢くんのことであがいている寂雷をちゃんと認めてくれる2人がいるから、寂雷が寂雷でいられると、今回のドラマで感じました。そうやって掘り下げていくと、『ヒプマイ』のストーリーはまだまだ終わりそうにないですね。
◆本当にいろいろな展開がまだ見られそうです。今回のCDには寂雷先生のソロ曲「威風颯爽」が収録されています。こちらは、どういう楽曲でしょうか?
何と言ったらいいんでしょうか。とにかくいろいろな要素が詰まっていますよね。ここまでの寂雷の胸の内や悩み、課題など、そういうものがすべてこの楽曲のリリックに込められていると感じました。過去、現在、もしかしたら明日への寂雷を感じられるくらいの楽曲だと思います。
◆レコーディングはいかがでしたか?
いやー、今回も難しかったですね。作曲・作詞をしてくださったDef TechのMicroさんが、仮歌も歌ってくださっていたんです。Microさんはレコーディングにも立ち会ってくださったのですが、「難しいですね」と言ったら「僕もこの曲、難しいと思います」とおっしゃって(笑)。
◆毎回が新鮮というお話もありましたが、今回のレコーディングも新鮮な気持ちで臨めましたか。
新鮮でしたし、(最初のソロ曲である)「迷宮壁」を聞いたときを上回る驚きがありました。最初は「これは誰が歌うんだろう」って思ったくらいです。ひとつ、ひとつの言葉が重たくて、演技的に言うと極限の想いを訴えかける場面が続くので、なかなか魂が休めない曲です。
◆今回のディビジョン別CDを含めた楽曲のリリースやライブ、ゲームなどさまざまな展開をしてきた『ヒプマイ』。今後、速水さんが『ヒプマイ』でやってみたいことはありますか?
いろいろなアーティストの方とのコラボもやりましたし、ABEMAさんでバラエティ番組もやっていて、別のメンバーですがロサンゼルスの「Anime Expo 2024」にも参加しましたからね。本当にいろいろとやってきたから、これ以上望むことがあるとすれば……世界ツアーでしょうか。特に行きたいのはドバイです。
◆麻天狼の3人がドバイでライブ!
麻天狼とドバイは合うと思いますよ。ブルジュ・ハリファに登って、みんなでシンジュク・ディビジョン麻天狼と叫びます(笑)。あとはディビジョンごとで漫才をやってもいいですよ。
◆ま、漫才! まさかの発想でした。
キャンプとか温泉とかにも行きたいですね。楽しいことをやりたいです(笑)。
◆そういう様子を見られる日が来るのを楽しみに待っています! 最後に、速水さんが思う麻天狼の魅力を語っていただければと思います。
ヒップホップ文化では、バトルや対決も多いと思いますが、麻天狼はバトルで誰かに勝ちたいというよりも、みんなで絆を深めていって、よりよい幸せが少しでも訪れればいいんじゃないかと考えているような、非常に平和的なディビジョンだと思います。今後もそんなメンバーであり続けたいですね。
PROFILE
速水奨
●はやみ・しょう…8月2日生まれ。兵庫県出身。A型。主な出演作は『グレンダイザーU』弓弦之助役、『BLEACH』藍染惣右介役、『マクロス7』マクシミリアン・ジーナス役など。
●photo/YOSHIHITO_SASAKI text/M.TOKU
リリース情報
『.麻天狼』
2024年9月18日(水)発売
価格:通常盤 2,530円(税込)、ELR Store限定盤 6,000円(税込)
【収録内容】
M1.「威風颯爽」/神宮寺寂雷(CV.速水奨)
作詞:Micro(Def Tech)・Shinji Hirao(MSL.co)、作曲:Micro(Def Tech)・Nagacho、編曲:Nagacho
M2.「始まりのラストソング」/伊弉冉一二三(CV.木島隆一)
作詞・作曲・編曲:The Sopranos(RIMAZI & CITY-ACE)・AK-69
M3.「Andante」/観音坂独歩(CV.伊東健人)
作詞:小林私、作曲:No Buses・小林私、編曲:No Buses
M4. Drama Track「Not For You」
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