小川紗良、初長編監督作「海辺の金魚」公開「自分の初めての長編作品として胸を張れるものに」

特集・インタビュー
2021年06月25日

役者業のほか、映像作品の制作や文筆業など活動の幅を広げて活躍する小川紗良さんの長編初監督作となる映画「海辺の金魚」が6月25日(金)より公開。児童養護施設で暮らす少女たちの世界と心の成長を描いた人間ドラマを手掛けた小川監督に、作品に対する思いや今後の展望などを伺いました。

◆長編監督デビュー作で、身寄りのない子供たちを描いた理由は?

「女の子が自分の人生を歩みだす瞬間を描きたい」というのが最初にありました。そして自分が以前から身寄りのない子供たちを描いた作品やドキュメンタリー、本などに関心があったこともあり、このような設定になりました。

◆小川監督がこれまで撮られてきた短編映画のように、青春映画の要素もありますね。

もちろん青春と言える要素もあると思いますが、今回はどちらかというと、18歳で施設を出ないといけないタイミングで主人公の過去や未来について、そして自立について葛藤していく姿を描けたらいいなという気持ちが強かったです。 

◆師である是枝裕和監督からの言葉やアドバイスはあったのでしょうか?

是枝監督は大学時代の先生で、いろいろお世話になった恩師ですので、制作過程で自然と教えが生きていたことは多々あると思います。一度だけ脚本を読んでもらってアドバイスを頂き、また是枝さんの作品をあらためて見返したりもしました。

◆短編「最期の星」に続き、小川未祐さんを主演に起用されました。

私が大学生の時に「最期の星」を撮ったのですが、久々に再会したら彼女は18歳になっていました。その時に18歳なりの葛藤だったり、野望のようなものだったり、今抱えている思いみたいなものを聞き、その揺れ動く彼女の等身大の姿をまた映画の中で描いてみたいと思ったんです。つまり彼女ありきで、この作品が始まったと言えます。

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