

独自の視点やこだわりを持って世界&日本を巡る人々(=クレイジージャーニー)が特異な体験を語る伝聞型紀行バラエティ『クレイジージャーニー』(TBS系 毎週月曜 午後10時~10時57分)。
そんな彼らの旅に同行しているディレクターの体験談を前後編にわたって掲載。前編では、「学生時代から『クレイジージャーニー』に憧れていた」という上野海卯ディレクターが、実際に番組作りに携わって感じたことや旅のエピソードを語ってくれました。
◆旅や準備にはどれぐらいの時間をかけているんですか?
旅は短いもので1週間、長いものになると1か月かかります。旅の内容にもよりますが、実際に行くまでに2、3か月ほど。打ち合わせをして、ルートを決めて、移動手段を確保して…とやっていると、意外と時間がかかるんです。ただ、佐藤健寿さん(奇界遺産フォトグラファー)と行ったロケット花火が飛び交う台湾の祭りみたいに、「2週間後にあるけど、行く?」って感じで急きょ決まることもあります。
◆事前にどの程度、ジャーニーの分野のことを調べるんですか?
学者さんでしたら、その方が専門としている分野のことは調べます。ただ田中俊行さん(呪物研究家)のようにその分野の情報があまりない人は同行して、視聴者の方と同じような目線で撮影しています。
実は個人的に、学者さんの旅には四苦八苦しています(笑)。担当している山舩晃太郎さん(水中考古学者)もそうなんですが、ジャーニーの頭が良すぎて理解が追いつかないんです。編集するにも、どこからどう説明していいものか。例えば、佐藤さんと行った台湾の祭りなどは明確なゴールがありますが、発掘は行ってみないと結果が分からないですし。ただ編集に苦労する分、達成感もひとしおです。


◆『クレイジージャーニー』に携わって感じたことは?
やっぱり、予想以上に編集が大変なことです。膨大な量の素材を1本のストーリーとして、40分にまとめないといけないので。同じ素材を見続けていると今何をやっているか分からなくなって、思わず泣いてしまったこともあります(笑)。
◆旅先ではどんなトラブルが多いですか?
私に限らず皆さん体調は崩しがちです。しかも現地でお医者さんに診てもらおうとしたら、民間療法のシャーマンみたいな方が出て来たり(笑)。入国や国境越えのときに何か起こることも多いです。ちゃんと申請しているのに、「この大量の機材はなんだ?」みたいにツッコまれて。「この荷物は渡せません」って、取り上げられそうになったこともありました。
◆旅の必需品はありますか?
普通の海外旅行と同じように、日本食とお菓子は持って行きます。カップラーメンはもう飽きたので、チルドのうどんや煮物を持って行ったり。タバコも結構、必需品だと思います。知り合った人にあげると喜ばれるし、いいコミュニケーションの道具にもなるんです。あとは旅先によっても違いがあり、野営する方であれば蚊帳を持って行くとか。丸山ゴンザレスさん(裏社会ジャーナリスト)との旅だったら、防弾チョッキも必需品だと思います。


◆一緒に旅をするジャーニーから影響を受けた部分はありますか?
田中さんの旅に同行したことで、呪物が好きになりました。呪物人形が描かれたTシャツを着たり、一緒に行ったプロデューサーは私以上にハマッて、いろんな呪物を買って帰るようになりました。そのプロデューサーはデスクに呪物祭壇みたいなのも作っていて、ちゃんと毎日お菓子を置いてるんです。お供え物ですね(笑)。
◆ほかのディレクターの旅を見て感じること、うらやましいなと思うことはありますか?
島田拓さん(アリマスター)のサスライアリの女王を探す旅は、うらやましいなと思いました。ジャーニーが一番輝いている瞬間に立ち会えていることは、ディレクターとしていいなと。アリの女王が出て来るのを22時間も待つのは大変ですけど(笑)。
◆自分が担当した旅の見どころをお願いします。
気球での宇宙旅行を目指している岩谷圭介さん(発明家)の夢が、もうすぐ叶いそうなんです。定期的に行われる実験にも立ち会っていましたし、それを見届けたいなと。放送を楽しみにしていただきたいです。


PROFILE
●うえの・みう…1995年生まれ。東京都出身。これまで担当した番組に『ぴったんこカン・カン』『世界くらべてみたら』など。
番組情報


『クレイジージャーニー』
TBS系
毎週月曜 午後10時~10時57分
©TBS