上野樹里、『監察医 朝顔』撮了で万感の涙「いろんな方の役に少しでも立てたんじゃないかな」

ドラマ
2021年03月22日

『監察医 朝顔』

上野樹里主演の月9ドラマ『監察医 朝顔』(フジテレビ系)に出演する上野と時任三郎がクランクアップを迎えた。

2020年冬に第2シーズンがクランクインしてから1年、2019年の春先にクランクインした第1シーズンから数えれば、実に2年という長い時間を走り抜けた上野と時任。最後の撮影は、母の実家であり、東日本大震災に被災した東北の海辺の街を朝顔(上野)と平(時任)が訪れるシーンで、撮影場所は岩手県陸前高田市となった。

第1シーズンでは、朝顔と平が三陸鉄道に乗って母の実家の街を訪れるというシーンでクランクインしており、上野と時任にとって縁の深い東北の地であり、制作スタッフがシナリオハンティングのために2018年に初めて陸前高田市を訪れたのが、この場所だった。

演出の平野眞は「ここで終われるというのはすごくうれしい」と言い、陸前高田市議会議員の福田利喜さんも、この日、クランクアップを見届けようと撮影現場に駆け付けた。福田さんは過去、上野が陸前高田市を訪れた際に各地の案内をしており、2020年10月24日に行われたドラマの制作発表会見に際して、被災した地へ思いをはせる上野へ感謝の言葉をつづった手紙を寄せている。

最後のカットにOKが出て、上野と時任2人そろってクランクアップの瞬間を迎えると、スタッフから「万木朝顔役の上野樹里さん、万木平役の時任三郎さん、オールアップです!」と声が上がり、盛大な拍手とともに、演出の平野から2人へ花束が贈られた。

時任は「まだ終わったという実感がないのですが(笑)。本当にこの現場は優しさにあふれていて、スタッフはみんな優しくて、樹里ちゃんをはじめ役者もみんな優しくて、優しさのかたまりのようなチームでした。その優しさが一つ一つ積み重なって、『監察医 朝顔』という作品になっていったのかなという気がします。どれだけ貢献できたのか分かりませんが、この作品に参加できて非常に光栄だと思うのと同時に幸せです。第1シーズンが終わった後、万木家の鴨居を10センチ上げてほしいとお願いをしたのですが(時任の身長より万木家の鴨居は少し低い)、それはかなわずに終わってしまいましたけれども(笑)、本当に感謝しかありません。こんなに優しさと思いやりのあるチームは、今まで俳優として40年以上やってきた中で、ナンバー1だと思います。本当にありがとうございました」と語った。

上野は「皆さん、お疲れさまでした! 1年たってしまいました。あっという間ですね。日々、妥協せず、自分のできることを精いっぱいやりながら、ちゃんと言いたいことを言って、ほどよくぶつかりながらも(笑)、調和が保たれていて、自分以外のことでも誰かのことを支えて、とにかくみんながお仕事に真っすぐで健やかなチームでした。人間なので当然、コンディションが良い時もあれば良くない時もあって、でも、みんながその日のベストを尽くして、助け合って前に進んで、そんな日常とチームの魅力が、そのままドラマに反映されていたと思います」と振り返った。

さらに「平野さんみたいな、こんなにギャグを挟んでくる監督は見たこともないですが(笑)、そのおかげで、いつも私たちは肩の力を抜いて自然体でいられました。『監察医 朝顔』を撮影する日常は、本当にありがたい場所だったなと感じます。この日常が終わってしまうまで“もう残り3か月だ”とか“あと2か月しか残っていない”と思いながら撮影をしていました。監督をはじめ、皆さんが育んでくださった優しさが、私たち出演者の関係性を第1シーズンよりさらに深めて、豊かなものにしてくれました。そして皆さんに、朝顔のいろんな感情や姿を引き出していただきました。それは、自分1人の力では絶対にできなかったと思いますし、本当に皆さんのおかげで朝顔は生まれることができたと思います。本当にありがとうございます」と感謝を伝えた。

そして、「東日本大震災が起きてから10年になりますが、10年前の震災があった時に私は、それこそ時任さんがお父さんという役でドラマの撮影をさせていただいていました。その時は、被災した方々や場所に、自分は何ができるんだろうってすごく苦しかったです。『監察医 朝顔』は被災された皆さんにとっても何か感じていただける作品になったと思います。それだけでなく第2シーズンは、新型コロナウイルスで大変な状況もあって、そんな中で、生きるということや当たり前の日常というのがいかに素晴らしいかということを、朝顔を通して少しでも伝えられたのではないかなと思っています。『監察医 朝顔』に出会えたこと、そして陸前高田の方々にも出会えたことで、自分が役に立てなかったという、あの時のあの気持ちが救われたというか…この作品に出会えて、ようやくいろんな方の役に少しでも立てたんじゃないかなと、今、とてもうれしく思っています。皆さん、ありがとうございました。本当にありがとうございました」と、大粒の涙をこぼし、思いの丈を述べた。

金城綾香プロデューサーは「岩手県陸前高田市でクランクインした2019年の第1シーズンに始まり、はからずも第2シーズンのクランクアップも岩手県陸前高田市となりました。地元の方にも“こんなに海沿いなのに風がないでいるのも珍しいですよ”と言っていただきました。まずは、時任さんが最終話の、平さんの結婚式のスピーチのセリフにかけたコメントをされて、スタッフはみんな笑顔になり、そのあと、上野さんが涙ながらにスタッフ、キャストにお礼を言ってくださって、現場で見ていて涙が出ました。最後まで、キャスト、スタッフの思いが詰まっていますので、どうかエンドロールの仕掛けも楽しみにしてください!」とコメントを寄せた。