淵上泰史インタビュー『復讐の未亡人』『雪女と蟹を食う』の2作でキーパーソン「僕が芝居した異なる役も楽しんでもらえたら」

テレビ東京で放送中のドラマ『復讐の未亡人』（毎週木曜　深夜2時35分～3時5分）と『雪女と蟹を食う』（毎週金曜　深夜0時12分〜0時52分）に出演中の淵上泰史さん。

『復讐の未亡人』では、優吾（平岡祐太）の双子の弟で、密（松本若菜）の復讐の手伝いをする探偵・鈴木陽史。『雪女と蟹を食う』では小説家の一騎（勝村政信）の担当編集・巡健人を演じ、それぞれ異なる姿を見せながら物語の重要な役どころを務める。取材では、自身が演じる役の印象やそれぞれの演技で“差”をつけるために心がけたことを聞きました。

◆今期はテレビ東京で『復讐の未亡人』と『雪女と蟹を食う』の2作に出演されますが、それぞれどんな役柄を演じられていますか。

『復讐の未亡人』では平岡さんが演じる優吾の双子の弟・陽史を演じています。陽史は松本さんが演じる主人公の密に対して恋心があるんですけど、その想いは成就しない。密とは一生その距離感を保つちょっと切ない役です。

『雪女と蟹を食う』では、勝村さん演じる一騎の担当編集者・巡を演じています。一騎の小説家としての才能を信じていて、編集者としてバックアップしたいという熱い思いがある男なんですけど、一騎の奥さんである彩女（入山法子）に対して誘惑するようなシーンもあって…。僕もいまだに巡が何をしたかったのは分からなかったですね。何をしでかすか分からない、物語の中で一番怖い役と感じました。

◆どちらも難しい役どころだと思うのですが、役作りはどのようにされましたか。

『復讐の未亡人』で演じた陽史は影で、優吾がどちらかというと光なんじゃないかなと思ったので、芝居をするときは笑顔は見せないというのを決めていました。あと、声のトーンを落とすというのも意識していましたね。最初は一定のテンションでやっていたほうが後々、感情的なシーンに変わったときに効いてくるのかなと、監督とも相談して演じていました。

『雪女と蟹を食う』で演じた巡は原作にない役だったので、自由にやらせてもらいました。内田英治監督とも映画「ダブルミンツ」以来だったので、初日は緊張しましたけど楽しくもありうれしかったです。

◆『雪女と蟹を食う』への出演が決定した際に、巡について「裏方なのに割と大胆な行動をする人だな…という印象」とコメントされていましたが、どのような部分が大胆だなと思いましたか。

担当している小説家の奥さんに対して、誘惑なんて普通はしないじゃないですか。先生との信頼がなくなるので。なんでそんな行動にでるんだろうと疑問でしたね。ただ、演じているうちに巡も自分がなんでそんな行動を取ってしまうのか、分かってないんじゃないかなと思いました。衝動的にやってしまうというか…。

◆巡を演じるにあたり、そのあたりはかなり悩まれましたか。

そうですね。でも、途中であまり悩んでもしょうがないなと思いました。共演者の方がどうくるのかによって僕のセリフや行動のイメージも変わってくるので、あまり事前に作り込みすぎず、現場では楽しもうと。演じている側が楽しまないと見てくれている方も楽しくないと思うので。

◆同クールで2作品の出演と聞いた時の心境はいかがでしたか。

こういうことは初めてだったんですけど、話も違えば役も全然違うのであまり意識はしなかったです。でも、少し芝居の差をつけないと危険だなと思いました。

◆“差”をつけるために具体的にはどのようなことを意識されましたか。

『復讐の未亡人』は、最初に台本を読んだときにはちょっと暗い話になりそうだなって思ったんですけど、あまり暗すぎると見ている人も面白くないと思うので、最後はどこか希望が持てるような作品にしないといけないなと思いました。その中で僕が演じる陽史は、密のことがずっと好きな役なので、好きな人のためならなんでもできるというのを感じてもらえたらと。でもあくまで“復讐”がテーマの作品なので、あまり恋愛に比重を置きすぎないように気を付けました。

『雪女と蟹を食う』では、一騎をどんなふうにサポートしていくか。編集者としての佇まいというのを衣装合わせの時から意識しました。声のトーンとかも陽史とは変えました。ぜひ、両方見ていただいて、僕が芝居した異なる役も併せて楽しんでもらえたらと思います。

◆今後、挑戦してみたいことはありますか。

いつか映画やドラマで単独で主演をやりたいですね。そのために一個一個の作品で信頼を積み上げて、結果も残しながら淵上面白いなって思ってもらえるように頑張りたいです。まだまだ途中だと思うので。